地底旅行 (光文社古典新訳文庫 Aウ 2-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752774

感想・レビュー・書評

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  • 空想科学小説とは」…巻末にある解説が面白い。

    現代の地球科学の定説から見ると、ヴェルヌのこの小説は荒唐無稽すぎてちょっと引いてしまうかもしれない。

    でも冒険物語として読むと、「映画」ではインディ・ジョーンズシリーズもハムナプトラシリーズも、古くはロマンシングストーンシリーズだって「ありえない」が満載。
    同じようなストーリーを持つSF映画「ザ・コア」(地球の核へ冒険する映画、2003年公開)だって、21世紀にないってからにもかかわらず、かなり怪しい。
    でも、みんな楽しんでいる。
    ディズニーシーのアトラクション「センター・オブ・ジ・アース」は、この小説をもとにした映画からできているじゃない♪

    さらに、巻末の解説を読めばこの物語が当時の科学レベルからして、十分にSF小説として成り立つことがわかる(今だって、誰も地球の中心を見たことはないし……)。

    児童書の枠を外して『海底二万里』に次いで『地底探検』を改めて読んでみると、科学に対する探究心とは、常識を疑うことと突き進み続ける力であることが浮かび上がる。

    リーデンブロック教授の作中での“爆裂”ひと言集
    「それがなんじゃ。わしは信じぬ」
    「人ができて自分にできないわけがない」
    「科学は間違ってばかりだ。だからこそ進歩する」

    さあ、あなたならどう読むか。

  • 出口治明さんの本に紹介されていて読んだけれど、科学的知識がふんだんに詰まった小説でとても面白かった。解説とセットで読むことでこの小説の醍醐味を理解できたような気がした。もともとSF小説はあまり好きではなかったけれど、科学知識の延長だと捉えられるようになったことで、ほかのSF作品にも興味をもてそうな気がした。

  • 凄くわくわくした1冊。先が凄く気になった。ヴェルヌ作品、他のも少しずつ読みたい。

  • とても面白かった!!

  • 「どちらに?」
    「私は地球の中心を指差した」
    「地下室に?」
    「いや、もっと下だ」
    どんな時代のどんな場所に行くことも出来るし、人間の想像力ってすごいと、この小説を読んで改めて感じた。
    本の中には地底世界さながら、果てしない世界が広がっているから、読書は一生ごとの楽しみになると思う。

  • 専門知識がないと楽しめないのかな、と思いながら読んだけど、全然そんなこともなく。
    ファンタジーだと思えばスラスラ読める。
    冒険にありがちの危機的状況が何度か起こって、退屈させないストーリー。

  • 秀逸で分かりやすく面白い。

    物語としても素晴らしく、翻訳も本当に素晴らしい。


    ただ語学的にただしく訳しただけでは作品にならない。音符通りに正確に弾いただけでは音楽にならないのと同様に、という言葉に痺れた。

    そこに、翻訳の「美学」を感じる。



    物語に登場する博士に対して、不安や恐怖からそんなことはあり得ないと批判を繰り返していた博士の甥が、そんなあり得ないことが現に自分の目の前に起こってしまった時の頭の中の感情と思考のメーターの振り切れようが半端ではない。

    否定していた人間が今度は打って変わって、先陣をとって博士をも置き去りにする勢いで突き進む人間になってしまった。

    反動で余計に勢いがつく。

    その変わりようと言えば滑稽で仕方がない。

    それまでひたすらビビりまくっていたその甥が言う。
    「叔父にしては生ぬるい」と。



    人間というのは、
    頭の中の思い込みである常識を断固として譲らないが、目の前にそれに反する事実が露わになった瞬間に、こうも態度がガラリと180度変わるのかというのを作者のヴェルヌは面白く描き出してくれている。


    科学というのは、コロコロと更新されて変わる。
    ニュートンは地球の年齢を5万年と見積もっていたが、現在では45.5億年とされている。

    空想科学小説であり、その科学の論理の元に書かれた小説の中で、科学などの合理主義を本質的には否定しているという、ただの文学でもなく、ただのSF小説でもない、何層にも深みが感じられる秀逸な物語。

  • 2018年30冊目。

    小学生の頃、ヴェルヌの『海底二万里』を渡されて、ほとんど読まずに放棄していたことを思い出す。
    これだけ想像力が刺激され、未知の世界にワクワクできるヴェルヌの作品を逃していたことを後悔。
    『地底旅行』は、大人になって読んでも心踊る、素晴らしい本だった。

    危険な地底への旅に邁進する鉱物学者の叔父リーデンブロック教授のキャラクターが強烈。
    科学者でありながら、旅にとって不都合で、旅を差し止めるような危険性を示唆する理論には真っ向から反対。
    自分が進むべき理由だけを盲信して突き進む。
    なんだかドン・キホーテみたいだなと思いながら読んでいたら、役者あとがきにも同じことが書かれていて「やっぱり!」と嬉しくなった。
    こういう盲信の力には憧れがある。

    地底だけでなく、海底や月世界の想像上の旅まで書き上げているヴェルヌの想像力に脱帽。
    どれも読んでみたい。

  • 読了。

    地底へ行くまでに相当なページを割いており、読むのが苦痛になってくる。

    しかし訳者があとがきで『……アクセルや読者を少しずつ非合理的な世界に慣らすため』云々と書いてあり、なるほどと思った。

    長ーい……と辟易しつつ読み進めて行くうちにリーデンブロック教授の強引さや、科学者なのに非合理的なところが気にならなくなってくるのは確か。

    地底へ行ってからの古代の地球の様子が詳細に記されているところなどは、ヴェルヌは本当に行って見てきたんじゃないかと思うほどだった。

    読了後はなんだか清々しい気持ちになり、他のヴェルヌ作品にも触れたいと思わされた。
    (171118)









  • 地層を遡ることで過去への知見は広がります。
    地底旅行は、地層を遡ることで過去を体感することになります。
    高度な科学技術などは現れませんが、古生物学・地質学等に焦点を当てた風変りなSF小説と言えるでしょう。
    科学は絶対であるとしていた教授が、間もなく理論などどうでも良いとする様が、変化を許容する科学という存在そのものであると感じられます。
    比較的長編と思いますが、話がなかなか進まない部分と劇的な速度で進む部分が現実的であり、読者を飽きさせません。

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著者プロフィール

Jules Verne, 1828 - 1905.
フランスの小説家。
『海底二万海里』『月世界旅行』『八十日間世界一周』
『神秘の島』『十五少年漂流記』など、
冒険小説、SF小説で知られ、SFの父とも呼ばれる。

「2016年 『名を捨てた家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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