饗宴 (光文社古典新訳文庫)

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著者 : プラトン
制作 : 中澤 務 
  • 光文社 (2013年9月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752767

饗宴 (光文社古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2015.10.31
    エロスに対する賞賛と議論を通して、プラトンのイデア論の原型を見ることができる、哲学者であると共に文学的色合いの強い作品。前半部分は小説のようにおもしろく、そしてエロスに関して様々な視点から描かれている。後半はエロスに対するディオティマの解説により、その哲学的色合いが強くなってる。エロスとは性欲のことではなく、そのような激しさをもって自分に欠けている何かよいものを自分のものにしようと求める、常に求める、そしてそれが永遠に自分のものであろうと求めることだという。哲学が元々、知を愛するという言葉から来てるというのは、こういうことかと思った。誰かに一目惚れしたときのあの激情を伴って、知を愛することか。そしてそれは、然るべき時になると子を産みたいと欲する。それは身体的な話で言えばセックスを望むことであり、精神的な話で言えばまさにソクラテスの哲学的対話に見られること、そうして生み出した徳や知識を、さらに育むことだと。さらに、このようにエロスによって様々なものを求める結果、最終的にその求めるところのもの、例えば美しいものを求めることを通して最終的に、美そのものに到達する、この美そのものがイデアだと。全体的に神話的というかフィクション性が強いが、なるほど説得力がある気がする。しかし人はなぜ、よいものを求めようとするのだろうか。真善美が、よいものであると思うのは、何故なのか。徳とはそんなに、よいものなのだろうか。そこがまだ私にはわからない。よいものとは、それを得ることで幸福になるようなもののことであるという。真善美を求めると、本当に幸福になるのだろうか。また真善美を得ると幸福に感じるのは何故なのか。私は個人的に、人間がみな自分の幸福に対して真剣に生きることができれば、それがそのまま個人の幸福になるばかりでなく他者の幸福を願うことにも繋がるという直観があり、よってあまり、社会的によいことをしようとか気張らず、ただ自分が幸せになるためにはどうすればいいかだけを考えるようにしている。しかしこの自分の幸福のゴールになぜ真善美があるのかがわからない。これは今後より探求していくべきことだろう。ただひたすら自分の幸福を考え、何を得れば幸福になれるのかを考え、そして得ていくことを通して、イデアに導かれ、私が求めていたのはまさにこれだ!といえる境地に、至れるものなのか。今はただそれを信じて、よいものとは、単なる快楽にとどまらず、真の幸福になるものとは何かを探求するのみである。文学的要素も強くとても読みやすい上に哲学にも誘ってくれる、プラトンの代表作である。

  • 序盤はおじさんのガチショタ・BL愛が包み隠されることなく披露された後にソクラテスが登場するんだけど、ソクラテスも何だかんだで「可愛い男の子とキャッキャ交わる中でイデアに到達する道が開けます♪」と言ってる本です。

  • 最近金のことを考えてたら、日課であった知的探求が完全にストップしてしまっていた。価値観は人それぞれかもしれないが、いつも内面に疑問を抱き続ける2か月ほどだったので、うまく脱却できまたプラトンに戻ってこれたことに、なんだか感謝の思いにまで至る。

    解説に助けられながら、「饗宴」読み終わった。エロスについての対話。人間の欲望、愛、性。人生に欠かすことができない要点ともいえるエロス。結論としてはまだ不確かなところがあるが、肉体の欲望➡心の欲望➡関係からの欲望➡知的欲望と、エロスも段階的により価値があるものへと高められていく、という感じのところが印象的だった。「知」を幸福に至る最高の方法として置くが、性もそれと無関係ではなく、ある意味の秩序として地続きであるように語られているところが面白い。


    17.11.13

  • 170416読了

  • 訳がいいのか内容がわかりやすいのかどちらであるかわからないが、とても読みやすかった。

  • ソクラテスらによる、愛の中でも性的な愛を意味するエロスについての演説。平易な言葉で臨場感が伝わってくる本編訳に加え、舞台背景やなどについて約100項にわたる詳細な解説が理解に深みをもたせてくれる。とはいえ、考えが大きく変わることはなかった。
    私は、人間を「よい」と認識するのは肉体と精神の相互作用によるものであり肉体の美しさを軽視すべきでないと考えている。
    本書に、あらゆる体における美しさは同一、とあるが論理の飛躍としか思えない。
    真理を語ろうとするから、美しい体は瓜2つとなるのは必然だろう。黄金比のそれだろうから。そして、真理だから、それを愛するべき、となる。此処が決定的に間違っている。誰もが黄金比の体に恋い焦がれる訳ではないし、かといってそれは、体なら何でも良い、では決してないだろう。
    真理に向かうことは真実を見失うように思う。
    解説に違和感を覚えた箇所もある。エロスが求める「美しいもの」「よいもの」を「善」と解説されるのだが、「善」とすると道徳という名の臭みがついてしまわないだろうか。

  • ぼくたちが互いに触れ合うだけで、知恵に満ちた側から空っぽの側へと、知恵が流れていってくれるなら、ありがたいことだ。まるでコップの水が糸を伝い、満ちた側から空っぽの側に流れていくようにね

  • エロスについて1人ずつ語って行き、最後にソクラテスが登場し、弁証法的にまとめあげる。それぞれの人がどのようなロジックで論じているかを整理すると、ロジカルシンキングの勉強にもなる

  • 【目次】
    凡例
    地図 「紀元前5世紀頃のギリシャ」
    訳者まえがき

    『饗宴――エロスの話』
     主要登場人物
    プロローグ
    第一章 うたげのはじまり
    第二章 パイドロスの話
    第三章 パウサニアスの話
    第四章 エリュクシマコスの話
    第五章 アリストファネスの話
    第六章 アガトンの話
    第七章 ソクラテス、アガトンと対話する
    第八章 ソクラテスの話
    第九章 アルキビアデス登場
    第一〇章 アルキビアデスの話
    エピローグ


    『饗宴』 解説/中澤務
     一 作品の背景
      (一) 作品の特徴と執筆の時期
      (二) 時代背景
      (三) 古代ギリシャの饗宴
      (四) 古代ギリシャのエロス
     二 作品分析(前半)
      (一) エロス賛美が始まるまで
      (二) パイドロスの話
      (三) パウサニアスの話
      (四) エリュクシマコスの話
      (五) アリストファネスの話
      (六) アガトンの話
      (七) 五人の話の意味
     三 作品分析(後半)
      (一) アガトンとの対話
      (二) ソクラテスの話① エロスとは何か
      (三) ソクラテスの話② エロスの働き
      (四) ソクラテスの話③ 美の梯子
      (五) アルキビアデスの話

    ソクラテス・プラトン年譜
    訳者あとがき


    【メモ】
    ・定本として、ドーヴァーによる校訂テキスト(K.J. Dover (ed), Plato: Symposium, Cambridge University Press, 1980)を使用しています。

    ・主要登場人物
    ◾アポロドロス
     ソクラテスの弟子で、この物語の語り手。
    ◾アリストデモス
     ソクラテスの弟子で、饗宴の様子をアポロドロスに伝えた人。
    ◾ソクラテス
     アテネの哲学者。五三歳。
    ◾アガトン
     アテネの悲劇詩人。饗宴の主催者。三〇歳くらい。
    ◾パイドロス
     弁論術に関心を寄せるアテネの若者。二〇代後半。
    ◾パウサニアス
     アガトンの恋人。おそらくソクラテスと同世代。
    ◾エリュクシマコス
     アテネの医師。パイドロスの恋人。三〇代前半。
    ◾アリストファネス
     アテネの喜劇詩人。三〇代なかば。
    ◾ディオティマ
     ソクラテスにエロスの道を伝授したマンティネイアの女性。
    ◾アルキビアデス
     アテネの政治家。三〇代なかば。

  • 岩波文庫のプラトン本の取っ付きにくさといったらない。たしかに一流の学者が訳しているけれど。その点、本書は、平易な訳で、いくらか解釈が歪曲されているのだとしても、こっちのほうが断然楽しめる。谷川徹三が息子俊太郎に言ったのだったか、ギリシャの街角には哲学用語が溢れている。翻訳もまた、街角で目にされる言葉で書かれていてほしい。

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