煙突の上にハイヒール (光文社文庫 お 46-1)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334764227

感想・レビュー・書評

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  • 近未来を舞台にした短編集。
    現在では適わない科学技術や設定が軸となっているものの、登場人物や物語は普遍的なので違和感なく読めた。
    奇数話は結構よかった。

    『煙突の上にハイヒール』
    結婚詐欺に引っかかりそうになった主人公が一人乗りヘリコプターを衝動買いする話。
    OLの悲哀が根底に流れている。

    『カムキャット・アドベンチャー』
    誰かが勝手にえさを与えているせいで太ってしまった飼い猫。
    犯人を突き止めるために猫の首輪にカメラを取り付けたら、相手は近くのコンビニで働く店員だった。
    ちょっと青臭い感じの恋愛交じり。

    『イブのオープンカフェ』
    恋人に捨てられた主人公が雪の降るクリスマスイブに、オープンカフェでロボットと出会う。
    展開としても凝っていて、主人公とロボットの悲しみや後悔も上手に絡まっており、一番面白い話だった。

    『おれたちのピュグマリオン』
    家事用アンドロイドを作る技術者の物語。
    オチがどストレートで陳腐。。
    もう一段ひねりがないのかなと肩透かし。

    『白鳥熱の朝に』
    パンデミック後の日本を舞台に、家族を亡くした男と少女の再生の物語。
    一番ドラマチックな展開。
    少し安っぽい感じはしたものの、最後にもってくるのにはぴったりな話だったかなと感じた。

  • 現実に起りそうな出来事が起きているちょっと先の未来を描いた5本の短編
    1番目の冒頭だけ読むと、恋愛ものかと思うがそうでもなかった。
    3番目と4番目のロボットの物語は、ロボットの在り方に一石を投じてるようにも思える。
    5番目の真相に、ちょっとずつ迫っていくのがよかった。

    全体的に.文章が優しい。そのおかげで、5番目の物語の重さがちょっと和らいでいる。

  • 小川一水にしては割と近い未来を扱った短編集。相変わらず提示する製品や技術に現実味があるため、どの話も違和感がない。巻末のパンデミックの話は少しどきりとしました。まったくもってあり得ない未来ではないですし。
    難しいところはなく、さらっと読める話ばかりなので、SF初心者にもオススメです。

  • 中村佑介さんのイラストを見てジャケ買い。

    近未来的な発想がおもしろく、またロボットの感情表現がとても豊かに描かれていて、こんなロボットがホントにできれば、人間らしい感情を忘れずに明るく幸せな未来が開ける気がした。

    また、ロボットや機械を通して、良くも悪くも「人間らしさ」が際立っていた。

  • 「カムキャット・アドベンチャー」「おれたちのピュグマリオン」が特に好き。なんかいかにも近いうちに実現しそうなテクノロジィが描かれ、それを使うのも、いかにも近くにいそうな普通のサラリーマンやOLである。この「ありそう」という感じが面白い。「白鳥熱の朝に」だけちょっと毛色が違い、有川浩「塩の街」を思い出させる雰囲気のパンデミックもの。非常に辛いことがあったとき、人と人とが関わることで、乗り越えられるということを描く。それは「イブのオープン・カフェ」にも言えること。

  • 近未来テクノロジーと、現在と地続きの人間と社会(そして、経済)の関係を描写する、小川一水の真骨頂とも言える作品集。一遍一遍の完成度はすさまじい。特にどれ、ということも言えないくらいに全部素晴らしい。
    でも、たぶん、作者は既にここにはいなくて、もっと先を目指していると思いました。

  • Mew欲しいわー。パラは場所選ぶからなー。

    ちょっと未来の、楽しかったり辛かったりする短篇集。

  • 非常に軽やかな感じで、気楽に読めます。
    全体的に前向きで明るいので、読後感が良いです。
    ちょっと未来設定で、色んなメカが出てくるところも楽しい。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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