- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334761646
感想・レビュー・書評
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聖遺物を盗む話は、青池保子さんの「修道士ファルコ」にもありましたね。あれは聖女サウラの指だけを小袋に入れて盗んでましたが、ここではなんと、聖ウィニフレッドが棺ごともってかれてしまったからさあ大変。洪水に、運搬中の掠奪、さらに殺人事件まで!前作「デーン人の夏」では封じられていたカドフェルの本領が発揮されましたね。
今回登場したロバート伯爵が、ヒュー・ベリンガーと内乱の行方を語るシーンが印象的でした。もう誰もが戦争に飽き飽きしているのに、双方が動くに動けない状況。なんか今に通じるものがありますな。
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(2010-05-28)
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修道士カドフェル・シリーズ19冊目。
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1144年夏、スティ−ブン王の目の上の瘤だったマンデヴィル伯爵はあえない最期を遂げ、それに伴って彼によって奪われていたラムゼー大修道院が返還された。略奪によって荒らされ果てた修道院は、再建のため、シュルーズベリの修道院にも援助を求め、能弁で厳しいヘールインと可憐な美貌のチューティロの二人を送り込んだ。二人はかつてラムゼー修道院にいたサリエンを訪ねてロングナー荘園を訪問し、援助を約束された。そして、死に近づきつつある荘園のドナータ夫人は、チューティロの奏でるプルサテリウム(弦楽器)に慰められ、二人の間には不思議な絆が・・・・<BR>
セヴァーン川上流で豪雨が降り修道院が洪水の恐れを感じたある日、あちこちで沢山の寄進をえたヘールイン一行は、その施し物をラムゼーに送り、自分たちは次なる目的地に向かって行った。<BR>
やがて洪水が去った後、守護聖女聖ウィニフレッドの聖骨箱が角材にすりかわっているのが発見された!高所に洪水を避けて置き換えられた時にすり替えら、誰かの指図によってれラムゼー域の荷物に乗せられたのだ!<BR>
おりしも、そのラムゼーに送られた荷物は追いはぎに襲われ、その残骸の中からボーモント伯爵が聖骨箱を見つけていた。聖骨箱すり替えと盗みの嫌疑はチューティロにかかり、その証人として羊飼いが呼ばれたが、彼は死体で発見された。チューティロは聖女の遺骨箱を盗み、それを隠すため証人を殺したのか?聖女ウィニフレッドの意思は何処に?<BR>
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カドフェル・シリーズは21作まで、もう後2冊になってしまいました。<BR>
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この作品では、聖骨箱の盗難の謎や殺人事件の謎解きよりも、この時代の「聖骨箱」に対する意識の方がずっと面白い。後書きによると聖骨等の聖遺物って盗難にあうことも多く、その盗難を「聖遺物の意思だ」と主張したそうな。<BR>
この作品の中でも、「聖骨箱は自分でラムゼ−に行きたがった」とヘルーインは主張し、ボーモントは「いや、自分に見つけて欲しかったのだ」と主張する。でも、その中身ッたらほんとは・・・・・で、それを知ってる人たちはドキドキだし。深刻なような、くすっと笑いたいような、そんな騒動が展開します。で、最後はやっぱり納まるべきところに納まるのです、はい。<BR>
一方、「陶工の畑」で印象的だったロングナー荘園のドナータ夫人は、この作品でも、死の直前まで強い意志の力で光り輝いているようです。彼女とチューティロとの間に流れた感情は、なんと名付ければいいのか、強くある意味なまめかしく、とても印象的。そして、彼女は彼に、「吟遊詩人に必要なものは、楽器と、馬と、恋人、それだけでよい」と教え、真の自分を見出させた・・・<BR>
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この作品の主人公は、二人の女、聖女ウィニフレッドとドナータ夫人かもしれませんね。 -
感想は<a href="http://naotya.exblog.jp/d2006-06-06" target="_NEW">ブログ</a>に。(06.06.06読了)
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河川の氾濫の後、修道院から聖女の遺骨が消えていた。犯人は?神聖盗掠か?そしてそれに絡んで殺人まで…。今回もカドフェルの推理が冴えます。