冬天の昴 (光文社文庫 あ 46-8 光文社時代小説文庫)

  • 光文社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334773755

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ中でも面白さでは群を抜いている「冬天の昴」。冴え渡る木暮信次郎の考察と推理。遠野屋清之介の過去の片鱗を見せる立ち回り。二人の主役がぶつかりながら、引き合う磁石のSN局のよう。さて、ふたりの駆け引きは次作ではどうなるのか?ワクワクするシリーズ。

  • シリーズ⑤の一冊。

    真冬にこのタイトルの巻を読めてまず自己満足。
    そして心中事件の闇を暴く信次郎の魅力がたっぷり味わえてさらに満足。

    危険な男と言われる信次郎の言動にはまるで刃を向けられたかのようにヒヤヒヤしつつも、彼の絶対的な推理と自信、手腕に惚れ惚れした。

    信次郎の胸の内はあくまでもチラ見せ、そこがまたそそられる。

    清之介と信次郎のお互いを見る目、距離もグッと増した。

    木暮さまの全てを知りとうございます…の清之介のセリフはちょっとBL感じてドキドキ。

    同じく、自分も危険を承知で彼の全てを知りとうございます…。

  • 前作で見せ場が殆どなかった木暮信次郎を中心に物語が進む。清之助の過去は重く感じるが、信次郎が登場すると軽快さが増すように感じてしまう。

    始まりは前作で登場した品川の旅籠の女将、お仙。この時は38歳だが、10年前に一大事が起こっている、お仙も過去を持っていた。それと同じことが信次郎の周りで起きた。
    これまで以上にミステリーの要素が大きいと感じる。単純な動機ではなく、少し複雑に入り繰ったところに信次郎の推理が冴える。

    人の気持ちや描写の仕方が美しく奏でられる文体は、あさのあつこさんの特有のものだ。表現に豊かさを感じる。起こった事件の壮絶さを、登場人物の描き方や表現力で、柔らかくしているために、軽快さがあり、心温かくしてくれる。

    ミステリーの構成としては併せで、並行して描かれた場面を最後に併せる手法は、今回も顕在だ。

  • 信次郎カッコいい( ∗︎°▽°∗︎ )♡︎

    推理もダークな感じも冴え渡ってましたなぁ。
    お仙への思いやりが遠野屋を用心棒にするところで溢れてて萌。最高の用心棒。
    そして最高の囮役。
    2人の息が本当にあってきたのを感じる一冊でもありました。

    2022.9.25
    142

  • 信次郎と同じ同心の赤田が女郎と心中した。
    その事件に不審を抱いて調べ始める信次郎と岡っ引の伊佐治。そこにいつもの遠野屋も加わって、今作も面白かった。
    この作品の真の主役は、江戸で生きる女達であったように感じる。皆、痛みを抱えながら直向きに生きていて心ひかれる。

  • 進次郎のセクシーな魅力に溢れた回でした。
    シリーズ5作目になり遠野屋とは冗談を言い合えるほどの仲良し?に。
    2人の間の伊佐治の役割も定着してきた感があり、謎解きベースのお話自体を腰を据えて楽しめる段階になった感じです。
    シリーズを通した事件で少しずつ確実に変化していく遠野屋清之介と、ブレずにサイコパスな木暮進次郎。そんなつもりないはずなのにいつの間にか進次郎ペースで事件解決に協力しちゃってる遠野屋清之介と、事件解決に利用するついでに遠野屋を刺激しあわよくばダークな素顔を引きずりだそうとする進次郎。
    ちょっとずつ信頼感が醸成されていくなかで、2人のやりとりも濃さを増しており良いです。
    伊佐治にお茶かけられる場面最高。
    女性のキャラクターも個性的な魅力いっぱい。いつの間にか3歳になってたおこまちゃんの出番がちょっとだけで残念でした。

  • 弥勒シリーズの5冊目。小暮新次郎の毒のある言葉がキレッキレ!絶対お知り合いにはなりたくないと思いながら、目を離すことができない。対称的な清之介の綺麗な佇まいにもやっぱり目が離せない。ひとつの心中と思われた事柄から深い闇を暴いていく新次郎が凄い。相変わらず一気読みだった。

  • 信次郎と遠野屋、じゃれあってて突然シャーッってなる猫のよう。
    伊佐治、キレる。そりゃそうだ。笑。
    しっつこーーーい心理描写がちょっとだけ、ほんのちょびっとだけだが減って、ちゃんとミステリーになっている。

  • 75 一歩を詰めねば見たいものは見えぬ気がいたします。
    280 身体ならば腐りはてれば土にも還ろうが、心となれば腐りに腐り、ただどこまでも腐っていく。

    人間は一度でも道を踏み外すと、どこまでも落ちてゆくものだということを再認識した。

    自分の保身のためならなんでもできてしまうところが怖かった。

  • 弥勒シリーズ第5弾
    北町奉行所定町廻り同心、木暮信次郎の同僚での赤田哉次郎が女郎と心中した。背景には賭博と借金がー

    面白かった!

  • 同心と女郎の心中事件を発端として物語は動き出す。そして、10年前にも起きた同様の心中事件によって人生が大きく変わってしまったお仙と、遠野屋で仕事をすることになったおうの、遠野屋で催される集いに訪れるお登世。これら三人の女たちのそれぞれの人生の来し方といまが語られる。

  • 第五弾
    お栄の過去から始まり、同様な心中偽装事件が、世間的にはもっぱら心中として広まり、奉行所は
    一人、同心の性格から疑問を持つ変わり者の同心木暮
    彼を助けるいつものメンバー、そして背後には殺し屋組織と、犯罪をアレンジする者
    観察力の鋭さと、新たに加わった遠野屋主人の兄の妾
    色々な条件が重なり無事に

  • 面白いです。

  • 内容は文句なしにおもしろい。装丁も作品の大事な要素だとおもうんだけどな。

  • 久しぶりに読んだ弥勒シリーズ。前作を読んでから少々間があきました。その分、新鮮さが増したように感じたのですが、いやいや、間があいたからではなく、5作目は新鮮なものだったように思います。
    これまでよりも、グンと本格ミステリーになったような感じ。謎解きがとても楽しかった。木暮の語り口で謎が解かれていくことの快感を覚えるのです。
    そして、遠野屋がもつ切なさが幾分少なくなり、なんというのでしょう、凄技を持ちながら、なんだか人間臭さが出てきたような。それは今作、木暮の動きがより注目されるようになったために、遠野屋の温かみが目だったのかもしれません。同様に伊佐治の人らしさも多く描かれているような感じがしました。木暮がホームズなら、遠野屋はワトソンか、となるのかもしれませんが、私は遠野屋はイリヤ・クリヤキンのように思えました。木暮はナポレオンソロには似ていませんが。
    どうにも目が離せないシリーズです。
    面白いです。
    時々、この二人のセリフをつぶやいてみたくなります。

  • 「弥勒シリーズ」の第5弾とは知らずに最初に読んでしまった。しかし違和感なく読み切りで完結していた。冷静沈着で事件の筋を絶対外さない同心、木暮信次郎の捕物帳。女郎と武士の無理心中と思われた二つの事件が実は心中に見せかけた殺人事故ではないかと気づいたところから、数日のうちに事件を解決していく。この小説の面白さは、小間物問屋遠野屋の主人、清之介の存在にある。信次郎がシャーロックホームズだとすると、清之介は知らず知らずにさせられているワトソン。元武士である清之介の優しくてすこぶる強い紳士っぷりが、事件解決に役立つことが心地よい。

  • 2018.05.15.読了

  • 今作のおもしろさは、江戸の世を生きる女性の姿にあると思う。
    おうの、お仙、お登勢など、各々が紆余曲折を苦悩して、もがいて、乗り越えてきた過去があって、それでもまだ何かに悩んでいる姿がある。
    色っぽくて魅力的な女性たちだと思った。
    メインは、信次郎、伊佐冶、遠野屋だけど、毎回スポットライトの色や、当たる角度が少しずつ違うので、読んでいて飽きが来ないのかもしれない。

  • やはりこのシリーズの魅力は、小暮信次郎の怜悧さとそれを恐れながらも惹かれていく周りの人々(と読者)にあるのでしょうか。信次郎の向かいに清之介が座る時、伊佐治が座る時、そこに生まれる景色が心を捉えてはなしません。

    今回は、筋立てが犯人をひっかけていく形なので、ますます景色を楽しんで、贅沢なひと時を満喫するのがよいのかも知れません。

    ただし、次は信次郎の内部に切れ込む展開になりそうなので、楽しみのような怖いような気がします。

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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