すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫 Aオ 2-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752729

感想・レビュー・書評

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  • p.317
    社会的不安なしに悲劇はつくれないんだ。

    幸せってなんだろう、感情ってなんだろう、生きる意味ってなんだろう、、、いろいろ考えちゃう作品でした。
    幸せなら娯楽もこうやって本を読むことも不要になるのかな?

  • 生まれる前からの英才教育によって、それぞれの階級に適した教育を施し、
    幸せな世界を作り出している。
    健康的でかつ幸せな世界だから、ある意味理想的なのだと思う。
    ただ、なんだかもう人ではないかのように見えてしまう。
    ある意味人造人間ばかりの世界。

  • 途中すこし難しかった表現はさらっと読み飛ばしてしまったけど今までに読んだ事がないジャンルの小説だなと思った。

  • 収録内容は以下の通り。

    本編
    作者による新版への後書き
    植松靖夫:解説
    黒沢敏行:訳者の後書き

    ディストピア作品の代表格。
    作者が教鞭を取っていた時、生徒にジョージ・オーウェルがいたとのこと。ディストピアに対する見方の違いが対照されて興味深い。
    シェイクスピアの引用が多く、そこまで親しんでいない私には、読み込む余地が多分にあると感じた。
    解説と訳者の後書きで、より作品世界の構造を理解できた。

  • ようやく読めましたBrave New World/すばらしい新世界。著者による新版への前書きは良い補完だった。「幸福度ランキング」なるものが国家間、都道府県間で発表される世の中において、ハクスリーの「“幸福の問題”とは、言い換えれば、どうやって人々に隷属を愛させるかという問題だ」という一節は現実的な問題として立ち現れてくる。1932年より、よりこの“ユートピア”は私たちに近い。

    この世界に描かれる世界は滑稽でグロテスクだ。だが自分がそのような世界に住みたいと思っていることを発見した時(なお、世の中の労働者はそれを発見するようにできていると思う)、その気持ち悪さは自身の思考、思考の枠組みに向けられるのだ。なんともおぞましい、すばらしい新世界!

  • バーナードを見ているのが少ししんどかった。
    殺人出産よりもより現実に起こりそうだし、起こせそう。英語、イギリス、シェイクスピア、キリスト教等知識・教養があれば一層楽しめるんだろうな。
    1984もそうだけど、トドメとなるのは女性なんだな。

  • オルダス・ハクスリー初読。ジョージ・オーウェルの『1984年』と並ぶディストピア小説と称されるということで読んでみた。
    書かれたのが1932年で今から約90年前だが、意外に古臭い感じはしない。受精卵の時からの条件付けと睡眠教育、性に対する禁忌をなくすこととソーマと呼ばれる害のない麻薬により、争いのない世界で幸せに暮らす人たちが描かれている。現代のビッグデータとかAIという言葉は出てこないにせよ、そうしたもので知らず知らずのうちに欲望をコントロールされているのではないかという漠とした不安が漂う現代にマッチしているように思う。とりわけ中国ではこの種のテクノロジーの導入が進み、プライバシーの侵害というよりむしろこれが利便性の向上ととらえられ積極的な評価すら与えられているとも聞く。怖い、おぞましいと考えるか、みんなが幸せと感じるならそれで良いではないかと受け止めるのかは、考え方次第。自由や権利が欲しいと言っても、結果として得られるのが、「不幸になる権利」、「老いて醜くなり無力になる権利、梅毒や癌になる権利、食べ物がなくて飢える権利、シラミにたかられる権利、明日をも知れぬ絶えざる不安の中で生きる権利、腸チフスになる権利、あらゆる種類の筆舌に尽くしがたい苦痛にさいなまれる権利」ならどうだろうか。幸せになる権利、幸せになろうとする自由があっても、大半の人が必ずしも幸せになれるわけでも、いつまでも若く美しく、病気にならず、美味しいものばかり食べ、快適に暮らせるわけでもないのであれば、こういう世界もありかもしれない。とりわけ自由意志というものが本当に存在するのか、脳の研究が進むにつれ懐疑的な意見も強くなりつつある中、わかりやすいストーリーで考えさせてくれる。
    この小説の中の世界がどういう仕組で動いているのかが理解できるまでは、やや冗長で退屈な部分もあるが、第16章、17章で、世界統制官ムスタファ・モンドと3人の異分子バーナード、ヘルムホルツ、野蛮人のジョンが、文明について本音をぶつけ合うところはとても面白い。

  • 幸せな人生、生活とは一体なんなのか?

    全ての苦痛が極力排除され、
    快楽のみを感じることを良しとした社会。
    真理よりも幸せを。

    だが、
    それは幸せなのか?
    全ての人は試験管で生まれ、あらかじめ遺伝的に優れたものを少数、劣ったものを多数生み出させる。
    フリーセックスが横行し、試験管で生まれたものたちにとっては、妊娠や母や父という概念は卑猥なものとなる。
    ソーマという、薬を定期摂取することで、気分はいつもハイ。睡眠学習という名で、生まれてから今までひたすらに、服従する事をよしとする音声を聴き教育される。
    そして、死は悲しむものでも何でもないもの。

    そして、
    そこに異端者が現れる。
    自由意志を尊重し、ソーマを拒否し、若返り薬を飲まず、母を愛する。

    そこでの大勢の大衆は、
    異端者扱いする。

    常識とはなんなのか。
    何が良いか何が悪いのか。
    多数だからといってそれが正しいということなのか。多数の暴力ではないか。

    現代を生きる私たちが
    実は頭おかしい可能性がないとも
    言い切れない。

  • 好き。古いのに古くない。

  • 題名がシェイクスピアから引用しているとは思っていなかった。というかこの物語を通してジョンはほとんどのセリフをシェイクスピアから引用している。しかしジョンが言う「すばらしい新世界」はとても皮肉に満ちていて、いかにもなディストピア小説だ。
    この新世界の人々の描くユートピアには家族がなく、人は生まれつき人生のレールをひかれていて、宗教もなく、ソーマという快楽剤を服用することにより感情の起伏を抑えている。階級付けされた人々もそれに疑問を抱くことなく享受している。なんとも孤独で生きがいのない人生だなぁと思いながら、きっとハクスリーはそれを伝えたかったのだと確信した。また時代はこの新世界へ向かっていくことの危険さを警告しているように思えた。機関さえ整えば、人間は簡単にこの新世界の制度に染まってしまう。
    読んでて最も苦しかったのはリンダが亡くなる場面。病院というよりもむしろ収容所に入れられた患者は誰に看取られるわけもなく、孤独に死を迎える、そしてその死の間際に現れる同じ顔をした子供たち。残酷でグロテスクで、悪気がないところがさらにジョンを苦しめているのではないかと思う。

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著者プロフィール

1894年−1963年。イギリスの著作家。1937年、眼の治療のためアメリカ合衆国に移住。ベイツメソッドとアレクサンダー・テクニークが視力回復に効を成した。小説・エッセイ・詩・旅行記など多数発表したが、小説『すばらしい新世界』『島』によってその名を広く知られている。また、神秘主義の研究も深め『知覚の扉』は高評価を得た。

「2023年 『ものの見方 リラックスからはじめる視力改善』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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