少女たちの羅針盤 (光文社文庫 み 34-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334764623

作品紹介・あらすじ

「お前こそが殺人者だ、証拠が残っていたんだ」短編ホラー映画の主演女優としてロケ現場にやってきた舞利亜。彼女に渡された台本には脅迫状が挟みこまれていた。四年前路上パフォーマンスで伝説的な人気を得た女子高校生四人の劇団「羅針盤」は、メンバーの突然の死によって活動を停止した。その死に舞利亜はどう関わっていたのか?隠された真相を暴いたのは-。

感想・レビュー・書評

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  • 4年前、殺された少女は誰?殺人を犯した少女は誰?のフーダニット作品。
    少女の心の揺れや、10代の鬱屈した感情、激情、嫉妬…などのもやもやした感覚はとてもよくわかるし、共感できるところは多いが、ミステリー、スリラーどちらの面からも、謎解きワクワク感は薄い。死者が分かった時点で、犯人もほぼこの人だろうと分かってしまうから、大どんでん返しも驚きいまいち。

  • 4年前、一時期だけ活動をしていた演劇集団「羅針盤」。
    彼女たちはあるメンバーの死によって散り散りになり、「羅針盤」は自然消滅していく。
    そして今、短編ホラー映画の撮影中に主演女優である舞利亜は不思議な出来事に遭遇する。
    脅迫めいたメモや、過去を思い出させるような台本。
    そして、ついに舞利亜は何者かわからない人物を刺殺してしまう。
    先に映画を見てしまったせいか、映画の場面をなぞるような読み方をしてしまった。
    撮影現場で次々と起こる不可解な出来事。
    次第に追いつめられ、恐怖をつのらせる舞利亜。
    過去の出来事が掘り起こされ、徐々に明らかになっていく真相。
    確固たる証拠がないまま、真犯人は精神的に追い込まれていく。
    だが、状況証拠を示されても罪を認めようとしない真犯人のしたたかさが、逆に過去に事件に信憑性を持たせる結果となる。
    この人間ならためらいなく殺しただろうと。
    仲間の死から4年。
    過ぎていった時間が彼女たちそれぞれを成長させ、次のステージへと進ませている。
    上手くいかないことはすべて誰かのせいにして生きてきた真犯人。
    復讐はけっして許されることではないだろう。
    でも、最後に彼女たちがした決断は正しかったように思う。
    望んだのは、ただ真犯人に罪を認めさせ後悔させることだけ。

    登場人物たちがみんないわくつきの設定で安易すぎるかな、とも思ったけれど、その他大勢にはなれない者たちが集まっていたからこそ成り立った物語だったように思う。
    仲間の夢、仲間の希望、仲間の絆、そして仲間との別れ。
    青春のきらめきや痛みや哀しみ。
    屈折した攻撃性や見ている世界の狭さや他者への残酷さ。
    終盤での心理攻防が面白かった。

  • 3月-14。3.5点。
    女子高校生4人が、ストリート劇団を作り、演じる。
    そのうちの一人が、現在女優としてある映画に出演する。
    その女優は4人のうち誰か、高校時代に4人に襲った悲劇は何か。。

    現在と過去が交互に叙述される形式。一気読みできる。
    何となく正体が分かっていくが、デビュー作でこれはレベルが高い。

  • よくやった!

    舞利亜が誰で、犯人が誰か。

    自分は最初から何故か舞利亜=瑠美って思い込んでたから、まさかまさかって思いながら読んでた。

    あんなに強い子が自殺なんてするかな?と思った。
    でも、まさか犯人があの人だったなんて。

    いやぁ…バタが好き。
    カッコ良すぎでしょ。

    最初から最後まで『少女たちの羅針盤』っていう彼女たちの舞台を見てる気分でした!面白かった!

  • やられた!という感想が一番大きいだろうか。よくよく考えれば…、というのがこういうタイプなんだけども、テンポ良く読み進めてしまうと、そのペースにのっかっちゃって、あれよあれよという間に理解した気になっちゃってるんだろうなぁ。

  • 2017年11月20日読了。
    2017年97冊目。

  • 演劇少女たちの青春譚であり、加害者被害者両方を探す復讐ミステリでもある。さくさくと忙しい筆致で、夢も悩みも大きい演劇女子のエキセントリック感が伝わってくる。四年前の演劇部独立4人組と、現在の女優への復讐劇が交互に語られる。読者への謎は『4人のうちの誰が誰を殺して女優になって、誰が四年後に気づいて復讐してるのか』。なるほど、こんなクローズド趣向もあるのか。少女コミック風ながらラストの爽快感はある。ミステリファンなら、話のネタとして読んでおいても損はないバカミス一歩手前の意欲作。

  • かつて羅針盤という名の女子高生4人組の劇団があった。だがその中の1人が死に活動は停止した。女優の舞利亜は撮影中に監督から羅針盤の一人では無いかと疑われるが惚ける。彼女には知られたくない秘密があった。
    過去と現在、時系列を交互にする事でサスペンス感が生まれて飽きさせない。ストーリーは解説にもあるが少女漫画のような愛憎劇。ただサバサバしたキャラクターがいる事で読了感は良い。
    ミステリ的にもキッチリとオチがあり、裏をかかれた部分もありで面白かった。

  • 高校生4人が立ち上げた劇団「羅針盤」、その中の一人が殺害された。数年後、舞利亜という売れない女優が短編映画のヒロインを演じることになったが・・・。映画→原作。この順で観てよかったと思う。原作では少ししか描かれていない劇中作が映画でアレンジされていたが、ユーモアがあって面白かったのでそれを思い出しながら読むことができてよかった。映画の女優さんたちやロケーションを思い出しながらお話を読み、映画では描かれていなかった場面、変更点などを見つけて違いを楽しむこともできた。ミステリーより青春小説の要素が強い作品。

  • 少女マンガ×ミステリといった感じ。
    展開がありきたり&なんとなく犯人が読めてしまったのが、残念。

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著者プロフィール

三重県生まれ。2009年、島田荘司氏選考の第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作を受賞した『少女たちの羅針盤』でデビュー。14年「五度目の春のヒヨコ」が第67回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。20年『ランチ探偵』『ランチ探偵 容疑者のレシピ』が「ランチ合コン探偵 ~恋とグルメと謎解きと~」のタイトルでTVドラマ化。ほかに「社労士のヒナコ」シリーズ、『冷たい手』など著書多数。

「2022年 『ランチ探偵 彼女は謎に恋をする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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