- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334764227
感想・レビュー・書評
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近未来を舞台にした短編集。
現在では適わない科学技術や設定が軸となっているものの、登場人物や物語は普遍的なので違和感なく読めた。
奇数話は結構よかった。
『煙突の上にハイヒール』
結婚詐欺に引っかかりそうになった主人公が一人乗りヘリコプターを衝動買いする話。
OLの悲哀が根底に流れている。
『カムキャット・アドベンチャー』
誰かが勝手にえさを与えているせいで太ってしまった飼い猫。
犯人を突き止めるために猫の首輪にカメラを取り付けたら、相手は近くのコンビニで働く店員だった。
ちょっと青臭い感じの恋愛交じり。
『イブのオープンカフェ』
恋人に捨てられた主人公が雪の降るクリスマスイブに、オープンカフェでロボットと出会う。
展開としても凝っていて、主人公とロボットの悲しみや後悔も上手に絡まっており、一番面白い話だった。
『おれたちのピュグマリオン』
家事用アンドロイドを作る技術者の物語。
オチがどストレートで陳腐。。
もう一段ひねりがないのかなと肩透かし。
『白鳥熱の朝に』
パンデミック後の日本を舞台に、家族を亡くした男と少女の再生の物語。
一番ドラマチックな展開。
少し安っぽい感じはしたものの、最後にもってくるのにはぴったりな話だったかなと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小川一水にしては割と近い未来を扱った短編集。相変わらず提示する製品や技術に現実味があるため、どの話も違和感がない。巻末のパンデミックの話は少しどきりとしました。まったくもってあり得ない未来ではないですし。
難しいところはなく、さらっと読める話ばかりなので、SF初心者にもオススメです。 -
中村佑介さんのイラストを見てジャケ買い。
近未来的な発想がおもしろく、またロボットの感情表現がとても豊かに描かれていて、こんなロボットがホントにできれば、人間らしい感情を忘れずに明るく幸せな未来が開ける気がした。
また、ロボットや機械を通して、良くも悪くも「人間らしさ」が際立っていた。 -
「カムキャット・アドベンチャー」「おれたちのピュグマリオン」が特に好き。なんかいかにも近いうちに実現しそうなテクノロジィが描かれ、それを使うのも、いかにも近くにいそうな普通のサラリーマンやOLである。この「ありそう」という感じが面白い。「白鳥熱の朝に」だけちょっと毛色が違い、有川浩「塩の街」を思い出させる雰囲気のパンデミックもの。非常に辛いことがあったとき、人と人とが関わることで、乗り越えられるということを描く。それは「イブのオープン・カフェ」にも言えること。
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近未来テクノロジーと、現在と地続きの人間と社会(そして、経済)の関係を描写する、小川一水の真骨頂とも言える作品集。一遍一遍の完成度はすさまじい。特にどれ、ということも言えないくらいに全部素晴らしい。
でも、たぶん、作者は既にここにはいなくて、もっと先を目指していると思いました。 -
Mew欲しいわー。パラは場所選ぶからなー。
ちょっと未来の、楽しかったり辛かったりする短篇集。 -
非常に軽やかな感じで、気楽に読めます。
全体的に前向きで明るいので、読後感が良いです。
ちょっと未来設定で、色んなメカが出てくるところも楽しい。