緋色の研究 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)

  • 光文社
3.88
  • (111)
  • (165)
  • (134)
  • (13)
  • (0)
本棚登録 : 1491
感想 : 127
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334761714

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 第一部はホームズファンが嬉しくなっちゃうポイントがたくさん。さすが第一作。
    ★ホームズとワトソンの出会い。
    「あなた、アフガニスタンに行っていましたね?」
    ★名物刑事グレグスンとレストレードのいがみ合い。
    「いやあ、それにしても滑稽なのは、抜けてるあのレストレード大先生だ。あれで、自分じゃけっこう腕ききのつもりなんですが、てんで見当ちがいなとこばっかり探ってんですからね」
    ★ちびっこ探偵団ベイカー街イレギュラーズの活躍。
    「警官1ダースよりも、あの子たちひとりの方がよっぽど役に立つんだ。」
    ★ホームズらしい急転直下の逮捕劇
    「諸君!ご紹介しましょう!」

    アフガニスタンでワトソンを死の危機から救った当番兵マリィと、ワトソンとホームズを引き合わせた友人スタンフォードはホームズシリーズを生み出した陰の功労者!

    第二部は救いがない。悲劇の父娘は一体何のために生き延びたのかと思ってしまう。
    結末はある意味穏やかと言えるのかもしれないが、人生を復讐に費やすのは悲しい。

    ホームズ長編四作品の中では『バスカヴィル家の犬』と『恐怖の谷』が好きなので、『四つの署名』と本作『緋色の研究』は再読のときもスルーしがちだったが、久しぶりに読むと古い友達に会ったような懐かしさもあって面白かった。

    ホームズ再読の参考書『シャーロック・ホームズの建築』(北原尚彦 文、村山隆司 絵・図)から気になった箇所をメモφ(-ω- )
    ★事件現場の空き家の窓に貼られていたのは「To Let' card」=「貸家の札」。「For Rent」はアメリカ英語。「To Let」はイギリス英語。
    ★原文「kitchen and offices」=「台所や家事室」
    この場合の「office」は、建物のうち居間や寝室を除いた部分で、台所、食器洗い場、食料貯蔵室、洗濯場などを指す。「office」の中に台所も含んでいるので、「kitchen and offices」=「台所など家事室」と訳しても良いかもしれないとのこと。

    • ゆたこちさん
      111108さん

      キャー!!ですよねっ( 〃▽〃)
      読み返していると、がむしゃらなところや、掃除が嫌すぎて昔の話でワトソンの気をそらせよう...
      111108さん

      キャー!!ですよねっ( 〃▽〃)
      読み返していると、がむしゃらなところや、掃除が嫌すぎて昔の話でワトソンの気をそらせようとするお茶目なところもあって、グッときます笑
      シリーズ読破、ぜひ~(人´∀`*)

      建築本はもう本当に大活躍で楽しいです!この本から興味が広がって、メイド本や執事本まで図書館で借りてきてしまいましたー(о´∀`о)
      2023/02/19
    • 111108さん
      ゆたこちさん

      コナン・ドイルはキャラクター作りの天才ですよね!トリックがどうだとかより、ホームズのキャラとかそういうの考えたことがすごいと...
      ゆたこちさん

      コナン・ドイルはキャラクター作りの天才ですよね!トリックがどうだとかより、ホームズのキャラとかそういうの考えたことがすごいと思います。

      メイド、執事、など関連本たくさんありそうですね。レビュー楽しみにしてますね♪
      2023/02/19
    • ゆたこちさん
      111108さん

      >>キャラクター作りの天才

      なるほど!確かにそうですね!
      ホームズ×ワトソンの関係性を生み出したり、宿敵やらラスボスみ...
      111108さん

      >>キャラクター作りの天才

      なるほど!確かにそうですね!
      ホームズ×ワトソンの関係性を生み出したり、宿敵やらラスボスみたいな兄やら「例のあの女性」やら、色んなキャラの置き方で魅力的な世界を作り上げているのもすごいですね。

      私の読書は牛の歩みなので、いつレビューに辿り着くかわかりませんが、関連本もコツコツ楽しく読んでいきたいと思います♪
      2023/02/19
  • 今更だけど、ホームズを読もうと思い立ち光文社の文庫で9冊揃えました。光文社の文庫は乱歩のものもいいのですが、このシリーズも挿絵や丁寧な註が充実していて中々楽しめます。

    さてお話ですが、こんな凝った構成で隠されたドラマがあるとは知らなかったので退屈せずに読めました。モルモン教のことも少し分かったし歴史小説としても楽しめました。

    肝心の謎解きは、現代のミステリーに馴染んでいると、証拠の部分や捜査、推理分析の部分で甘い所はあるように感じるが、論理的には素直になるほどとうなづけました。

    ホームズの短編は一応読んでいるはずだが、長編は読んでないので楽しみです。

  • コナン・ドイル(1859-1930)。
    71歳で亡くなられたようだ。

    この作品は、1888年頃に書かれたようなので、著者が30歳になる前に書かれたと思われる。
    そんな若い時に書いたとは思えないような出来映えである。

    この作品で、ホームズとワトスンが初めて会っている。

  • はじめてシャーロックホームズを読んだのが、小学生の頃だったので何十年ぶりかのホームズ。当時読んでいたのとは、出版社も翻訳者も違うと思うけど。
    再びこうして1作目から読み返してみると、ホームズってこんな感じだったけ?笑
    大多数の人が思い浮かべるであろうホームズ像と言えば、頭脳明晰でスマートな紳士といったイメージだけど、だいぶ奇人で変人だった。笑 ワトスン博士のイメージも想像していたのとは少し違ったけど、2人の初めての出会いや初めての事件を改めて読み返してみるとやっぱり面白い。
    2部構成になっていて1部では現在の事件をワトスン博士目線で描かれている。そして、2部は犯人が犯行に至るにまでの経緯が描かれており歴史小説的でもある。長編ということもあり読み応えがあって全編通して面白かった。このまま、全巻読み返したい!

  • 同僚に借りて漫画『憂国のモリアーティ』を読んでいる途中なので、どうせなら今まで読まずに来た原作ホームズをここらで制覇してみるか、と思い立ちまずはこちらから(一応ネットでどの順番で読むのが正解か調べた)

    私のホームズに関する知識は、子供の頃見たアニメ(犬のやつ)がベースなので、スマートな英国紳士だとずっと思いこんでいたのだけれど、ロバート・ダウニー・ジュニア版の映画を見たときに調べたら、どうやら意外にも原作ホームズは武闘派な上にヤク中で、どちらかというと奇人変人の類いと判明、驚いた記憶が。

    なので覚悟はしてたのですが、やっぱりホームズは軽く変人でした(笑)まあ江戸川乱歩の明智小五郎も知的な紳士のイメージだったのに原作読んだらモジャモジャの金田一タイプだったので、映像化によるイメージのすり替えというのは探偵ものにはありがちなのかもしれないですね。

    そんなわけで本作「緋色の研究」こちらはホームズとワトスンの出会いからスタート。アフガン帰りの軍医ワトスン(彼もまた一般的なホームズの助手イメージと原作は違う。私はロバート・ダウニー・ジュニア版のジュード・ロウのイケメン隠れ武闘派ワトスンが大好物だ)が知人の紹介でホームズとルームシェアすることになる。このホームズ、実は諮問探偵で、彼のもとに警察が事件解決の相談を持ち込み…。

    二部に分かれていて、一部ではワトスン視点で、この事件をホームズが解決するまで。廃屋で男が殺され、さらにその男の秘書も別のホテルで殺害されたこの事件、ぶっちゃけ推理するまでもなく馬車の御者が怪しいのは私のようなポンコツ読者でも一目瞭然なのだけど、ホームズはもちろん綿密な推理に基づいて犯人を割り出し逮捕する。ただ作品の構成としてはこの1部ではホームズの推理を紹介してくれないのでやや逮捕が唐突。

    そしてそのままモヤモヤしつつ二部に突入すると、突然知らない人の知らない話が始まる(笑)なんとこれ、犯人の半生の物語。なぜ犯人がそのような殺人を犯すにいたったかがじっくり語られる。まとめてしまうとつまりこの事件「復讐殺人」で、犯人は愛する婚約者とその育ての父を殺した悪人二人を20年間追い続けていたという…。逮捕されてはしまうけれど、この犯人には同情するし、復讐果たせて良かったね!と思ってしまう作り。

    最後にやっとホームズの推理の根拠が明かされる。個人的には正直、ホームズの推理よりも、犯人の半生の物語のほうが面白かった。そして手柄を警察に横取りされて腐るホームズのために、ワトスンがこの事件を小説にして発表する流れ。ワトスンは最初はホームズの変人ぶりに戸惑うも、好奇心のほうが勝り、だんだんホームズの言動を面白がり行動を共にするようになる。探偵術を誉められるとホームズが喜ぶことにワトスンが気づくくだりとか可愛い(笑)バディものの原典ですね。

  • 急に犯人登場、そして確保。
    何があった?と思えば、第二部へ。
    この展開はシビレました。

  • 一気に読み終えた。終始ワクワクした。

  • NHKで舞台を現代に移した「シャーロック」というドラマをやっているのを見て、原作を読み直したくなり購入。
    現代ミステリーの感覚でいくと謎解きがなんか弱くない?(っていうほど自信もないけど)と思ったが、赤川次郎の巻末エッセイで、まさにそのようなことが書いてあって納得。
    犯人のバックグラウンドストーリーは読み応えじゅうぶんで惹き込まれた。
    ホームズとワトソンの出会いは、へーそうだったのか、と確認。ワトソンが、思いのほか素直というか、出会ってそこそこのホームズをすっかり尊敬して信頼している姿がラブリーだった。
    ホームズシリーズは主に小学生のころ、ワクワクしながらたくさん読んだものだが、あの頃は何を楽しんでいたんだろう?やっぱりホームズの名探偵ぶりがかっこいいからかなあ。

  • ホームズとワトスンの出会いから始まる、記念すべきシリーズ第一作。他の人が気づかないような小さな手掛かりから推理するホームズ。「なんで分かるの?」とみんながキョトンとした後、その推理の根拠が明かされる。これぞ名探偵!という展開で、やっぱり面白い。
    そしてなんといってもホームズとワトスンの名コンビ。変人ホームズに興味津々、素直に感心するワトスンと、褒められて嬉しそうなホームズ。「彼は探偵術についての賛辞を聞くと、美人だと褒められた女性のように敏感に反応してしまうのだ」(p.64)に笑った。意外と可愛いところもあるんだな。19世紀末のロンドンの雰囲気も好きだ。他の作品も読みたい。

  •  連れ合いが読んだからというだけの理由でなんとなく読みました。その昔、恐らくホームズものは読んだと思っていたのですが、どうやら短編のいくつかと、あと「パスカヴィル家の犬」だけだったのかも。「緋色の研究」は、読んだことあるなあ、と全く思わなかったので。

     面白かったです。それに驚きました。1870年代にイギリスで、言ってみれば医師が片手間に書いた小説が、純粋に娯楽として2013年の日本で翻訳して通用するって、凄いですよね。

     ホームズものの第1作。ワトソンが登場して、ホームズが登場。ワトソンの目を通してホームズが紹介される。めちゃくちゃ頭脳明晰で、犯罪知識豊富で、「へ〜」と言わせる、合理的な超人。この辺、「MASTERキートン」「ゴルゴ13」みたいだ、と言って良いと思います。そういう、リアリズムの範囲での、大人のファンタジーなスーパーヒーローの初号なのかもしれませんね。行動動機が、単純な(曖昧な?)正義感ではない、という点も含めて。ホームズさんは、スゴイ人なんだけど、一方で偏狭で傲慢。そんな異常性格が人間臭くて魅力的。そのちょっとヤバイ感じは、本質的にお子様向けではないですねえ。最近のリメイク現代版海外ドラマでも活かしてましたけど、死体に鞭打って、打撲跡を研究したりする、というのがツカミのキャラですからねえ。そういう、ある種の「R指定」的な部分のヒーロー、という意味では、ダーティーハリーとか中村主水とか座頭市とか、そういう系譜とも言えますねえ。しかしホント、これ1870年代のイギリスの小説ですからねえ。
     ホームズの魅力だけで前半が終わると、後半はドラマチックで、韓国ドラマみたいに?えげつなくて、悲劇性まで豊かな犯人側の動機の物語がテンポよく描かれる。ここンところも僕は面白く楽しめました。
     (ネタバレになりますけど、モルモン教の方にとってはこれは許しがたい小説でしょうねえ・・・抗議とかないのだろうか・・・)

     この面白さはなんなんだろう、と結構悩んじゃいました。一方で「64」があったりして、片方で「緋色の研究」も面白い。解説で赤川次郎さんが書いていたけど、ホントに大事なのは、現代社会の風俗としてのリアリズムなんかよりも、作りモノ、フィクションとしての娯楽性、面白味だ、ということで説明になるんだろうか。
     そう言えば、奥田英朗も水村早苗も面白いけど、司馬遼太郎も、メグレ警視も、高野文子も、手塚治虫も面白いのは面白いワケで。まあそういうことなんだろうか。
     そういうことを考えるのも、面白いことです。

     で、最後に光文社さんにエール。光文社文庫の海外名作新訳シリーズ、僕はすごく好きです。読みやすい。翻訳が、わけのわからん日本語になっていない。
     この歳まで読書し続けて思うのは、10代の頃に読んだような翻訳たち、恐らく30年40年前とかに翻訳された名作文学って、「なんかなんでこう、分かりにくいんだろうか。これ絶対翻訳がこなれてないと思う」と感じてしまうんですね。
     光文社文庫さんの翻訳は、それがほぼありません。素敵。
     ホームズだろうが、ドストエフスキーだろうが、スタンダールだろうが、トルストイだろうが、これから読む人にはとにかく、光文社文庫版をお勧めします!

     ホームズシリーズは、続けてではないかもしれないけど、このまま光文社シリーズで全部読んでしまう気がします。楽しみです。

全127件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

アーサー・コナン・ドイル(1859—1930)
イギリスの作家、医師、政治活動家。
推理小説、歴史小説、SF小説など多数の著作がある。
「シャーロック・ホームズ」シリーズの著者として世界的人気を博し、今なお熱狂的ファンが後を絶たない。

「2023年 『コナン・ドイル① ボヘミアの醜聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アーサー・コナン・ドイルの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×