東京すみっこごはん 雷親父とオムライス (光文社文庫 な 41-2)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334772727

感想・レビュー・書評

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  • ☆4

    シリーズ第2弾

    様々な悩みを抱えた人達が集まる「すみっこごはん」。
    今作では思わず涙がこぼれそうになってしまうお話や、ハラハラドキドキする場面もあったり…とても楽しませてもらいました。(田上さんのミセス・ボルトが素敵でした!)
    最初は苦手だなぁと思っていた柿本さんのことも、シリーズを読み進めていく事にいつの間にか好きになり始めていたりしております❁⃘*.゚
    第3弾も読み進めるのが今から楽しみです(*´˘`*)

  • 前作がとても良くて、シリーズ全部を読んでみたくなって、2作目。
    声優の専門学校に通いながらも、自分の可能性に自信を無くした女性や、スーパーを始め、あちこちでクレームをつけまくる定年後の男性、勉強は出来るが、本当の幸せがよく分からない男子小学生など、今作でも様々な人物が「すみっこごはん」に集まる。
    そんななか、すみっこごはんの場所が駅前の再開発の計画に入っているという噂が流れる。
    みんなが心配するが、オーナーの柿本は多くを語らない。
    そこで「お節介おばさん」田上さんが大活躍。
    田上さんが噂の真相と、すみっこごはんのメンバーの中にスパイがいると疑い、旦那さんと協力して、何とかすみっこごはんを守ろうとする姿にほっこり。
    そして、何とか入り込んだ説明会には、何とすみっこごはんに集まる常連メンバーが勢ぞろい。
    それぞれがすみっこごはんを守るために動いていたことを知る。
    最終的にすみっこごはんの土地は守られ、一件落着。
    ただの共同台所ではなく、人との絆を大事にする場所であることが印象深い。
    すみっこごはんの存続の問題が描かれているので、通常メンバーのお料理のシーンは少なめだけど、この作品を読むと「料理は丁寧にするべし」と思わされる。特に筑前煮は感慨深かった。

  • 前作の「すみっこごはん」の魅力に引きこまれ、今作も流れるように手にとった。
    今作でも様々な悩みを持つ人々がすみっこごはんにやってくる。悩みながらもすみっこごはんに集まる人と話し、温かいご飯を食べることで、前を向けるようになる。前作よりもそれぞれの人々の関わりがより密になり、人と人の繋がりを大切にしているのが感じられる。
    しかし、そんなすみっこごはんに流れるは再開発の対象地区に含まれるという噂。そんなすみっこごはんの危機に立ち向かう。この物語を通じて「すみっこごはん」はただの共同台所ではなく、みんなの居場所になっていると感じた。
    思わず食べたくなるようなご飯とあたたかな人の絆を感じる、おいしい癒やされる物語だった。

  • 『東京すみっこごはん』その2。

    東京にほど近い、昭和のような駅前商店街から少し入ったところにある『共同台所 すみっこごはん』。
    第一作でその成り立ちが明らかになったところで、今作はまた悩める新しいメンバーがやってくる。

    …という感じでどんどんメンバーが増えていったら満員になっちゃうなぁ、なんて呑気に思っていたら、ふたつ目の物語で登場した昭和の頑固親父・有村さんが、三つ目の物語で亡くなってしまった…
    悲しいエピソードは、楓のお母さんで打ち止めと思っていたので、不意をつかれてしまった…えー、そんな退場の仕方、必要だった?

    本作では、唐揚げ、筑前煮、オムライス、そしてごちそうメニューとしてミートローフが登場。
    駅前再開発の波に飲み込まれることを見事回避したすみっこごはんは、これからも続くようですね。

    個人的には、このシリーズには、ひたすらおだやかに、優しく美味しい展開希望です。

  • 小学生の自由研究の話題や、亡くなった奥さんの料理の隠し味の秘密など、今回も盛りだくさんでした。

    人が亡くなると、作ってくれた料理の味も無くなって悲しいのですが、無くなるわけではなく探せばあるのですね。(しかも、結構身近に)

    亡くなった妹の玉子焼きの味を再現させたいなぁと思いました。

    後、再開発、気になります。(すみっこごはんのメンバーの行動も、思うことは一緒なのだなあと嬉しくなりました)

  • 東京の古い路地にある協同台所「すみっこごはん」(素人が作るのでまずい場合もあります)。

    声優を目指す若い女性。
    妻に先立たれてひとり暮らしをしている高齢男性。
    毎日塾に通う小学生男子。
    新キャラが数人登場して、常連になる人もいれば、人生の交差点ですれ違うように数回来訪するだけで自分の道に戻っていく人もいる。

    第2作の本書のサブタイトル「雷親父とオムライス」は、塾通いの小学生と、雷親父こと有村さんの交流を描いたお話。
    有村さん、元気なおじいさんだと思っていたら、突然の別れ・・・。
    小学生の男の子にとっては、人の死というのは身近なものではなくて、きっとすごく悲しみにくれたんだろうな・・・。有村さんにとっての「死」と、こどもにとっての「死」の大きさの違いを感じた。
    この話読んで、息子にオムライス作ってあげたくなって作ったよ笑。
    普段はスクランブルエッグ作ってチキンライスの上に乗せるくらいのテキトーオムライスだったけど、ちゃんと卵でくるんでさ。

    そしてすみっこごはんに訪れる、用地買収の危機。
    ここまで露骨でないにせよ、近年の東京近辺ではよく繰り広げられている話かも。
    スパイは見つかって追放できたけど、その後も用地買収自体は続くわけで、まだこの問題は続きそうだ。
    ただ、「この場所を守ろう」という気持ちはよく分かるんだけど、権利者でもない一利用者が首をつっこみすぎのような違和感を覚えたよ。
    権利者である柿本さんがどうするか決めることであって、柿本さんがどのような選択をしても仕方ないことだろう。それなのに、柿本さんのことを犯人扱いするなんてな。高校生の楓ちゃんならともかく、大人げないなーと思ってしまった。
    とはいえ、「鳥の巣症候群」は私も10数年後他人事ではない気がする。そうなったときに、私にも心の拠り所があってほしいな。できればおいしい食べ物があるところで!

  • 前作が大好きだったけどあれで完結だと思っていたから嬉しくて読むのが楽しみで仕方なかった。
    期待を裏切らず面白かったー!筑前煮とオムライスのお話が特に良くて、あと最後のスパイ探しも伏線を思い出しながらドキドキしながら読んだ。
    私自身が手抜きが多く、丁寧にお料理をつくれる人間ではないので耳が痛い部分もあるけど、こんな風に作れたらいいなあといつも思う。
    由佳さんのレシピが欲しい!
    そして続編でるのかなー。楽しみ。

  • 金子さん 優しいな。
    柿本さんも口は悪いけど いいひと。
    ここに集まるひとは みんな優しくていいひと。
    それって みんな 切ない何かをかかえたことがあるからだよね。だから 他人の切なさも察することが出来るし そっと寄り添うことができるんだよね。わたしもそういう人でありたい。

  • 「自信なんてなくていいんだ。ただ、愚直に信じて頑張るだけなんだ。プロなんて、その延長線上にしかいないんだよ。」

  • 共同台所「すみっこごはん」続編です。

    続いてくれたんですね。前作がとてもいい雰囲気だったので嬉しい♪
    "すみっこごはん"での晩ご飯、ご相伴にあずかります。(笑)

    だけど今回は、なんだか不穏な空気に包まれていましたね...心配です。
    いくら頑張ったとことろで小さな規模ではきっと押しつぶされてしまう。
    こと現実問題では.....と思うと、お話のなかといえども気が揉めてしまいました。

    田上さんが頼もしい♪笑顔がトレードマークでおしゃべり好きで
    な~んか頼りになっちゃうというおばちゃん。身近にいそうで親近感湧きます。
    新しく仲間になった有村老人と秀樹君も、やっぱりどこかにいそうで

    だからなんでしょうね、こんな拠り所が近くにあったら
    仲間に入れてほしいと行ってみたくなる...♪

    やっぱり渋柿さんは今度もまたいい役回り。
    渋~くいい奴だなぁ...もう~このぉ。^^

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著者プロフィール

1975年青森県生まれ。東京外国語大学卒業。『月だけが、私のしていることを見おろしていた。』で電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞し作家デビュー。シリーズに『東京すみっこごはん』『今日は心のおそうじ日和』がある。著書に『ベンチウォーマーズ』『ハレのヒ食堂の朝ごはん』『坊さんのくるぶし 鎌倉三光寺の諸行無常な日常』『世はすべて美しい織物』『時かけラジオ 鎌倉なみおとFMの奇跡』『いつかみんなGを殺す』などがある。

「2023年 『月はまた昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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