山峡の章: 松本清張プレミアム・ミステリー (光文社文庫 ま 1-32 光文社文庫プレミアム 松本清張プレミアム・ミ)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334766849

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  • 若き女性にとって「結婚がゴール」 となされていた時代があった

    「その一年前、朝川昌子は女子大を卒業した。
    一人で九州を旅行してみたいというのがかねての望みだったが、
    それが在学中は実現せずに、学校を出てから
    初めてかなえられたのである。」

    松本清張『山峡の章』の冒頭
    この一節をとってみても時代がわかろうというもの
    今とは全然違うのである

    その旅行中にひょんなことで、東大出の経済官僚の堀川と知り合う
    朝子は交際一年もしないうちに結婚することになる

    旅行中に知り合ったとはいえ「三高」
    高学歴、収入安定おまけに背が高い理想の結婚のはず

    ところが、ところがである
    うまくいかない
    エリート意識の高い堀沢の冷たさばかりではない
    朝子のほうもいけない

    旅行で知り合った時に堀沢の友人も一緒だった
    だだし、彼の職業も履歴もわからず
    おまけにずんぐりむっくり、朝子は堀沢を選んだ

    しっくりしない新婚生活に悩む朝子に
    妹と夫の失踪、死体発見の展開が待っていた

    と、ミステリーは流れる

    わたしは文藝春秋社の松本清張全集の38巻までしか
    持っていないから未読がかなりある
    最近、光文社でプレミアムミステリーと銘打って
    あった文庫本を本屋で見つけた(おやおやもう第二弾か)
    読んであるのも、ないものもあるけど

    まだ読んでいないものを見つけると嬉しくなる
    やはり清張さんの文章は落ち着く(うまいのである)
    冒頭の文章からして安心してはまった
    (その時代に同時に生きていたいう安心感もあるのだろう)

  • 面白かった。展開が早く最初からどんどん読み進めてしまう。夫と妹の情死に納得できない主人公が真実を調べるストーリーだが前半は冷たい性格の夫、心の通わない夫婦生活、社会勉強と称して年上のセレブ達と交流する妹のキャラクターが描かれる。それだけでもやっぱり松本清張の小説は面白いと思う。結末に意外性はなかったけど真実が知りたくてワクワクしながら読めた本。

  • 1960年から雑誌「主婦の友」に連載され、改題された出版されたのが本書。九州旅行で偶然出会ったのをきっかけに、経済官僚と結婚した主人公。しかし、夫の様子は、結婚前と少し異なる。ある日、夫と妹が東北のひなびた温泉地で心中事件で亡くなる。その後、夫にはスパイ容疑までかけられる。人妻の主人公が、その真相究明に乗りだす。官僚組織と米ソ関係、そして戦後の日本が絡み合う。とはいえ、結局、真相は薄らぼんやりとしか綴られおらず、犯人逮捕も書かれず、主人公のその後も描かれていないという、読者としては、何とも不良消化・・・。

  • しゃべり方や時代が古い印象。
    旦那さんと妹が不倫の末、自殺?という内容や旦那さんとの結婚生活についてはすらすら読み進められた。

    でも裏にある社会的や政治的背景はありがちで先が読めたのが残念。おもしろさにかけたかな。

  • 経済企画庁の官僚である夫と、自分の妹が時期を同じくして失踪、疑問を持った妻が事件の真相を追う。
    内容にさほど抑揚があるわけではないのに、不思議と面白かった。
    内容的には2時間サスペンスになりそう。
    「氷の灯火」改題

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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