- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334753504
感想・レビュー・書評
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セネカの哲学の入門テキスト3通とあります。
セネカは、帝政ローマ初期の哲学者で、ネロの家庭教師でもあった人です。ストア派に属していました。
<心にのこった言葉>
人生の短さについて
・多忙な人間はなにごとも十分になしとげることができない
・生きることは、生涯をかけて学ばなければならないのだ。
・ひとはだれしも、未来への希望と、現在への嫌悪につき動かされながら、自分の人生を生き急ぐのだ。
・賢者はいつ最後の日が訪れようとも、ためらうことなく、たしかな足取りで、死にむかっていく
・すべての人間の中で、閑暇な人といえるのは、英知を手にするために時間を使う人だけだ。
・過去を忘れ、現在をおろそかにし、未来を恐れる人たちの生涯は、きわめて短く、不安に満ちている
母ヘルウィアへのなぐさめ
・賢者に従い、運命に頼らない自分は、なにも辛い目にはあわない
・順境にあって思い上がることがない人は、たとえ状況がかわっても、落ち込むことはありません。
・人間が自分を維持するために必要なものは、じつにわずかです。(貧困のうちに追放生活を迎えても)
・賢者とは、自分だけを頼りとし、大衆の見解からは距離を置く存在です。
・運命から逃れようとするすべての人が逃げ込むべき場所に、あなたを案内しましょう。すなわち学問です。
心の安定について
・人間の精神は、生まれつき活発で、動きやすいものだ
・まず心に留めるべきは、持たないほうが、失うよりも、はるかに苦痛が少ないという事実だ。
・無益な目的のために仕事をすべきではないし、無益な動機から仕事をすべきでもない。
・なんの成果も得られない無駄な仕事をするべきでないし、得られる成果に見合わない仕事をするべきでもない
・どんな仕事をするときでも、かならず一定の目的を設定し、その目的を見すえる必要がある。そして、仕事に専心すれば、心がぐらつくことはない
・(本書を読めば)心の安定を保つ方法と、それを回復する方法と、忍び寄る欠点から身を守る方法を手にしたことになる。
<解説から>
時代背景 セネカの時代 初代から、五代までを生き抜いた
初代 アウグストゥス ネロまで5代 ユリウス・クラウディウス家という
二代 ティベリウス 晩年は恐怖政治
三代 カリグラ 愚行の皇帝 暗殺死
四代 クラウディウス ただの傀儡、愚帝 セネカをコルシカ島へ島流し
五代 ネロ 后アグリッピナが、その子ネロを皇帝につける、セネカも許されて政権へ復帰、だけども、暗殺計画に参画したとして自殺に追い込まれる ローマ各地で反乱がおき、ユリウス・クラウディス家は5代で終焉する。内乱の時代へとローマは入る。
セネカが属したストア派とは
・ギリシア アテネのキティオンのゼノンが創設者
・自然に従う 人間が作りだした人工物は、人為的であり軽視
・自然と宇宙はロゴスという理性によって支配される世界
・人間は理性的な能力が重視され、苦痛、快楽、欲望、恐怖のような情念は理性の敵対するものとして否定的に評価される
・禁欲的なをストイックというのは、ストア派から派生している
・運命とは、ロゴスによってもたらされる必然的な因果連鎖。
・徳を完成させた人間であれば、何が起こるかを的確に予測して対処できる。
・ストア派の生き方を実践できる有徳者を賢者とよび、理想として掲げた。賢者は完全な徳を実現した人物であり、あらゆる情念から自由でいられる存在である。
目次は以下です。
訳者まえがき
人生の短さについて
母ヘルウィアへのなぐさめ
心の安定について
解説
年譜
訳者あとがき -
「あなたは、どこを見ているのか。あなたはどこを目指しているのか。これからやってくることは、皆不確かではないか。今すぐ生きなさい。」
約2000年前のローマ時代 ストア派の哲学者セネカによる実践哲学書。
妻の近親者(?)・母・友人へ宛てた手紙、3篇。
人生の時間の過ごし方、不運への立ち向かい方、毅然とした心の持ち方を説いている。
2000年前と現代では娯楽も増え、生き方も変わっているとは言え現代にも思想は通じる。ビジネス書のように読みやすかった。
時間という財産の浪費、自分自身を見直すきっかけになる。 -
とっつきにくいと思いきや、生き方のメッセージが詰まっていて、とても面白かった。
人生は多忙さに忙殺され、浪費すれば短い。
過ごし方次第で、人生は長くなる。
じゃあどういうふうに生きたらいいのっていう話になれば、無駄なことに時間を無益に費やさず、また未来に頼りすぎず、今をしっかり生きようということ。
それが難しい。
でもそれを意識して生きることが大切だと思った。 -
スラスラは読めたけど、意味を理解するために繰り返し読んだから時間がかかってしまった。
印象的だったのは、振り返るに値する過去を持つこと、その過去があれば人生には厚みが生まれると。
忙しい人ほど現在しかみておらず点で生きているため、人生の長さを感じることが出来ないと。
振り返ることは悪くないらしい!
振り返るに値する過去でありたい!
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人間の悪しき習慣やその原因等について述べ、本質的な言葉でその解決策を述べている。分かってはいるけど、なかなか改善できないんだよな〜と思いながら読み耽っていた。
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2000年前の人が書いたとは思えない。
今も昔も悩みは変わっていないのだとしみじみ思った。 -
「心の安定について」で、「あちこち旅行に出掛けてしまうのは自分から逃げたいからだ」というようなことが書いてあって身につまされた。ローマ時代からわたしみたいな人間はなんにも変わっていない... 表題作にしても、何をして何をしないかしっかり考えろ、基本的には世界のためになる役に立つ人間になれというのがセネカ先生の教え。もう人生折り返しの自分にとって「世界のため」はちょっとモチベにならないので、エピクロス先生の話を聞いた方がしっくりくるかもしれない、と思ったことでした。
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今こうしている時間も全て浪費なのかな
やりたいことをやれていない時間は浪費なんだそう
人生は何かを成すには短いなんてよく言うけれど、
セネカに言わせれば浪費してる時間を無くせば、
何かを成すには十分すぎる時間があるそうで。
ただただ、この世に存在するのではなく、
私は「生きてる」って胸を張れたらいいな。 -
面白かった。訳がとても平易で読みやすく、セネカの説く実践的なストア派哲学、というか、ストア派の哲学を実生活に活かすための方法がものすごくよく伝わってきて、読みやすさに驚いた。
巻末の訳者中澤努さんの解説もとてもわかりやすくて、セネカとその周辺や、ローマ哲学のあり方の入門書としてともよかった。