白夜/おかしな人間の夢 (古典新訳文庫)

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制作 : 安岡 治子 
  • 光文社 (2015年4月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753085

白夜/おかしな人間の夢 (古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 気がつけば古典新訳文庫を読むのがかなり久々になってしまっていた(最後に読んだのは、これまたドストエフスキーの『悪霊』で2014年9月)。
    帯には「らしくない」作品集と書かれているが、うーん、そう?
    確かに今まで自分が読んできた長編群と比べると、作風は異なっているようにも感じるが、それは長編(しかも文庫数冊に及ぶ大長編)と数十ページの短編では趣が異なるのは当然ではないだろうか。
    それ以外の部分、つまり作品の芯みたいな部分とかは、やはりドストエフスキーだなあと感じさせられた。
    『白夜』が最も長く100P少しを占める。講談社文芸文庫版も持っているのでそちらでそのうちに再読することになると思うが、この結末は…。再読、できるかな。
    他のはかなり短い。エッセンスが詰まっているともいえるが、やはりドストエフスキーの魅力は長編でこそ発揮されるのではないかと感じた。
    あと正直、この人はあまり訳がよろしくない。読んだの、これと『地下室の手記』だけだけど、『地下室の手記』は亀山訳も読んで、断然そちらの方が読みやすかった。

  • ドストエフスキーは「罪と罰」は小学生の頃、所謂子供向けダイジェスト版で読んだ。「白痴」は高校生の時分に父親の本棚の文学全集から引っ張り出して読んだ。辻原登さんの「東京大学で世界文学を学ぶ」で「白痴」を恐ろしい小説と取り上げていたので40年振りに読もうと思い、反射的に本屋で手に取った。

    読み始めて、あれ、ムイシュキン侯爵の話じゃないと気付く。年かな~。白痴にも白夜の情景があったような気がして勘違いしたかな~。う~ん。

    さて、「白夜」。孤独な主人公が泣いていた少女と出会う。人付き合い出来ないくせに、彼女に喋りまくる主人公。二人の心が同調しているのは判るけれど、ドストエフスキーってこんなメンドイ人だったのか。面白くないわけじゃないけれどねえ。これを今の作家が書いたら、ボロクソに云われるんじゃないかな。
    第3夜でこの話読んだことがあるような気がした。高校の時代に白痴を読んだとき、この小説も読んだんだろうか。白痴に似たエピソードがあったんだろうか。

    「おかしな人間の夢」などの短編。ドストエフスキーってやたら深刻な顔をして、難しい大作を書いた人という印象だったから、意外に思う処があった。
    「おかしな人間の夢」自殺を考え、ピストルを前に、ふと眠りこけて、見た夢.地球じゃない星で会った敬愛に包まれた人々。アーサー・クラークのSFを思い出したが、読み進める内に、大〇隆〇の理想世界のイメージに似ているなと感じた。キリスト教徒のイメージする理想ってこういうものなのだろうか。共感する部分もあるが、判らない部分も半々。
    妻が死んだ後の手記もある、互いに傷つき合う存在だったと解説にあった。詳しくは判らない。

    これからドストエフスキーをどれだけ読むかわからないが、その時にきっと本書のことを思い返すだろう。

  • おかしな人間の夢、がすごい。宗教の真髄を余すところなく語っている。ゾクゾクする。
    百姓のマレイは好きなテイスト。
    白夜は下手だが、最後のまぜこぜになったねじれた感情の表現が秀逸。

  • 今まで抱いていたドストエフスキーの印象がガラリと変わる一冊でした。
    『白夜』の青年の純情さと土壇場で棄てられた相手の幸せを願う高潔さに参りました。

  • 文字のアートを感じた。

  • 面白かったです。特に表題の『おかしな人間の夢』と『メモ』は、ドストエフスキーの作品を理解するために役に立つと思い、学生時代にやったみたいにメモをとりながら丁寧に読みました。『罪と罰』のラストを彷彿とさせる、とても奇妙な、そしてなにか真理を含んでいるように思わされる夢。大胆なキリスト教的信仰告白。彼の作中人物たちが、苦しみにのたうちまわり、傷付いて血を流し、発狂し、殺し殺され首を括りピストル自殺をし、あらゆる痛みを与えられながらも、ほんの数人がようやっと掴んだなにものかを、言葉にするとこうなるのでしょうか? いえ、結論を出すにはまだ早いと思います。これだけが答えではない、むしろこれは彼の思想の一部に過ぎない、という風に思えてなりません。人生と社会秩序に反抗し、己の偉大さを打ち立てようとしたラスコーリニコフやイポリートは確かに苦しみましたが、一方で己を無にし他者に尽くしたアリョーシャやムイシュキン公爵もまた苦しんだのです。現実の世界には正義や信仰への報いも、悪や罪への罰もない。ドストエフスキーの作品はどれも、それぞれになんらかの真理と痛み、そして人間の弱さへの同情に満ちています。1つの思想に容易く収束させられるほど単純ではない。それでも、本書に収録された物語やメモには、彼の本心に迫るに足る思想があり、とても無視できません。大変興味深く読めました。

  • マストロヤンニの映画「白夜」はずいぶん前に見たのだけど、原作は大分印象が違った。
    でも、ラストの容赦なさと甘さのさじ加減は好き。
    「おかしな人間の夢」も皮肉ながら泣きたくなるような人間への信頼がほんの少しあったのが良かった。

    「こんなことは言うまでもない話だが、ひょっとしたら、実際に私がいなくなったら、誰にとっても何一つなくなってしまい、私の意識が消えるやいなや、全世界が夢幻のごとく、私の意識の付属品に過ぎなかったかのように、消滅してしまうかもしれないのだ。なぜなら、ひょっとすると、全世界もすべての人々も、とどのつまり、私自身に過ぎないのかもしれないからだ。」

    訳も上手い。

  • 健気、ここにいます。
    「白夜」の主人公みたいな人を健気というのではないでしょうか。

    解説で訳者の方が述べているように、この作品たちは、(ドストエフスキーらしい)重苦しく、暗い印象より白夜という言葉から連想されるような薄明るい光に照らされている印象です。(決して春の昼間の陽射しのようではないけれど。)そのことで特に表題作の「白夜」の読後感は優しく、健気な主人公はいとおしい。

  • おすすめ資料 第286回 (2015.6.5)
     
    「えっ!これが、あのドストエフスキー!?」と帯で紹介されているように、ドストエフスキーの一般的なイメージを覆すような短編小説集です。
    (残念ながら帯はもうありませんが、Web上で帯の紹介文を読むことはできます。)
     
    『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』からドストエフスキー・ワールドに入った人はきっとびっくりしてしまうでしょう。
    多少の好き嫌いはあるかもしれませんが、こんな世界観も持っていたんだ、とドストエフスキーの意外な魅力が味わえます。

    ぜひ手に取ってみてください。

  • 「白夜」は爽やかなラブ・ストーリー。最後はナースチェンカに語り手の主人公が振られるのだが、後味がとても良く、幸福感に包まれる不思議な本。主人公が偶然知り合った少女に自らの「物語」を語っていく。ドストエフスキーとは思えないロマンティックな情景が優しい。出会いから微笑ましい。印象に残る言葉はナースチェンカの「あなたが私に恋をしないところが偉いなんて褒めて、あなたの愛情を嗤ったりして、あなたを侮辱してしまって」と謝罪する科白。なんとドストにこんな清涼剤のような作品があるんだ!そして「キリストの樅ノ木祭りに召された少年」のように有名な「マッチ売りの少女」を想起させるメルヘンチックなストーリーも。一方、「おかしな人間の夢」の主人公は「地下生活者の手記」と似ている。幼児虐待は彼の真骨頂のように思う。

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