ぶたぶた図書館 (光文社文庫 や 24-12)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 841
感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334765019

作品紹介・あらすじ

本好きの中学生・雪音と市立図書館の司書・寿美子は、「ぬいぐるみおとまり会」実現に奔走していた。子供たちのぬいぐるみを預かり、夜の図書館での彼らの様子を撮影して贈る夢のある企画だ。絵本を読んだり、本の整理をして働くぬいぐるみたち。ポスター作りに悩む二人の前に、図書館業界では伝説的存在(?)の山崎ぶたぶたが現れて…。

感想・レビュー・書評

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  • 生きているヌイグルミ?山崎ぶたぶたのシリーズ☆

    ちょっと久しぶりのぶたぶたさん。
    ぶたぶたさんでも読まないと、やってられなーい!という気分のときに読みました。
    どれにしようかな~~図書館なら、間違いないでしょう、と。

    本好きの少女・雪音は、中学に入ってから市立図書館に通うようになる。
    企画募集があるのを見つけ、「ぬいぐるみお泊り会」を提案するが採用はされなかった。
    外国の図書館では良くあるそうで、お気に入りのぬいぐるみを図書館に預け、夜中にぬいぐるみ達が本を読んでいる姿を写真にとって貰うという夢のある企画。
    日本でも既に行われているところもあるので、オリジナルではなかったが。

    図書館の司書の寿美子は同じようなことを考えていて、雪音と仲良くなる。
    よほど良いポスターでもないと、と注文をつけてきた上司に、ぬいぐるみのモデルとカメラマンを探していると‥?

    本好きな仲間があまりいない雪音。
    カメラマンだったが職を失って放浪し、その間に弟が事故死してしまった空洞を心に抱えた秀。
    寿美子の姉で、幼い娘の美帆とうまくいかないのを内心ひどく気にしている彩子。
    違う事情を抱えた人の視点から成り行きが語られていく、そのバランスが絶妙。
    突然現れて、当然のようにあたりを和やかにしていくぶたぶた。
    柔らかそうで丸っこくて可愛いだけでなく、落ち着いている!(中年男性なので)という不思議な存在。
    初めて出会う人は目を疑って驚愕しつつも、他の皆が受け入れているので、何だかよくわからないうちに馴染んでいくという。

    1冊目に読むには特にこれをお勧めはしないけど、これから読んでも困ることはありません。
    この後に、初期のものを読んでもオッケーだから♪
    ぶたぶたさんの謎は、どこから読んでも、すっかり解明されるというものではないですしね~^^

    本の話が多いので、巻末に、その解説もついているのが親切。
    作者はポール・ギャリコが好きと知って、ビックリ。
    いえ、意外というわけでもないですが‥
    私も大好きだけど、そういう人にあまり出会わないだけ。
    猫好きなら「ジェニィ」と「猫語の教科書」で知ってるかな?
    もっとギャリコの宣伝?いや紹介しようかしら~と楽しくなりました。

    • 九月猫さん
      sanaさん、こんばんは♪

      ポール・ギャリコ大好きです!
      「ジェニィ」が一番好きですけれど、「トンデモネズミ…」のような児童書も、「...
      sanaさん、こんばんは♪

      ポール・ギャリコ大好きです!
      「ジェニィ」が一番好きですけれど、「トンデモネズミ…」のような児童書も、「七つの人形の…」のような恋愛もの(?)も好きです。

      えっ?ぶたぶたさんってギャリコさんが好きなの?と驚いて嬉しくなりましたが、よく読むと矢崎さんなのですね。いえもちろん、矢崎さんでも嬉しいのですけれど(笑)

      >もっとギャリコの宣伝?いや紹介しようかしら~
      ぜひぜひ!ぜひ!!お願いします(*'ω'*)
      sanaさんの作品の楽しさをあますところなく伝えてくださるレビューで、ギャリコさんの作品紹介を読みたいです♪
      なんて、わがままなリクエストをしてみました(*_ _)ぺこり。
      2014/06/21
    • sanaさん
      九月猫さん、
      わあ、ポール・ギャリコお好きですか!
      「ジェニィ」いいですよねえ~!
      「七つの人形の恋物語」も好きです☆
      「マチルダ」...
      九月猫さん、
      わあ、ポール・ギャリコお好きですか!
      「ジェニィ」いいですよねえ~!
      「七つの人形の恋物語」も好きです☆
      「マチルダ」とか「ポセイドン」も忘れがたいし‥
      ぶたぶたさんも、ギャリコ好きですよ~きっと♪

      えええ、>作品の楽しさをあますところなく‥
      きゃあ赤面です。ありがとうございます!
      ギャリコはとっくの昔に紹介してなかったかとチェックしたら、全然してない‥
      ブクログ始める前に読んだから~昔過ぎたんですね。
      それにしても‥ぼちぼち再読してご紹介するつもりです♪
      九月猫さんのレビュー、これから読もうかと考えているのがばんばん入ってました! 丁寧な書評をこれからも楽しみに!参考にさせていただきますね^^
      2014/06/22
  • タイトルにぶたぶたって書いてあるけど、図書館と何が関係してくるのかなって疑問でした。でも、読んでみるとファンタジーだけど、現実であったら面白いなっていうお話でした。一人一人の人間模様だったり、その人の考えや感情だったりと盛りだくさん。ぶたぶたさんの癒しは、凄いですね。色んな人に影響与えられる彼が、すごく好きになりました。あとがきに登場していた作品の解説もあるので、読みたいなって思っていた本の情報も知れます!矢崎さんの言葉がすごく楽しくて、あとがきまで飽きることなく読めました!

  • まだ読んでいなかったぶたぶたさんのシリーズを探し出して読んでいる。
    最初のうちは食べ物関係ばかり読み漁っていたので…
    『図書館』は、本好きでいつもリュックに文庫本が入っているぶたぶたさんにぴったりの場所。
    「美しい図書館」いいなあ…
    でも、古くてしんとしている図書館も好きです。

    「ぬいぐるみおとまり会」も夢があって楽しそう。
    夜になったら、自分の人形たちも動いたり話したりするのではないか、というのは子供が一度は夢見ることなんじゃないかと思います。
    これもまた、ぶたぶたさんにふさわしいイベントです!

    そして、ぶたぶたシリーズには、いつも悩める人たちが出てきますが…
    家族は大切な存在だけれど、実は、分からない存在でもある。
    そして、他人ではない、「家族」を「わからない」と思ってしまう自分を、どうかするとおかしいんじゃないかと思ったり責めてしまったり。
    はっきりした解決を押し付けるのではなく、これから良くなっていきそうな、春の芽吹きみたいな終わり方をしているお話ばかりなのがいいと思います。
    『何も知らない』が、ちょっと切なくて心に残る。

    プロローグ/理想のモデル/何も知らない/ママとぬいぐるみのともだち/エピローグ

    あとがきに、作品内に登場した本が紹介されていて、作者のコメントも付いているので、それも楽しかったです。
    エドワード・ゴーリー、好きです。
    子供には読ませたくない毒を含んでいるところが…

  • すっごく噴き出しちゃうシーンと、すっごく泣きたくなるシーンがこれだけ同居してる小説ってなかなか無いです。
    私は一人っ子で、兄弟も姉妹もいないから、正確には分からないけど、すれ違う家族が互いの境界線を二度と越えることなく、命を終えてしまうことがどれだけ悲しいことなのかは、身近に見ているので、少しは知っています。
    どうしようもない絶望と、ぽっかり空いた心の穴。埋めるために、その人はとても頑張ってました。私も少しは支えたつもり。沢山話をして。
    でも、やっぱりその穴を埋めたのは、同じ思いをした家族でした。境界線を越えられた、生き残った二人でした。
    そんな二人をつぶさに見てきたので、この本の2話目では、その時のことを沢山思い出しました。
    こんな思いはしたくないから…私は家族をこれからも大事にしようと思います。矢崎さんもそう思って書いたのだと思います。
    それから、最後のお母さんと美帆ちゃんの話。もうあの手紙には、本気で泣きそうになりました。
    子供がとても欲しいのだけど、一身上の都合により、今は子供が持てない私。
    母親って、父親より多分もっと複雑で葛藤が多いのかもしれないと最近思うんですよ。
    だって、自分の身体からぽこりと派生したのが、子だからね。自分の一部のように思って、所有しているかのように扱ってしまったり、自分とあまりに違っていて戸惑って、ほんとに自分の子供かと思ったりすることって、きっとある。
    そして、そんな疲れてる自分に、ハッと気づいて、ショックを受けて、一人で悩んでるお母さんってきっといっぱいいるんでしょうね。
    昔みたいに、地域でみんなで子供を育てる、という環境があるといいんですけどね。今は個々で閉じこもってる社会ばかりで、お母さんは孤立しがちです。
    でも、この本で語られてるように、お母さんというのは、子供の年の数くらいしか、お母さんとしての経験値は積んでないんですよ。ここで言うなら7年ですか。
    手探りなのは当たり前ですよね。なかなか子供が分からないってのも、当然だと思う。子供はうまく気持ちを相手に伝えられるだけの言葉を持ってなかったりするし、自分の身体から出てきたといっても、全く別の存在なのですから。
    悩み苦しんでるお母さんたちに、読んで欲しい話でした。悩んでるのは、あなただけではないと言ってくれているような。優しい1冊です。自分が母親になったら、必ず読み返したいなと思いました。

  • ぶたぶたさんの新刊はいつもは読まずにしばらく取って置くんだけど、ぶたぶたさんの愛読書が知りたくてすぐに読んでしまった。
    2013年の目標はぶたぶたさんの愛読書を全て読むことにしよう。
    読んだことのある絵本もこれを機にもう一度読もう。
    ホラーがなくてよかった…。

    今回のぶたぶたさんはいつも以上にその愛くるしい姿を武器に(?)大活躍している。
    ぶたぶたさんの写真…私も欲しい。
    子供のお気に入りのぬいぐるみを図書館が預かり、夜の図書館で何をしているかカメラで撮影してくれる「ぬいぐるみおとまり会」って素晴らしいアイデアだと思う。
    私も参加したいくらいだ。
    ただただじっと目を見つめて話を聞いてくれるぬいぐるみは、自分でも気付かない心の声を聞き取ってくれる存在だなと感じたことがある。
    たとえぶたぶたさんのようにお話はできなかったとしても。
    そんなあの子が夜の図書館でどんな本を読むのか…。
    すごく知りたい。

    • まろんさん
      おお、なんとほんとうにあるイベントだったとは!
      検索♪ 検索♪
      おお、なんとほんとうにあるイベントだったとは!
      検索♪ 検索♪
      2012/12/13
    • シルルさん
      私もぶたぶたシリーズ気になってて、今年は全シリーズ読みたいと思ってます!
      私もぶたぶたシリーズ気になってて、今年は全シリーズ読みたいと思ってます!
      2013/01/28
    • takanatsuさん
      シルルさん、コメントありがとうございます。
      「今年は全シリーズ読みたいと思ってます! 」
      そうなんですか!レビュ楽しみにしています♪
      私は全...
      シルルさん、コメントありがとうございます。
      「今年は全シリーズ読みたいと思ってます! 」
      そうなんですか!レビュ楽しみにしています♪
      私は全部読んでしまうのがなんとなく寂しくて、何冊かストックしつつ新刊を待っています(笑)
      今度は是非ぶたぶたさんトークしましょう♪
      2013/01/29
  • 初めまして出会ったぶたぶたさんが、この本。ぬいぐるみの読書会が可愛くて、ほっこりした。

  • ファンタジー感溢れる題名と表紙ですが、内容はシリアスな部分もあり色々と考えさせられる場面もありました…!
    悩みがある時、ぶたぶたさんにぜひ話を聞いて欲しいなぁと思いってしまいます!!
    近所の図書館でぬいぐるみお泊まり会があればなぁ…!

  • はじめてこのシリーズを読ませて頂きましたが、荒れた心に絆創膏を貼ってくれるような世界観だと思いました。
    私も登場人物の雪音ちゃんと心情が重なる部分があったので、ぶたぶたさんみたいな人(?)が近くにいてくれたらなと思いながら読み進めていました。
    このシリーズの他作品も読みたいです。

  • ぶたぶたさんとキャンプ行きたい!
    でも太りそうw

  • ぶたぶたさんが司書になるのかな?と思ったら違って、活躍も思ったより少なめでチョット物足りない感じでした。登場人物それぞれの抱えている悩み・問題では、カメラマンのエピソードがいまいちだったかなあ。他の作品でぶたぶたさんの奥さんが登場したのに続き、お嬢さんが登場したので、ぶたぶた家のエピソードがあったら読んでみたいです。あとがきでの作品中に話題に登った本の紹介が親切ですね。

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著者プロフィール

一九六四年、埼玉県生まれ。八五年、矢崎麗夜名義で星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞し、八九年『ありのままなら純情ボーイ』で作家デビュー。主な著書に「ぶたぶた」シリーズ、「食堂つばめ」シリーズ、「NNNからの使者」シリーズ、『あなたのための時空のはざま』など。

「2022年 『おいしい旅 想い出編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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