カンディード (光文社古典新訳文庫)

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制作 : 斉藤 悦則 
  • 光文社 (2015年10月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334753191

カンディード (光文社古典新訳文庫)の感想・レビュー・書評

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  • レナード・バーンスタインのオペレッタ「キャンディード」は、この物語をベースにして作曲されたとのことである。確かに、その序曲からは主人公の波乱万丈の物語がよく表現されている。
    この物語のキーワードである「最善説」とは、「性善説」と勘違しがちであるが、それとは少しく異なっている。「この世にある個別の悪は、ことごとく全体的な善である」という考えである。作者ヴォルテールは、どうやらカトリック教会が中心になって流布していた権威的な「最善説」をこの作品で批判したかったようだ。

  • 普段、ニュースに現れるものは事故や事件、災害など人々におこる不幸である。
    というよりも、そういうものこそがニュースになるという面がある。
    起こりうる「災害」や「不幸」を、その理不尽さをどのようにとらえるべきなのか。「カンディード」はまさにその「不幸」を引き起こすもの、つまりはこの世界を創り出した「創造主」に対する抗議、皮肉である。この世界は全能の「神」である創造主が創りだしのだから、間違いなど無い、「全て最善」である。毎日報道され、存在する無数の「事件」や「事故」も最善なのだとしたら、「そんなことはない」と反発を覚えるのではないだろうか。私は最初にそう感じた。ヴォルテールが本書で言いたかったこともそういうことなのではないか。
    本書の解説は最初にこれがテーマだと感じたものをより掘り下げてくれた。それは「最善説」の解説である。「この世の全ては最善である」という説は、この世にあるものは全てに何らかの存在の理由があり、その理由を辿っていくと究極的にはこの世界の創造の原因に辿り着かざるを得ないという説だ。これは強力な存在の肯定論だ。実際、あらゆる「事件」も「事故」も「災害」もその背景や動機を辿っていくという行為は日々行われているものだが、その究極の原因については考えないものだ。そんなことを言い出したらこの宇宙の誕生という話から全てを行わなければならないからだ。「最善説」は現在ある世界を肯定する。それも強力に。存在の善悪ではなく、ただそこにあるものをあるというだけで肯定する。それが本来の「最善説」である。
    本来の「最善説」とは、因果関係の果てにあるものは何か?という話だ。その問題意識は今でも通じるものだ。学者は「真理」を探究して学問や研究を追求するからだ。しかし、もし本当に理由や原因がはっきりとわかったとして、それで「不幸」にあった人々はその理由や原因に納得するのだろうか。例えば、地震の原因が完全に解明されたとしても、その地震によって何かを失ってしまった人は本当に納得するのだろうか。その理由がこの自然に存在する何らかの法則であったとして、それによる被害を受けた人々は救われるのだろうか。この世の理不尽に引き起こされ、現実に起こる苦しみや不幸が何か別のものに変換されてしまうような憤りを感じるのではないのだろうか。「苦しみ」や「不幸」もそれぞれの人が抱えるその人らしさの一部である。ヴォルテールは本書に収録されている「リスボン大震災に寄せる詩」においてそうした一節を書いている。彼は生の苦しみもかけがえのないその人のものであり、それを抱えて一歩を踏み出している人達を讃えようとする。新聞にはニュースが載る、それはだいたい良くない出来事の事だ。その裏には多くの「不幸」がある。まさにこの小説で描かれる事だ。その「不幸」を乗り越えるために、現実をコントのように描写し、皮肉に乗り越えていく。短く素晴らしい本である。

  • ライプニッツの「最善説」に論駁した小説。
    上記を知らないので取りこぼしているかもしれない。
    「すべては最善である」
    師パングロスの性善説の教えの下にカンディードは三千世界を旅し、様々な不幸に見舞われる。
    出会う人々はやはり大なり小なり不幸であり、形而上的な思考に囚われていたカンディードは見聞によって地に根ざし働くことを受け入れる。
    「お話は結構ですが、とにかく、ぼくたちは、自分の畑を耕さなきゃ」

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