- Amazon.co.jp ・本 (587ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334772239
感想・レビュー・書評
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面白かったです。熱量すごい。
エリザベス1世より、グローニャのお話だったなぁ…海賊女王の生涯。
グローニャがかっこよすぎて魅力たっぷり。情は深いけど頭が切れて強くて。60代でも船を指揮して、戦場にも乗り込んでいく。
エリザベス1世は半分耄碌してかヒステリックだったし、愛人の機嫌取って…でもこの人もいきなり聡明になったりするのでさすが王。
死んだと思った人が生きてたり、かと思えば死んだり…トイリー。。
「幾つもの生が、触れあい、また離れていく。」まさにこれ。まざまざと。
ラストシーンもしみじみ良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
16世紀後半のイギリス。イングランドのエリザベス女王と、アイルランドの海賊グラニュエル(グローニャ)・オマリー。同じ年に生まれた二人の女性を軸に、アイルランドの歴史が綴られる。イギリスの正式名称に北部アイルランドという言葉が含まれていることは知っていたが、それがどういう意味を持つのか、この本を読んだ後に、現在の地図を見て確認をした。ゲールという民族が住む、独自の文化圏だったアイルランドとプロテスタントに改宗させようとするイングランド。ゲール同士の争い。西洋史は苦手だが、グローニャの魅力で、長い物語を読み通した。血みどろの争いだけでなく、宮廷の陰謀などもあり面白かった。
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怒涛に次ぐ怒涛の展開で、地理と世界史が苦手な私もページをめくる手が止まらなかった(下巻は)(上巻は1ヶ月かかった)。彼らの生は鮮烈で過酷で、そしてどこまでも力強い。
皆川作品を読むたびに感じることだが、皆川先生は彼らとともに大海原を駆け巡り、彼らの世界を見てきたとしか思えない。 -
時は16世紀。スコットランドに生まれたアランは17歳になった時、弟と共に戦士集団に加わりアイルランドに渡った。
そこで出会ったのは、海賊を生業とするオマリーの氏族の猛々しい男たちと、赤い縮れ毛の首領の娘グラニュエル・オマリー(グローニャ)。
アランはグローニャの従者となり、闘いと航海に明け暮れる波瀾の日々へと身を投じたー
壮大なスケールで描く、実在の女海賊の凄まじき生涯!
雇われ武人の筈だったアランが、賭けの結果グローニャの従者になり、彼女の生涯を隣に立ち綴った、という風な物語。
本編であるグローニャの海賊の生涯も波瀾万丈で面白いんだけど。
冒頭の英国王家・政治中枢部の陰謀渦巻く駆引きの方がワクワクしちゃった-
劇作家達は他の色々な物語でスパイだったりするし。
殺人事件が起こった時には“開かせていただき光栄です”を思ってしまった-
本当に、このウォルシンガム配下のオーランドやナサニエルらスパイ達の物語が読みたいと思いました。
グローニャ達海賊の歳を経ていく描写が面白い-髪が白化しなくなって行く様なんかが。
世代交代して、続いていくのが凄い。
グローニャ達世代が去り際を心得ているのが、鮮やかで。
しかしカトリック・プロテスタントと目まぐるしく主流が入れ替わり、信教によって自身の立ち位置も有利不利(どころか生き死にに関わる)が振れる生活って…落ち着かなさすぎるよ-
そこへ土着のケルトも混ざって複雑-
身に染みてるものと、有利不利を吟味して付く側を選びとる…複雑-
付属の地図が分かりにくいったらないよ-
もっと詳細なのか、逆にもっと単純化したものの方が良かったかと。 -
冒険と、争い、闘い、抵抗
少女が老女になるまでのグローニャ!
それに付き従うアラン!マクティーリャ!オシーン!
たちが半世紀を駆け抜ける、少し苦しさ、
物悲しさを帯びながらも大海のように爽快なゲールの物語。
一方、女王を利用し自らのための権謀術数渦巻く
イングランドはペスト禍のなかということもあり
薄暗く重苦しく爛れた空気。
どうやって二つの物語が結びつくのかと思っていたら
まさかその人が、そのような背景で、という驚きで、
それも単にそこで終わりのヒトネタではなく、
二つの国、二人の女王の物語を一気に読まされた。
史実に基づくイベントがベースにあるといっても、
これだけの濃厚で力強い作品を描いたのが
(知っていたけど・・・)
グラニュエルの最晩年より年上の女性という!
あっさり退場するひと、明かされなかった?謎
分厚い上下巻だが、もっともっと読みたかった。
Wikipedia Grace O'Malleyをスラスラよめたらなぁ~ -
イングランドによるアイルランド侵略とアイルランドの混沌とした状況が、20世紀のアイルランド独立闘争にまで繋がっていることを改めて認識させられる。
女王エリザベス1世と、ほぼ同時期に生きた海賊女王グラニュエル・オマリーとの対比、侵略するものと侵略されるもの、一つの統治国家としてのイングランドと多数の氏族があり混沌とした政治状況のアイルランド、家臣や家族との関わり方、どちらが幸せだったのだろうか?
この本で描かれるグラニュエルは魅力的。そして、この本で描かれる子供達も活発でかわいい。