東京すみっこごはん (光文社文庫 な 41-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334769505

感想・レビュー・書評

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  • 生きていく上で様々な悩みを抱える、年齢も職業もばらばらな人たちが集まるのは、商店街の一角にある「すみっこごはん」。ここはくじ引きで料理当番が決まる共同台所。
    立場の違う人たちが集まり、みんなで「いただきます」と手を合わせて、あたたかいご飯を食べる。個人の事情に無理に立ち入ったりはせず、他愛のない話をしてご飯を食べる。そして答えは見つからなくても明日を生きていこうと決意を新たにする。お互いに深く事情に関わることはなくとも、温かいごはんが悩み苦しむ心に満ちるところが魅力に満ちていた。
    そしてすみっこごはんにある「レシピノート」には秘密が隠されており、短編の物語が連なり秘密が明かされるときには涙が止まらなかった。誰かと一緒にご飯を作って、誰かと共にご飯を食べる。そんなひとときが悩める心に染み渡る。
    美味しいとは限らない、けれども温かな「すみっこごはん」の料理で心も体も癒やされる物語だった。

  • 年齢や職業も異なる人々が集い、手作りの料理を共に作り食べるずみっこごはんは共同台所でした。わけありの人々それぞれの人生があり悩みもあるがそんな人々の背中を押してくれる温かな話でした。

  • 東京下町にある「すみっこごはん」という名前の共同台所。
    そこに集い、ともに食事する人たちのお話。

    つい先日、食堂付き(調理する人は日替わりで、低価格で食べられる)アパートが人気だと言うテレビ特集を見た。
    年齢も境遇もそれぞれ違う誰かと、短時間、少しの交流をする…というのは、結構求めている人は多いんじゃないかな。
    この本に出てくる人たちは、それぞれに悩みや葛藤を抱えている。
    誰かにまるっと解決してもらうのではなくて、すみっこごはんでの交流をきっかけにして、自分の力で解決していく、というのが良かった。

    すみっこごはんがどうして始まったのか?誰が始めたのか?ということについては、想像の範囲内というか、そこまでの驚きはなかった。
    なんとなく、だけど、この本の作者さんはきっと丸山さん(50代の公務員男性)のようにきっちりした真面目な性格の人なのかな?と思ったりした。
    公図から所有者をあたり、内閣府の公開情報を調べるという方法は、王道でありながら、なかなかに渋い謎解き方法だった。

  • ここは、みんなで集まり、当番に選ばれた誰かの手作りごはんを食べる場所です。

    おじいちゃんとの二人暮らしもギスギスして、高校では空気のように扱われて、通りかかった古ぼけた一軒屋へ、あれよあれよと引き込まれた楓。
    居場所が無い様に感じていた彼女と普段は接点のない人々。そんな常連の皆んなに囲まれていて。

    三十路半のOLのナオ、タイからの留学生、区役所の還暦間近の丸山、料理人の金子、お節介な下町のおばちゃん、顔も口も柄も悪い柿本。
    それぞれ、立場も違えば思いも違う人々が集って料理を作りあってごはんを食べる。
    それぞれの生活と、想い。

    いじめ、婚活、孤独な海外生活、重い話が続くけれど、すみっこごはんでの出会いが、それぞれに腹を決めるきっかけをくれてる。

    どんなに今日がからっぽでも、器に食べ物を満たし、「いただきます」と手を合わせれば、必ず明日が見えてくる。

  • *商店街の脇道に佇む古ぼけた一軒屋は、年齢も職業も異なる人々が集い、手作りの料理を共に食べる“共同台所”だった。イジメに悩む女子高生、婚活に励むOL、人生を見失ったタイ人、妻への秘密を抱えたアラ還。ワケありの人々が巻き起こすドラマを通して明らかになる“すみっこごはん”の秘密とは!?美味しい家庭料理と人々の温かな交流が心をときほぐす連作小説! *

    全体の構想、丁寧に作られる料理の描写、1話1話の伏線が最後には見事に収まるストーリー展開が心地よい作品。深く考えず、さらりと読むのがおススメです。ご都合主義な部分も含めての読みやすさや温かさがあってもいいと思うので。

  • すみっこごはんという、年齢も性別も違う色々な人が集まって、くじ引きでご飯を作る人を決めてご飯を作り、みんなで食べるという場所のことが書かれた本。

    本当に色々な人が集まり、その色々な人は心に何かしらの悩みを抱えていて。

    最後にすみっこごはんの謎も明らかになるのですが、まだ知りたい謎もあり。(続き、ありますよね)

  • ずっと積読状態だった一冊。
    ほっこり系を読みたい時は食小説に限る!の持論の元やっと手に取りました^^;
    ありがちな美味しいご飯屋さんに常連さんが集まって自分の居場所を確認するように温かな時間と美味しい料理にほっこり(^^)…の安定したストーリーかと思いきや、ちょっとだけ違った!
    作るのはクジであったたその日の来店客、レシピを見ながら家庭料理を作る…ちょっと風変わりな、でも心安らぐご飯屋さん!
    初めは、似たような食小説が多い中他の小説とは食事処の形態を変えたんだな…と思っていたのがラスト迄読んであっ、こういう事!だからこの設定なのか…と妙に納得。
    子を想う母の心、見守る常連さん、引き継ぎ守り続けた〇〇さん(一応伏せておきます)の温かさにじ〜んとした。
    最後の最後で気持ち持っていかれました。
    ここからどうなるすみっこごはん!第2弾も読もうと思います!

  • 東京すみっこごはん(光文社文庫)
    著作者:成田名璃子
    発行者:光文社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    皆で囲むご飯の美味しさを思い出す脳の記憶の名作。

  • どの悩みもありがちで胸が苦しくなる。
    ツライとき こんな場所があったら 救われるだろうなぁ。
    現実には難しいケド。
    人間関係って ほんとちょっとしたことで歯車が狂って上手くいかなくなったりすることあるんだよねぇ。

  • 連作短編集。傑作である。
    共同台所 すみっこごはん。素人が作るので、まずい時もあります。見知らぬ人たちが集まり、当日集まったメンバーがくじ引きをして料理当番を決める。集まった人がかわりばんこに夕飯を作り、みんなで食べる場所
    悩みを抱える人たちが集まるあったかい場所。家庭とは違うホッとした場所、団欒がそこにはあった。そんなセーフティネットのような場所が、あったらなんて素敵なことなんだろう。

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著者プロフィール

1975年青森県生まれ。東京外国語大学卒業。『月だけが、私のしていることを見おろしていた。』で電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞し作家デビュー。シリーズに『東京すみっこごはん』『今日は心のおそうじ日和』がある。著書に『ベンチウォーマーズ』『ハレのヒ食堂の朝ごはん』『坊さんのくるぶし 鎌倉三光寺の諸行無常な日常』『世はすべて美しい織物』『時かけラジオ 鎌倉なみおとFMの奇跡』『いつかみんなGを殺す』などがある。

「2023年 『月はまた昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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