ぶたぶたカフェ (光文社文庫 や 24-11)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 720
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334764364

作品紹介・あらすじ

カフェ"こむぎ"は、早朝オープンの人気店だ。ぬいぐるみ店長・山崎ぶたぶたが作る、とびきりおいしい朝食!ふんわりパンケーキに熱々フレンチトースト、自家製ソーセージにたっぷり野菜のスープ…。不眠症が続き、会社を辞めた泰隆は、夜はバーに変身するこの店で働き始めた。ぶたぶたとの不思議な交流が、彼の疲れた心を癒してゆく-。傑作ファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ~、ぶたぶたシリーズは
    今回初読みだったけど、
    多くのブクログユーザーさんがハマるのも納得の可愛い世界観で
    電車の中、終始ニタニタしながら一気に読めました(笑)
    (端から見たら完全にアブナいおっさんや~ん!汗)


    離婚した母親を安心させるため、
    優等生の仮面を被り
    ずっといい子を演じてきた
    主人公の目黒康隆。

    優等生の仮面を外し
    自分のやりたいことを探そうと決めた康隆は
    母親には内緒で不眠症の原因ともなった大手企業を辞め、
    大学の先輩が経営するダイニングバー「こむぎ」で働くことに。

    「こむぎ」は夜はバー、
    朝は朝食専門のカフェをやっているのだか、
    なんとカフェの店長は
    山崎ぶたぶたという
    バレーボール大のブタのぬいぐるみだったのでした…。

    というシュールかつ、
    ハートウォーミングなファンタジーです。


    なんと言ってもこのシリーズはブタのぬいぐるみであり
    中身は妻子ある(!)中年男性の
    山崎ぶたぶたさんの 
    破壊力抜群の可愛ゆさ満点の魅力に尽きます。

    ぬいぐるみを着た人間が登場する小説というと
    真っ先に村上春樹の羊男が思い浮かぶけど、
    こちらは正真正銘の小さなブタのぬいぐるみ(笑)

    それがおっさんの声で喋り
    小さな体を粉まみれにしながら
    一生懸命に厨房で料理を作り、
    小説を愛し図書館や古本屋を巡るという
    ど・シュールさ(笑)

    登場人物たちも不思議に思いながらも
    そのあたたかで大人な眼差しと懐の深さ、
    そして圧倒的なまでの可愛さゆえに
    その存在を認めざるを得ないという(笑)

    読めば誰もが
    有り得ないと思いつつも
    その魅力に骨抜きになるハズ(笑)


    そしてそして本作では舞台がカフェだけに
    主役級の吸引力を持つ料理に喉を鳴らし、
    読むことで疑似体験できるのも最大の魅力です。

    バターとミルクの香り漂う
    サクサクでじんわり甘い出来たてホヤホヤのビスケット。

    メープルシロップたぁ~っぷりの
    ふんわりプレーンパンケーキ。

    鉄板に乗ったカリカリじゅわぁぁ~っの
    サワークリームフレンチトースト。
    ( 矢崎さんのブログによると御茶ノ水の「みじんこ」というお店がモデルのよう)

    思わず写真を撮りたくなる5センチほどの厚みのある
    カリカリフワフワのホットケーキの二枚重ね。
    ( こちらのモデルは鎌倉にある「イワタコーヒー店」のホットケーキを参考にしたらしい)

    などなどヨダレたらたら必至の
    美味しそうな食べ物描写の数々。
    (矢崎さんのブログには実際にお店で出されてる写真も掲載されてます)


    自分の中でパンやパンケーキやホットケーキ、フレンチトーストで思い出すのは
    やっぱ映画やアニメの名シーンです。

    映画 「クレイマー・クレイマー」のフレンチトースト、
    「アメリ」のクレームブリュレ、
    「ツインピークス」のチェリーパイ、
    アニメ映画「魔女の宅急便」で、キキが焼いていたホットケーキ、
    アニメ映画「天空の城ラピュタ」のパズーとシータが洞窟で食べる目玉焼きの乗ったパン、

    あと絵本なら定番だけど、
    「ちびくろさんぼ」のとらバターにホットケーキ、
    ぐりとぐらの大きなホットケーキ、
    ホットケーキが出来上がるまでを擬音語で再現した(笑)
    「しろくまちゃんのほっとけーき」、

    あっ、あと 「からすのパン屋さん」のパンすべて(笑)


    とまぁ、食いしん坊体質なアナタなら
    そんな妄想特急が止まらなくなる
    ホンマ美味しい小説です(笑)

    カフェのモーニング好き、ホットケーキ好き、甘いモノ好き、粉もん好きは勿論、
    可愛いおっさん好きにもオススメです(笑)

  • まさに「世界一幸せな朝食」!
    ぶたぶたさんの朝食カフェに私も通いたいし、ぶたぶたさんと図書館に行きたいよぅ‥。
    目黒さんがうらやましくて仕方ない。

    今回のぶたぶたさんもいつまでも読み終わりたくないと思える幸せな物語だった。

    • まろんさん
      ぶたぶたさんの朝食カフェに、ぶたぶたさんと行く図書館?!
      素敵すぎますね♪
      どちらかひとつを選べ!と言われたらどうしよう。。。
      と、幸せな妄...
      ぶたぶたさんの朝食カフェに、ぶたぶたさんと行く図書館?!
      素敵すぎますね♪
      どちらかひとつを選べ!と言われたらどうしよう。。。
      と、幸せな妄想に浸ってしまう私でした(笑)
      2012/12/10
    • takanatsuさん
      「どちらかひとつを選べ!と言われたらどうしよう。。。」
      それは難しい…
      どちらかなんて、選べません!
      「どちらかひとつを選べ!と言われたらどうしよう。。。」
      それは難しい…
      どちらかなんて、選べません!
      2012/12/10
  • 今回はカフェこむぎの店長、ぶたぶたさん。
    短編ではなく1冊を通して一流企業を辞めて自分探しをする泰隆とぶたぶたさんのお話。

  • 母一人子一人で育った泰隆は、母の再婚を機に会社を辞める。
    我がままな夫に振り回された結果の母の離婚を、当時小学生だった泰隆は当然と受け止め、これ以上母に心労を与えないために自分ができること=いい子になった。
    勉強はやれば結果を出すことができた。
    足は速かったので、陸上部に所属した。
    クラス委員やイベントの実行委員に立候補しては、卒なくこなした。
    いい大学に行き、いい会社に入った。
    何の問題もないはずだった。

    だけど、本当の自分はどこにいるのだろう?と思った。
    やりたいことがわからなかった。
    朝、起きられなくなった。
    でも母の期待を裏切ることはできなかった。

    で、母の再婚をきっかけに会社を辞め、行きがかりで大学の先輩がやっているバーを手伝うことになった。
    そこでは朝から午後2時まで朝食専門カフェを違う人が営業していて、夜からは泰隆が手伝うバーになるのだが、カフェを営んでいたのがぬいぐるみのブタ。

    大学の先輩夫婦といい、カフェの店長ぶたぶたさんといい、常連の見上さんといい、適度に距離を置きながら泰隆のことを見ていてくれるのは、読者としては安心材料。
    だからこそ、母親が真相を知った時の取り乱しようにぎょっとしたのだけれど。
    「お母さんもよく頼んであげるから、会社に戻りなさい!」
    それを言っちゃあおしまいよ。

    親も子も互いを思うのはごく自然な感情で、それを変に気を回すから自責感に苛まれてしまう。
    親のため、子どものためと言え、自分で考えて行った行為を、その相手が負担に感じる必要なんてない。
    お互いさまなのだ。

    見上さんの日常を垣間見るに、一条ゆかりのエッセイみたいだなあと思ったけれど、部屋を見たらマンガ家じゃないことはすぐにわかった。
    ということは…大した謎じゃないんだな。

    ひとつ、泰隆視点で書かれたり三人称で書かれたりが煩雑で、大学の先輩に対して綿貫とか、「見上さん」と言いながら遥はと書いてあったりするのにいちいちひっかかってしまう。
    視点は統一してほしかったな。

  • 離婚して母のために強くなろうとして幼い頃から「優等生」をしてきた彼が、母の再婚を機に会社を辞めてしまうところから始まります。何事もそつなくこなすタイプだけど、そこに熱量がない感じ。自分探しの為に会社を辞めたけど、中身は全く考えてはない所が共感覚えました。アルバイトで働き出してから、彼の言葉や行動が少しづつ変わっていき、ぶたぶたさんや周りののおかげで夢の方向性を見つけたシーンが好きでした。

    出てくる料理の描写が本当に美味しそうで、空腹の時に読んだら大変です(笑)分厚いふわふわホットケーキとか絶対に美味しいに決まってるやん!?って食べれる主人公にちょっと嫉妬してしまいました。『ぐりとぐら』の話題とかも個人的に「分かるー!」と心の中で呟いてしまいましたw

    あとがきも矢崎さんの想いが詰まっていて、本編と同じぐらいに楽しんで読んでしまいました。食べ物に執着があるって書いてありましたが、「食いしん坊はみんなそう!」と読みながら笑ってしまいました。料理を美味しく見せる描写が苦手で、ぶたぶたシリーズのおかげで上達したと書かれてあります。一つ一つの料理が美味しそうに想像出来るので、苦手だと全く思っていませんでした。喫茶店のお話も別であるみたいなので、制覇目指して読んでみたいです!
    そんなにページ数のある本では無いので、さらっと読めました。個人的にはお話の続きが気になりすぎて、読む手が止められない状態が正直な所です(笑)本当にこのシリーズが大好きです!そして、読む度にぶたぶたさんが、好きになっていきます!見上さんが好きになってしまうのも分かる!って最後に思ってしまいました。

  • 1日で読み切ってしまったー。
    ぶたぶたシリーズ、15作目らしい。
    他の本も、すぐに読みきっちゃうんだろうなぁ。

    食べ物の表現が素敵。うまい。・・・上手い?美味い?

    地元の人に愛されるカフェ、私も開きたい。

  • 同僚とバリ島へ行ったときに、持っていきました。
    自分の持ってきた本が、リゾートに似合わないドロドロ不倫で読む気力がなくなったという彼女に、「癒やされるから」と貸しました。


    「心は癒されたけど、ホットケーキがすっごく食べたいこの辛さはどうしてくれる」と言われました。

  • ぶたぶたシリーズ15 今回のぶたぶたさんは朝食カフェの店長。とにかく パンケーキ&ホットケーキがおいしそうで思わず モデルになったお店に食べに行きたくなります。相変わらずの癒し系でほのぼのします。

  •  なぜ「カフェこむぎ」がほんとうに存在しないんだ!とクレームをつけたくなるほど(どこへ?)、おいしそう。
     ぶたぶたさんシリーズを読んでいると、かわいいブタのぬいぐるみの動作がはっきり頭に浮かびます。カバーイラストのせいかな、と思っていたのですが、先日気がつきました。三原順の「ムーンライティングシリーズ」だ! かわいいときのトマスぶた。そういえば彼も料理が上手だった……。
    『ぶたぶたカフェ』が出たかと思えば、『刑事ぶたぶた』そして12月には『ぶたぶた図書館』。これは、ぶたぶたな年末になりそうな予感。

  • シリーズ15冊目

    毎度ながらなんと食べ物が美味しそうなこと。
    パンケーキ食べたい~

    うちの近所にもぶたぶたさん、いないかなあ~
    すんなり受け入れるのに・・・

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著者プロフィール

一九六四年、埼玉県生まれ。八五年、矢崎麗夜名義で星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞し、八九年『ありのままなら純情ボーイ』で作家デビュー。主な著書に「ぶたぶた」シリーズ、「食堂つばめ」シリーズ、「NNNからの使者」シリーズ、『あなたのための時空のはざま』など。

「2022年 『おいしい旅 想い出編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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