恋の蛍: 山崎富栄と太宰治 (光文社文庫 ま 18-1)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334764067

感想・レビュー・書評

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  • 夜を徹して読了。涙がこみ上げてくる力作評伝小説。太宰治とともに入水自殺を遂げた山崎富栄さんの生涯を軸にして描かれている。ファンではあるけれども作中の太宰には腹が立って仕方がない。視点は客観的で、その上胸がキュンとなるくらいロマンチック。富栄が亡き夫とデートしたシーンには涙した。太宰と富栄の距離が縮まってゆくシーンも臨場感がありかなりドキドキ。富栄さんを亡くされたお父様の寂寥感には涙がとまらない。きちんとした家庭に生まれた優秀なお嬢さんであった富栄さんが天才作家と情死するとはやりきれない結末だ。名作です。

  • 。「山崎富栄」。太宰と最後のひと時を過ごし、共に入水心中した彼女のことを私は勘違いしていたようだ。スキャンダラスに二人の死を書いた本、様々な映像化作品から彼女を「気の強い、太宰を死に引っ張った女性」と思っていた。しかし、こんなにも才能豊かで、思慮深い、魅力的な女性だったとは。順風満帆に見えた彼女の人生を次々と不幸がおそう。太宰と出会い、愛人という許されぬ恋とは知りながらも見付けた幸せ。「ここに本当の恋」があると見せつけてくれた。彼女を知った今、無性に太宰作品を読み返したくて仕方が無い。

  • これはもはや小説の域を超えてると思う。参考文献の数しかり、取材者や取材地の多さしかり。

著者プロフィール

島根県出雲市生まれ、筑波大学卒。『巨食症の明けない夜明け』(集英社)ですばる文学賞、評伝小説『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』(光文社文庫)で新田次郎文学賞。著作はイタリア、中国、韓国で翻訳出版される。『赤毛のアン』シリーズ(文春文庫)の日本初の全文訳を手がけ、作中の英米詩、シェイクスピア劇、聖書など数百項目を訳註で解説。金子みすゞの弟で脚本家の上山雅輔の日記と回想録を読解して小説『みすゞと雅輔』(新潮文庫)を発表。著書に幕末小説『島燃ゆ 隠岐騒動』(光文社文庫)、『英語で楽しむ赤毛のアン』(ジャパンタイムズ)など。趣味は編み物、洋裁、「すてきにハンドメイド」鑑賞。

「2021年 『金子みすゞ詩集 2022年1月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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