リロ・グラ・シスタ: the little glass sister (光文社文庫 よ 19-1)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334766641

感想・レビュー・書評

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  • 注)先に「遠海事件」を読んでいます。
    これが最初の詠坂作品なのかどうかで評価はかなり変わるのではなかろうか。
    少なくともわたしは。
    あまりに物語的なキャラクターたちの会話には終始ハラハラさせられた。彼らは「役どころ」を心得すぎている。
    そしてあのアクロバティックな展開。
    早く電氣人間も読まなくちゃ。

  • 学校の屋上で死体が発見された。
    校内の名探偵と呼ばれている主人公は、依頼人の無実を証明するために事件を調べ始める。
    なぜ死体は屋上にあったのか。
    依頼人と被害者の関係とは。
    そしてまた新たな死人が・・・。


    登場人物がなかなかくせのある人が多くて、意識が散ってしまうのか入り込みにくかったかなと。
    所々、難解な単語や凝りすぎた表現が多くて…読みづらさも感じました。

    結末は、いろんな意味で予想外でした。

  • 再読なので記憶がかすかに残っていたのか、トリックとか双子の入れ替わりなどは読みながら「こうやろ」みたいに予想できてたのだけど、最後に明かされるアレコレはすっかりだまされて、あー!みたいな。
    たしかにちょっと文体読みづらいなってのがあったのですが、そのためか…と。

  • 私立吏塚高校の屋上で葉群という男性生徒の遺体が見つかる。遺体には墜落死の痕跡があり、犯人が屋上から落とした後で再度持ち上げたという疑惑が出るか・・・。最も疑わしい校舎に残っていた人物から無罪証明を依頼される「吏塚の名探偵」。喉を煙で焼きながらハードボイルド風の意妙な学園ミステリ開演。

     後に遠海事件を書く詠坂雄二のデビュー作。事件としては死体が持ち上げられた以外は平凡、殺されてもおかしくない学生が屋上から突き落とされた。打って変わってあまりに異質すぎる登場人物達、煙草で喉を焼く「吏塚の名探偵」、「情報屋」、愛と体を切り売りする「売春生徒」、等身大の青春から大きく離れたリアリティの薄い設定になっている。それでハードボイルド調の物語を展開するのだからびっくりだ、この湿ったドロッとした感じを高校生で出すのだからすごい。

    主人公は自分が犯人であることを殊更隠そうとしてないのだが作者によって最後のページまで核心に至る記述は省かれている。主人公は写真のネガの在りかと観鞍の男装の理由、そして観鞍の無罪証明の依頼の為に動いているのであって真相究明は既に終わっていたのである。全てが明らかになっても「吏塚の名探偵」の人物像は見えてこない。葉群の殺しも脅しを恐れたのか、単純に流出される根本を消しにかかったのか分からない。父に言った殺しの告白も冗談なのか、或いは過去に場数を踏んでいるのかも分からない。謎は謎のままで不思議な魅力を残して物語は終わった。

  • 主人公の私がハードボイルド探偵の役目を担い、学校の屋上で発見された墜死死体の謎を解くミステリ。
    高校生の情報屋、高校生の娼婦など、割とどこかで見た事のある登場人物ながら、掛け合いは見ていて心地よい。
    肝心の主人公の叙述トリックは、一人称から考慮の範疇ではあった為、それ程驚きはなかった。
    一方、観鞍茜の入れ替わりトリックはミステリ読みとしての浅さも相まってか気付かなかった。

  •  ゲームが好きなので「インサートコイン(ズ)」を読んで、その続編を読んだつもりが実は「遠海事件」の続編を読まされる騙し討ちをされ、その前に最初のを読んでおこうと手にした一冊。
     高校生探偵が高校生情報屋や高校生娼婦などとハードボイルドなやり取りで事件に挑む話。
     この独特な世界観を何の説明もなしに誇張された表現で押し付けられ、それが「ギャグ」じゃないという拷問。
     この世界も文体も、トリックを成立させる小道具という事なんだろうけれど…。
     中高生が変わったミステリを書きたくて頑張ったかのような作品な印象。

    • なきむしnさん
      コミックから写真集?まで感想されてて丁寧な人なんですね(๑⃙⃘♥‿♥๑⃙⃘)
      コミックから写真集?まで感想されてて丁寧な人なんですね(๑⃙⃘♥‿♥๑⃙⃘)
      2022/08/24
    • 猿山リムさん
       ブクログは色んなモノの感想を書けて楽しいですね。
       以前は「竹茗堂 ウス茶糖 300g袋入り」なんてのも登録してみていたりしました♪
      ...
       ブクログは色んなモノの感想を書けて楽しいですね。
       以前は「竹茗堂 ウス茶糖 300g袋入り」なんてのも登録してみていたりしました♪
       コメントありがとうございます。
      2022/08/30
    • なきむしnさん
      楽しいですよね♪
      こちらこそ返信有り難うございました^ - ^
      楽しいですよね♪
      こちらこそ返信有り難うございました^ - ^
      2022/08/30
  • 敢えて仰々しいクサイ言い回しを多用し、ノッキングを起こしながら読みすすめさせるスタイルは、少々ラノベのような感覚を覚えました。
    登場人物のキャラ付けも、個性的というよりはアニメのような極端さに見えます。
    主人公の語り口調はハードボイルド調で、タバコという小道具がないと成り立たない雰囲気は、背伸びした子供の遊びのようで、個人的には非常に女々しく思えました。
    使い古されたような大掛かりなトリックも含め、ただの痛い作品なのか、意図してそちらに寄せていっているのか、探り探り読みすすめる形になり、なんというか純粋に味わえないまま読み終えました。
    『電気人間~』の衝撃のラストが頭にあり、そこまで詠坂雄二先生のことを「信頼」していないので。

    …と、ここまで、完全に作者の術中。
    個人的には、主人公が○○と分かったところがポイントでした(←気づくの遅すぎ)。
    かなりギリギリのラインを攻めていて、つまり作風を装うことで謎解きの真剣さや精密さをカモフラージュされたのかと感じました。
    色物っぽいですが新本格だと思います。
    ただ、良い作品だと思いますのですが、個人的には好きではないです。ごめんなさい。

  • 雰囲気やキャラクターもどこか好みではないし、このトリックも正直使い古された感じが...
    もちろん使い方次第ではあるんだろうけど。
    ただ、そこを誤認させることで自然と犯人から外れるっていうのは悪くはないと思う。
    時計のトリックもよくあるって感じ。
    この作品はそんなにハマれなかったが、とりあえず詠坂さんの他の作品も読んでみたい。

  • 久し振りに再読。ネタは憶えていたが、想像の中にしかなかったシーンも。それが良い本というものだ。叙述トリックのひとつは割と早めに解ると思う。探偵が先か事件が先かという命題の後に哀しみ。ハードボイルドのパロディにもなってた。

  • 高校生の探偵「私」はハードボイルドなヘビースモーカー。売春している子もいれば盗撮をして強請りをする子もいる。情報屋までもちろんすべてが高校生。学園ミステリでくくるには変な違和感を持ちながらそれでも読まされてしまいます。巧妙に隠されていたものについては途中で想像できますが、○○が○○であり、○○○でもあって○○だなんて!題名まで含め上手くできてると感心してしまいました。有名作家さんたちが絶賛のこれ、デビュー作なんですね。当然好みは分かれそうですが、しっかり「新本格」です。他の作品も是非読んでみたいです。

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著者プロフィール

1979年生まれ。2007年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」に選ばれ、『リロ・グラ・シスタthe little glass sister』でデビュー。クールな文体で構成される独特の世界観と、本格マインド溢れる謎解きがミステリ通の熱い支持を受けている。

「2022年 『君待秋ラは透きとおる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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