ホイッスル (光文社文庫 ふ 23-3)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334773793

感想・レビュー・書評

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  • 夫の裏切りと一家の崩壊から蘇生する物語。

    ある日、警察から父親らしき男性が亡くなっているので身元確認をして欲しいと一人娘に連絡がきます。
    その男性は数年前に突然、長年住み慣れた土地家屋を家族に黙って売却して出奔した父親だった。と、なかなかショッキングな出だしとして物語は始まります。
    その父親を誑かす看護師がなかなかのクズキャラで、しかもその取り巻きもかなりのクズ。作品はそれらクズの独壇場で、これでもか!と、読み手の感情を逆撫でしてくれます。
    シルバー世代の誰しもが陥りそうな男性の愚かさがリアルに描かれていて、著者のキャリアが絶妙なバランスで程よく作品に反映されていると感じますし、著者の懐の大きさを改めて認識させられました。

  • ストーリーとしては、大変面白く一気に読んでしまいました。
    ただ、辛すぎて、気持ちが落ち込みます。
    看護師の母親は、そんなに悪者でしょうか?
    夫の愛情も金銭的な支援も無く、子育てしながら必死で働いて来たのに、最後の最後に全てを失ってしまうなんて。
    息子のうち1人でも母親の辛さをわかって、助けてくれてたら違ったと思いますが、所詮子どもは、あてにならず。
    結婚相手は、お互い 尊敬し、思いやれる人とでないと…ということですね。

  • 初めての作家さん。なかなか面白いです。私が知らなかっただけで作品は多いようです。他の本も読んでみます。

  • 長年連れ添った夫が突然失踪し、思い出の詰まった家も失った。理不尽な状況に、園原聡子は戸惑い絶望の淵に立つが、娘や姪、誠実な弁護士たちの支えで、新たな生活に向かって歩み出す。そして、夫を奪った不倫相手・沼田和恵と、法廷で対峙する日がやって来た。底知れぬ悪意に翻弄されながら、それでも強く生きる人びとの姿を通して、家族、夫婦の在り方を問う感動の長編!

  • 結末が気になり一気に読みました。
    真面目に生きていても、悪い人の罠にスポッとハマってしまうことがあるんですね。
    重めな内容ですが、それほど悲壮感は無く、テンポ良く面白かったです。

  • 今まで読んだ著者の本とはかなり趣が異なる登場人物が多数登場。それでも根底のテーマはやはり同じなのかな。最後に醜態を晒し惨めに退場する総理大臣がまさに今いるが、この本でもどうしようも無い最低の爺さんが主人公のひとり。歳を取ってからの過ちはそれまでの人生を全て否定してしまう。変な女に引っかからないように気をつけよう。

  • 裁判、離婚、嘘と、暗くて辛いものがテーマにあるのに読んでいて温かい気持ちになる不思議なお話でした。
    藤岡さんの描く優しい心を持った登場人物のおかげでこのあたたかさが生まれてるんだな、と思います、

    人の不幸はみんな同じ数、だけど幸せの数は掴もうとするほど増える、この言葉がすごく沁みました。

  • 現実にこんなことはあり得るのだろうか?と思える老いらくの恋・・
    自分だったらやっぱり立ち直れなかな、それともホイッスルと共に自分の人生を生きると切り替えられるかな~
    どんな時も支えてくれる人がいるのは大切なことですね。

  • 題名からサッカーものかな?と思いましたが、夫不倫からの失踪、家を失い路頭に迷う妻、家族の絆、誠実な弁護士との出会い、不倫相手との法廷対決というサッカーとは遠く離れた物語でした。ホイッスル自体はサッカーと少し関係は有りましたが。
    若い女に絡めとられ家族をいとも簡単に捨てた夫。積み重ねた人生を「何もない」と言ってしまう所がしょうもないですが、結局は老境に若い女との恋愛を体験する事で、あっぱっぱーになってしまったという事なのでしょう。
    不倫相手もどんどん転落していきますが、その転落っぷりが非常に勧善懲悪な感じで、作者もそういう気持ちになっているんだろうなあと感じる位に、ごろんごろん転落していきます。
    捨てられた妻とその娘と姪、そして弁護士。この4人の聖性が強くアピールされるので、非常に分かりやすい話と言えるかもしれません。
    とてもすっきりする話ではあるのですが、出てくる男が一部を除いてクズなのがなんともはや。

  • 70を超えた夫に不倫された挙句
    家も全財産も奪われた妻。

    一人娘と義姉の娘と力を合わせて
    不倫相手の女に立ち向かう。

    夫の章が、ゲス看護師の沼田和恵に
    溺れるのが、ただただ情けない。

    同じ家族でもこうも違うのかと。

    妻の聡子が言う台詞
    「不幸はみんな同じ量だけど
    幸せは心がけで変わってくる」
    がグッと来た。


    弁護士の芳川と事務員の話は既刊小説
    「テミスの休息」で登場してるみたい。
    まだ未読なので、そちらも読んでみたい。

    タイトルの「ホイッスル」はなんかピンと
    来なかった。
    「余生」の方が良かったりして。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

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