痺れる (光文社文庫 ぬ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334764456

作品紹介・あらすじ

十二年前、敬愛していた姑が失踪した。その日、何があったのか。老年を迎えつつある女性が、心の奥底にしまい続けてきた瞑い秘密を独白する「林檎曼陀羅」。別荘地で一人暮らす中年女性の家に、ある日迷い込んできた、息子のような歳の青年。彼女の心の中で次第に育ってゆく不穏な衝動を描く「ヤモリ」。いつまでも心に取り憑いて離れない、悪夢のような九編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 「痺れる」の意味

    1 からだの一部または全体の感覚が失われ、自由がきかなくなる。「正座して足が―・れる」

    2 電気などを感じてびりびりふるえる。「感電して―・れた」

    3 心を奪われてうっとりとする。強烈な刺激を受けて陶酔する。「ジャズ演奏に―・れる」

    3番かな?
    この短編集は〜!

    何か魔がさしてというか…
    こんなん、あかんやろ〜と思いながら…って感じのいつものイヤラシイ感じなのが好き!

    いつものを期待して読んだけど、コミカルなのもあって新鮮でした〜(「普通じゃない」)
    最後のオチが笑ける〜

    帯に書いてある通り
    「怖さも面白さも尋常じゃない九つの物語」
    でした〜(^-^)v

  • 暗澹たる不穏な雰囲気にゾワゾワするのだけれど、結末が予想外で強烈で、クセになるほどに痺れる。

    • Manideさん
      ゆっきーさん、こんにちは。

      「クセになるほど痺れる」という感想に目を奪われちゃいましたが、「痺れる」という作品なんですね。

      「クセになる...
      ゆっきーさん、こんにちは。

      「クセになるほど痺れる」という感想に目を奪われちゃいましたが、「痺れる」という作品なんですね。

      「クセになるほど痺れる」という表現が、とても面白くて、なんか、どんな感じだ?と、1人考えちゃいました。

      みんなの評価がもう少し高いと、手にしてみたいんですけどね〜
      2024/02/04
    • ゆっきーさん
      ☆Manideさま☆
      おっしゃる通りタイトルに掛けて「痺れる」と表現させてもらいました!(おもしろい表現というお褒めの言葉、嬉しいです!)
      ...
      ☆Manideさま☆
      おっしゃる通りタイトルに掛けて「痺れる」と表現させてもらいました!(おもしろい表現というお褒めの言葉、嬉しいです!)
      でも本当にビリッと衝撃をくらうオチだらけです。
      私は知り合いにおすすめされて読みましたが、たしかに好き嫌いはありそうです笑
      もしいつか読む機会があれば、収録されている『普通じゃない』だけでも読んでみる価値はあると思います◎
      2024/02/04
    • Manideさん
      返信ありがとうございます(^^)

      そうなんですね、今度、手にしてみたいと思います。
      痺れるっていう表現が、ほんと、面白いですね。
      返信ありがとうございます(^^)

      そうなんですね、今度、手にしてみたいと思います。
      痺れるっていう表現が、ほんと、面白いですね。
      2024/02/04
  • 幼い頃、近所の公園によく遊びに行った。
    わたしにとって公園の3大遊具とは、向かい合って漕ぐ4人乗りのブランコと大きな土管、そして今はほとんど見かけることがなくなってしまった砂場だった。
    一緒に遊ぶ友だちがいない日は、砂場でひとり、遊んだ。大きな山を作って、左右から少しずつ掘り進めると、真ん中で右手と左手が触れ合う。それは両方とも自分の手であるにも関わらず、まるで他人の指に触れているような、妙なむず痒さを伴った不思議な感覚だった。誰にもその感触について話すことができない、幼少の頃には分からなかった、少し隠微なものだったのかもしれないと今になって思う。

    この9つの短編は、どれもわたしをそれによく似た気持ちにした。
    他人には絶対に知られたくない、自分の中にある可笑しみを含んだ劣情が浮かび上がってくるような。
    それを再び沈めようと焦り、まるで浴槽で泥酔した愛人を殺すかのように、
    何度も
    何度も
    何度も。

  • 沼田さんの作品は「ユリゴコロ」に次いで2作目。
    短編集だが、どれもゾワゾワする違和感みたいなものを感じながら読み進め、最後でちゃんとオチもあり。
    陰な刺激を受けたいときに沼田さんの作品を手に取ろうと思います。

  • 林檎曼陀羅(りんごまんだら)
     認知症チックな母は、義母のことを思い出す。
    レイピスト
     強姦者(レイピスト)。不倫して堕胎するのは…。
    ヤモリ
     ゴキブリホイホイに捕まったヤモリは井戸へ。
    沼毛虫
     曾祖母からの話。曾祖母は庭師の娘を殺したようなもん。
    テンガロンハット
     お願いしてないのに、いろいろ直そうとするヤツ。
    TAKO
     幼い頃見た春画がずっと私の心に宿ってる。
    普通じゃない
     ゴミ出し問題。他人の家のゴミを漁る正義感。
    クモキリソウ
     誰が贈ってくれたのか分からないクモキリソウ。
    エトワール
     私は不倫相手の妻にどうしても勝てない。

    なんか、どれも、スッキリする話ではないなぁー。
    でも、「テンガロンハット」はなんか笑えた。
    頼んでもないのに、家の修繕をしてくる。
    んで、お金も払わせようとしてる。
    オチも意外だったー!!

  • 2021年12月10日読了。

    初読み作家・沼田まほかる氏の短編集。

    『林檎曼荼羅』
    『レイピスト』
    『ヤモリ』
    『沼毛虫』
    『テンガロンハット』
    『TAKO』
    『普通じゃない』
    『クモキリソウ』
    『エトワール』

    どの作品も30ページそこらしか無い短い話だが、面白い。
    短編集は当たり外れが大きい気がするのだが、この本は外れの話が無かった。

    男女の関係の話が多かった印象だけど、不穏な空気感・怖気・狂気・官能・ブラックユーモア等、内容は種々様々。

    『普通じゃない』はミステリー要素の強い作品なのに、ラストのオチは想像して声を出して笑ってしまった。

    『テンガロンハット』に登場する山田という男と
    『クモキリソウ』に登場する変質者の男に狂気を感じた。
    うぃーる、うぃる、うぃる。


    短編集が良かったので、次は長編で傑作と言われている『ユリゴコロ』を読もうと思う。

  • 沼田まほかるさんは三作目。傑作「ユリゴコロ」の作風がぴったり来ていた。

    次に勢い込んで読んだ「9月が永遠に続けば」はその暗さに圧倒された、楽には生きられないにしても、自分で招いた不幸までも何か運命のように襲ってきて、その上不意の事故、おぞましい性癖、忌みごと、怖くやり切れなない思いでもう読むのは止めようかと思った。

    ところがそんな毒に染まったのか、この本をふと手に取り、チラッと読んで、また取り込まれた。「悪は伝染する」とか「毒はじわじわ伝わる」とかあり来たりの言葉を、言い訳めいて思い出だしながら読んだのだが、面白いシーンは短く終わってしまった。私は迂闊にも短編集だと気がつかなかった。

    これならいけると思った。そして読み進んで驚き、心から詫びた。沼田さんの作品は奇をてらうのではなく、ことさら暗さを呼び寄せるのではなく、常ならざる影がある。それが人生の底辺を流れている、それが生きること、そういう意志がみえてきた。それを作品にする力を持つ人なのだ。

    三作目にして少し解った、と、このくらい書きたくなるほど、良く出来た短編集だった。ホラー、ミステリ、サスペンス、形は違ってもこれから読む沼田本はどんな毒でも素直に染まってみよう、それほどインパクトのある、様々なスタイルを持つ作品集だった。

    こういう特異な作家は読者を選ぶかもしれない。でもそれぞれの短い話は絶品で、多少猟奇的でハードさが、いつか気持ちよくなる、そんな気持ちを共有してみたいと思うことでもあれば、強くお勧めする。

    《林檎曼荼羅》
    これがいい。認知症で独り暮らしの老女が、探し物をするので棚のものを出していく。それにつれて様々な思いが去来する。ユリゴコロに通じるような日常にある違和感、それが認知症の頭で歪んで見える、過去と現実がだぶる、探し物に紛れて秘めた過去が出てくる、じわっと恐ろしい。

    《レイピスト》
    不倫女性がレイプに会う、その結果は、という並でない話。

    《ヤモリ》
    これも面白い、最後であっという、もしかしてと言う感じがじわじわと。

    《沼毛虫》
    これも日常が普通に進んでいく家庭なのだが。曽祖母の話を聞く曾孫刃考える。あらわになる出来事が、それまで日常に生まれて過ぎてきた、不思議さが巧い。これが沼田さんの持ち味かな。

    《テンガロンハット》
    女の独り暮らしの話。古い家を修理してくれる庭師が器用で、おそろしい。ちょっと悲しいかも。

    《TAKO》
    いやぁ、参った。映画館の暗い観客席に少し秘密がある。最後の一行で名作になる。

    《普通じゃない》
    そう、コロンボって変なおじさんで、”どう見ても性格異常者だ”と思い私なら、彼の上を行く完全犯罪が出来る。どじなどしない。そして綿密に計画を練る。じこうしたが、最後のシーンが眩しい(笑)

    《クモキリソウ》
    この目立たない花がマニアックでいいのです。毎年、門の脇においてくれる人がいる、ミステリかな、ちょっと違う、優しい出来事。

    《エトワール》
    吉澤と不倫関係にある、吉澤は年上の妻も愛しているらしい。葛藤と嫉妬がわく。異常な感情に傾いていく。あぁ巧いな、きっとやられます。しまった。



    300ページちょっと、すぐに読める、面白くて読み始めると勢いがついて止まらない、そんな短編集だ。
    池上冬樹さんの解説にまで激しく同意。

  • 沼田まほかるにしか出せない空気感がある。本著は短編集だから、短いストーリーテラーの中での、独特な視点、言葉選び、固有名詞が織り成す世界観が尚更そう感じさせる。その独特な感性の中で、少し奇妙な物語9編。静かな冬の電車に相応しい、ジワリとした読み応え。

  • 気持ち悪いっが癖になる
    出会いたくない人ばかりが登場してくる

  • 帯には9作の短編小説全てが逸作と書かれてあり、興味を持った。まほかるの作品は2つ読んでいて、どちらも大変好みだったため、期待大。短編でありながら彼女の特徴である、暗く重いが、決して嫌味な感じはなく、オチでしっかり裏切ってくれる所は健在。

    印象的だったのと、もう一度ゆっくり読みたいのは沼毛虫かな。

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著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

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