電氣人閒の虞 (光文社文庫 よ 19-3)

著者 :
  • 光文社
3.53
  • (22)
  • (26)
  • (50)
  • (10)
  • (1)
本棚登録 : 338
感想 : 46
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334767280

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 一部の地域で語り継がれる【電気人間】の都市伝説。
    その電気人間の真相を追う者が次々に死んでしまう。

    帯の「ラスト2行」ってそれ?!と、ポカーンとなった。
    詠坂さんの作品ははじめてだからかな?と思ったけど、続編があるわけではないようなので、投げっぱなし?のオチとも読める?
    でもタイトルの電気人間の「虞」って、そういうことか、なるほどね、ともなった。

    改ページのしかた?ページの使い方?が面白い。
    これは文庫本でしか味わえないのかな?
    ゾワッとする場面でインパクトのある一行を最後にもってきて、ページをめくるとガラッとシーンが変わっている。あれ?と思ったら物語が進んでいて。映画みたいな感じ。


    「「殺人が大変だと思う人ならね。でも、他者を殺すのは生き物ならごく当たり前のことだよ。僕らが食べてるものは九十九パーセント植物か動物の屍体だろ。」」

  • 最後の解説がなかったらつまらないで終わってたかも。章の初めが「電気人間」から始まることで、「電気人間について語る者に、電気人間は引き寄せられる」の条件を満たし、全て電気人間目線で語られたストーリーだった、というカラクリ。実はずっと私(読者)の隣に電気人間がいたような、それに気がついた時に電気人間になんだか感情移入しました。ラスト2行はそこまで衝撃じゃない、というか、ラスト2行で完全に置いてかれた笑

  • 個人的には好きな部類の内容でした。
    人によっては壁本なのでは?笑

    ただ物語のトリックがわかった時には鳥肌が立ちました。
    最後の一文には失笑しました笑

    解説がとても良きです。

  • 最後の最後で一撃が来ました。見えないものが見えるようになるのって怖いし、本当に面白いです。この作品は明日の読書会の課題本ですが、我々は生きて帰ってこれるのでしょうか……

  • 「電気人間って知ってる?」一部の地域で根強く語られている奇怪な都市伝説。真相に近付く者は次々に死んでいく。語ると現れ、人の思考を読むという電気人間は存在する!? ライターの柵馬朋康もまた謎の解明に乗り出すが、複数の仮説を拒絶する怪異は、彼を出口の見えない困惑の迷宮に誘う――。ミステリか、ホラーか。ジャンルの枠を軽妙に超越する鮮烈の問題作!

    遠海事件の時にも感じたのだが、この作者はミステリ通な人たちには、受け入れられる要素が多い作風だと思う。

    電気人間という都市伝説に関わった人間が、不自然な死を遂げていき、物語の方向性(ホラーなのか?ミステリなのか?)がわからないままに、徐々に本格ミステリとしての形がとられていく。推理による仮説は、背筋が凍るような怪奇な事件と絡み、ホラーミステリとしての設定をうまく引き出している。しかも、これはバカミス!!納得できない強引な結論には苦笑い…

    と油断していると、企みに度肝抜かれることとなる。不安定な既視感や違和感は確かにあったのだが、某作でも有名な〇〇〇を、恐ろしくも巧みに使うことで、本格ミステリとして、また、ホラーとして、圧倒的な作品へと押し上げている。「えっ!?」と声が漏れるほどのサプライズ。愕然としていると、ラスト1行で神作品へ…と思うのは私だけでしょうか?壁に投げつけるのはやめましょうね笑

  •  『5A73』がそれなりに反響があったのか、詠坂雄二さんの過去作品が重版され、煽りの帯が付いていた。その中から、年末ランキングで見かけた記憶がある本作を手に取ることにした。過大な期待はせずに読み始める。

     過去ランキングを確認してみると、2010年版『本格ミステリ・ベスト10』第13位、2010年版『このミステリーがすごい!』第20位。微妙な順位である。読み終えてみると、まあそのくらいの順位かなあと妙に納得してしまった。

     一部地域で根強く語られているという「電気人間」の都市伝説。語ると現れ、真相に近付く者は死んでいく。事件性なしと判断された3人の死に、電気人間が関わっているのでは? ライターの柵馬が謎の解明に乗り出すが…。

     序盤の展開は、『5A73』に似ている印象を受ける。謎の後始末をどうするのか。『5A73』以上に、合理的な解決に持っていくのは困難では。『5A73』は幽霊文字というアイデアの秀逸さで興味を持続できたが、本作は電気人間だぜおい。

     内容よりも登場人物の癖の強さが目立つ。死んだ3人。中でも高校生の彼はかなりヤバい。つっけんどんな小学生。そして、棚馬に協力を依頼される、作者と同姓同名の作家・詠坂雄二…。本気なのかふざけているのか悩ましい。

     固定した探偵役がいないのが一つの特徴と言えるだろう。それぞれに謎に迫った面々。多重解決物と言えなくもない。最も確からしいのは詠坂説かもしれないが、残りページ数は少ない。このまま消化不良で終わるのかと思ったら…。

     ある意味、この手の怪異ネタを扱った作品としては、意表を突いた結末と言えるだろう。追い打ちをかけるような最後の1文に唖然とする。何だそりゃ。続きを読みたいような読みたくないような。続きが書かれることはないだろうが。

     失礼ながら、正直滑り気味な本作だが、解説はもっと滑っていると言わざるを得ない。解説者泣かせな作品だとは思うけれども。

  • 4.2

  • メフィスト向けな作品。
    小学生そんな難しい事喋らんやろ…ってずっと思いながら読んでました笑
    たしかに最後の展開は衝撃でしたが、全体的に「??」が多い作品でした。発想は良き。

  • ミステリー
    おもしろい

  • 語ると現れ、人の思考を読み、電気で人を殺す電気人間。 真相を追う者は次々と死んでいく。
    誰かの流した都市伝説なのか、それとも実在する殺人鬼なのか・・・。  あなたは電気人間を信じてる?

    ホラーかミステリーか。 真実はあるのか無いのか。 物語の出口が見えないまま突然の終局へ、フェアとかアンフェアとかどうでもいい人ならたまらない作品だと思う。
    全てが明かされることで物語は「電気人間」が主人公のストーリーに様変わりし、タイトルの虞というのが、「電気人間」が語る人を失い消滅することを恐れていることに繋がることが素晴らしい。

全46件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1979年生まれ。2007年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」に選ばれ、『リロ・グラ・シスタthe little glass sister』でデビュー。クールな文体で構成される独特の世界観と、本格マインド溢れる謎解きがミステリ通の熱い支持を受けている。

「2022年 『君待秋ラは透きとおる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

詠坂雄二の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×