だいじな本のみつけ方 (光文社文庫 お 43-6)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334774523

感想・レビュー・書評

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  • あなたは『だいじな本』をどうやってみつけますか?

    いやいや、違うでしょう。『だいじな本』だと思えるかどうかは読んでみないと分からないでしょ、という声が聞こえてきそうです。確かにおっしゃることはわかります。私もこの一年半で小説ばかり400冊近くを読んできて、巡り会えた!と感じるのは読んだ後であって、読む前には読後にそう感じられるかどうかは全く予想もできませんでした。毎日出版されるおびただしい数の本に比べて、一人の人間が一生のうちに読める本は限られています。私なんて、一年半前まで読書の経験が全くなかったために、その貴重な時間を随分と無駄にしてしまった、そんな風に感じる今日この頃です。

    一方で、本離れが進んでいるというのはよく言われることです。文化庁の統計でも一ヶ月のうちに本を一冊も読まないという人の割合は50%近くにも上ります。読書に高い感心を持ち、日々書棚に並ぶ本が増えていっている皆さんや私のような存在の方が世の中全体としては少数派に属するのかもしれません。

    そんな私たちは、このブクログの場で、他の人が本を読んで知った、感じた、そして心を動かされたことを目にして、本を選ぶ参考にしていると思います。他の人の経験を元にして、『だいじな本』を手にする可能性を少しでも高めながら本を選んでいく…。私も皆さんのレビューがきっかけとなって本を手に取り、涙した、そして私の『だいじな本』として、その本が心に刻まれるという体験を繰り返してきました。

    さて、ここに「だいじな本のみつけ方」という作品があります。それは、『わくわくさせたり、はらはらさせたり、笑わせたり、感動させたり。もしかしたらその人にとって、一生忘れられない物語になるかも』と生み出された”本”の力を感じ、『一冊の本の持つ想像力をもっとたくさん味わってみたい』、と本を読むことの魅力を知った主人公が、今度はそんな『だいじな本』の存在を他の人にも伝えていこうとする物語。そんな立場で仕事をする書店員さんのことを『なんて素敵なんだろう。それは、心と心を繋ぐ仕事だ』と密かに憧れる、そんな中学生が主人公となる物語です。

    『その本に気づいたのは放課後、日直の日誌を職員室に届けた帰りのことだった』と、『手洗い場の角にぽつんと置いて』ある一冊の本を見つけたのは主人公の中井野々香。『よく行く本屋さんのカバーがかかっている』のを確認するも『そのまま通りすぎ、がらんとした教室に入る』野々香は、『いつも一緒に帰ってるルナもいない』のを確認して教室を後にしました。そして『さっきみつけた忘れ物は同じ場所にあった』と、まだ本がそのままそこにあるのを見て『好奇心に逆らえな』くなり、その本を手にした野々香。『知らない本の表紙をめくる、この一瞬がたまらない』と思った次の瞬間『うそっ』と声を出した野々香。『新木真琴の新刊だ』、『もう出てたっけ』と考える野々香。『これまでに出ているものをみんな読んでるお気に入りの作家』の『新しい本を心待ちにしていた』という野々香は、結局『よその人の本だ』と、『元の場所にそっと置』いて学校を後にし、商店街へとむかいます。そして『今日も活気づいていた』という『ゆめみ書店』に入った野々香は、手洗い場で見た本を探します。そんな時『野々香ちゃん、探しもの?』と青山という馴染みの書店員さんが声をかけてくれました。『本が見つからないんです。相馬出版から出た、新木真琴さんの新刊』、『「スリー・ベジタブル」って本です』と言う野々香に、調べるために奥に戻って、再び出てきた青山は『発売は来週ですって。まだどこでも売ってないそうよ…』と答えました。仕方なく書店を後にした野々香。翌日、いつもより早く学校に向かいます。しかし、『もしかしてと期待していたのに、手洗い場には何もなかった』と、あの本はすでに元あった場所にはありませんでした。しかし、その話を友人のルナにしたものの『すっかりあきれ顔』で、『タイムマシンで、だれかが未来からもって来たんでしょ?』と言われる野々香。『タイムマシン。そこまで話がいってしまうのか。他に可能性はないのか』と考えこむ野々香。そんな時、『忘れ物の本がどうかしたの?』と高峯秀臣に話しかけられます。元々図書委員をやりたかった野々香を制して『図書委員の栄光をうばいとったにくい男子』という秀臣。話をすると『新木真琴の新刊、「スリー・ベジタブル」だな』とその本の情報を知っていた秀臣は『来週発売の本が昨日の放課後、手洗い場にあった。面白いな。よぉくわかった』と一人で何か納得している様子。『ちょっと待って。何がわかったの。どうするつもり』と訊く野々香に『情報を共有しよう。手を組もうってことだ』と返す秀臣。『大嫌いながらも、秀臣はなかなか使える男ではある。なにしろ野々香より有名人だ。顔が利く』と思う野々香は『ということは、発売前の本の謎が突き止められるかもしれない』と、秀臣の手を借りて事の真相の究明に乗り出します。そして、そこには、思いもよらないまさかの真実が隠されているのでした。

    「朝日中学生ウィークリー」に半年間連載されていた〈だいじな本のみつけ方〉という作品の文庫化にあたり、〈だいじな未来のみつけ方〉という書き下ろしを追加して、これら二編が連作短編の形式をとるこの作品。元々中学生向けということでとても読みやすく、それでいてプチミステリーが良い味を出していて大人でも十分楽しめる作品に仕上がっています。「だいじな本のみつけ方」という書名にもある通り、この作品では”本”と繋がる”きっかけ”を中学生の主人公が身をもって体験していく様が描かれていきます。それは、一編目〈本のみつけ方〉では商店街にある『ゆめみ書店』という本屋さんがひとつの舞台となります。『眼鏡をかけてほっそりとした、知的な雰囲気の女の人。いつもにこやかに接してくれる』青山という書店員が重要な役回りを演じていく一編目。作者である大崎梢さんは元々10年近く書店員を勤められていた経験をお持ちです。書店員の青山や『ゆめみ書店』の店内のリアルな描写はこの経験が存分に活かされているのではないかと思いました。その上で〈本のみつけ方〉では、本屋さんと言ったら欠かせない『POP』に焦点が当たります。このレビューをご覧いただいている方の中で『POP』を知らない方はいないと思います。『本屋さんの本に、内容を紹介した紙がついてる』というその『POP』。『出版社が作ったのは、ほんとうに宣伝っぽくなるけど、「面白いから読んでみて」という感じで、書店員さんが作っている』ものは、書店員さんの気持ちがこもっていると感じられるものが多いと思います。私も書店を訪れた時、当初目的としていた本にプラスして、そんな『POP』に魅かれて手にした本もたくさんあります。店によっても、そして書店員さんによっても全く異なる世界観がそこに描かれていく『POP』。そんな『POP』は書店員さんの、この本をお客さんに知ってもらいたい、お客さんの『だいじな本』になってもらいたい、そんな願いがこめられているのではないかと思います。すっかりネットで本を買うのが一般的になった現代社会ですが、書店ならではの『POP』の文化が失われると、本の売り上げ傾向自体にも影響を与えるのではないか、なんだか画一化した未来がそこにあるように見えて、やはり、リアルな本屋さんはいつまでも存在して欲しい、『POP』で楽しませて欲しい、そんな風に思いました。

    そして、二編目の〈未来のみつけ方〉で、大崎さんが焦点を当てるのが『読み聞かせ』でした。『おれは読み聞かせが嫌いなんだ』と言う秀臣は『本はひとりでじっくり読むのが一番なんだ。誰かに読んでもらうような会をありがたがっているやつの気が知れない』と当初『読み聞かせ』に反対の立場でした。そこには、まさかの理由が隠されていますが、いずれにしても『読み聞かせ』=大人であれば『朗読会』というもの自体には好き嫌いもあると思います。『ひとりでじっくり活字を追い、頭の中にシーンが浮かび、心が揺さぶられるのも読書の醍醐味だ』という考え方があるのも事実です。しかし、そこには、その本を朗読する人の力が大きな意味を持ってくるところがこの二編目では描かれていきます。『なんでもないように、一行目をすっと読むのだけれど、すぐに引き込まれる』という朗読の世界。『大げさな抑揚の付いていない聞き取りやすい声が、ほんのちょっとの間合いで雰囲気を醸しだす』と知らず知らずのうちに引き込まれていくその世界は『セリフのひとつひとつが巧みに演じ分けられ、深みのある語りが物語世界を緻密に作り上げる』という朗読者の心のこもった、『だいじな本』の内容を聞き手にしっかりと伝えたいという想いの先にあるものでした。昨今、例えばAmazonでもAudibleという”プロの声優や著名人の朗読”で本を楽しむという古くて新しい提案がなされてきています。このブクログの場でも、そういった環境によって”読書”をされた方の感想もちらほらお見うけします。従来型の読書だけでは本離れが進むのであれば、こういった多彩な方法で、まだ見ぬ本の世界の扉を開けるのを手伝ってあげる、そして『だいじな本』をその人が見つけるための手助けをしてあげる、本離れというもったいない傾向を食い止めるためにはそれも大切なことではないか、そんな風にも思いました。そして、今まで、異物感を覚えていたAudibleというものも試してみようかな、そんな気持ちにもなりました。

    『開店の時間になれば、一般のお客さんがやってくる。自分の書いたPOPに引かれ、読みたいと思ってくれる人が現れたら、どんなに愉快だろう』と感じる『POP』を書いた人の心の内。そこには『見知らぬ人と、本を通じて繫がれるのだ』という『POP』を作る人の熱い想いがありました。出版社が、刊行する本を一生懸命宣伝するのは当たり前です。そこにはそのそれぞれの本に携わっている人たちの想いが溢れているだろうことも事実です。しかし、残念ながらそこには表裏一体でビジネスというものが見え隠れもします。私たちは、書店の中に、それぞれの書店員さんが独自に作った『POP』を目にします。そこにも確かにビジネスがないとは言いません。でも、そこにはそれぞれの書店員さんの、この本を手にする人に『だいじな本』としてもらいたい、という熱い想いがこもっているように思います。また、人の鼓膜に直接届く、朗読、読み聞かせという方法も同じです。心のこもった朗読は人の心に『だいじな本』を直接届けるものです。

    私が読書を始めて1年半。本を選ぶ楽しみ、本を読む楽しみというものがこの世にあることを知りました。そして、そんな楽しみを教えてもらった私は恩返しをしたいと常々思っています。この世は一生かかっても読みきれない本の山に満ち溢れています。そんな中から偶然、もしくは必然として私が出会った素晴らしい本の数々。私が『だいじな本』として愛してやまないそんな本たちを、できる限りの力で他の人にも伝えたい。その人にも『だいじな本』となって欲しい、いつもそんな思いでレビューを書くようにしています。

    『自分のだいじな本が、誰かのだいじな本になるかもしれない』

    そう、そんな私にはブクログを利用させていただいていて、とても幸せに感じる瞬間があります。もちろん、”いいね!”、をいただけるのはとても嬉しい瞬間ですし、こんな私を、”フォロー”、いただけるのもとても嬉しいです。でも、それよりも、なによりも嬉しいのは、こんな私の拙いレビューを読んでくださった方が、ご自身の書棚に、”読みたい本”、としてその本を追加いただけることです。皆さんがその本を読んでみようか!と思うその”起点”になること。そんな”起点”となれるように、私は今後もブクログにレビューを精一杯心を込めて書き続けていきたいと思います!

    …と長いレビューが、さらに最後に脱線までしてさらに長くなってしまいましたが、そんな風に、”本”と”その出会い”についていろんなことを考えさせてくれたのがこの作品。大崎梢さんの本に対する愛情の深さをこれでもか!と感じた素晴らしい作品でした。

    • りまのさん
      さてさてさん
      こんにちは。 さてさてさんの、レビューを書かれる思いを知り、感動しました!素敵です!いつも、素晴らしいレビューをありがとうござ...
      さてさてさん
      こんにちは。 さてさてさんの、レビューを書かれる思いを知り、感動しました!素敵です!いつも、素晴らしいレビューをありがとうございます!
      私が最近読んだ、今村夏子さんの「星の子」は、さてさてさんのレビューを読み、本を手に取りました。とても考えさせられる作品で、自分はレビューが書けなかったのですが、さてさてさんのレビューを何度も読み返し、その素晴らしさを思い知りました。どうかこれからも、さてさてさんのレビュー、楽しみにしていますので、よろしくお願いいたします!
      2021/06/28
    • さてさてさん
      りまのさん、コメントありがとうございました。
      レビューにも書きましたが、この作品は元々は中学生に向けて書かれた作品ではあります。ただ、

      『...
      りまのさん、コメントありがとうございました。
      レビューにも書きましたが、この作品は元々は中学生に向けて書かれた作品ではあります。ただ、

      『自分のだいじな本が、誰かのだいじな本になるかもしれない』

      という素晴らしい言葉など、惹かれるものがとてもありました。本との出会いというのも一期一会的なものも多いと思います。しかし、そんな出会いも必ず何かしらのきっかけがあったはずです。そんな起点になれることはとても光栄だと思いますし、感動させてくれた本への一番の恩返しだと思います。とはいえ、やたら長いレビューばかりで大変恐縮です。りまのさんにありがたいお言葉をいただきとても励みになりました。また、みなさんに楽しんでいただけるよう、企画物も準備しておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました!
      2021/06/28
  • ブクログのレビューを読んで、読んでみたくなった一冊。
    もともと中学生向けで書かれているので、ほとんど児童向けの図書。
    中学2年生の野々香は、ある日、放課後の校舎で誰かが置き忘れた文庫本を見つける。好奇心からブックカバーを外してみると、それは野々香が好きな作家のまだ発売前の新刊だったことから、図書委員の秀臣と一緒に持ち主探しが始まる。
    中学生が主人公の話だが、学生の時に好きな本に出会えた時のドキドキ感を思い出させてくれるし、本好きには共感出来る作品だろう。
    大人になると、本を他人に薦める機会はほとんどない。
    だから、いろんな機会が与えられる野々香たちが少し羨ましいと思う。その野々香たちの物語を読んで、中学生たちが「この本が好き!」と出会えるといいな、と思ってしまった。
    学生時代一番好きだったのは、普通にコバルト文庫。
    文学作品も読んだけど、やっぱり堀田あけみや山本文緒にどっぷり漬かっていた。
    ファンタジー系が好きな生徒が恥ずかしがるシーンもあるが、自分が好きな作品は好きで全然いいと思う。
    今はこのブクログを通して、少しでも本の良さが伝わればいいなぁ、と凝りもせずに、もうブクログを初めて16年…1つでも誰かの好きな本と巡り合うきっかけになれているといいなぁ。
    そんなことを思わせてくれる作品だった。


  • あなたの「だいじな本」はなんですか?

    初めて自分で買った本。初めて泣いた本。お腹が痛くなるほど笑える本。勇気が出た本。人生を変えるきっかけをくれた本。

    さて、そのだいじな本は、どのように作られてどのような流れで店頭に並べられているか知っていますか?

    本が大好きな中学2年生の野々香。ある日の放課後、学校で誰かの忘れた本を見つけた。ブックカバーを外すとそこには野々香の大好きな作家の本。しかしその本は発売前の新刊だった。なぜここに?私が新刊を知らないだけ?そして1番の疑問、誰のもの?
    同級生の秀臣と持ち主探しが始まる。ただこの持ち主、案外あっさり見つかる。そう、本作は持ち主探しがテーマではない。あくまでタイトルにあるように、「だいじな本」を見つけるのだ。

    大好きな作家さんを目の前に、どれだけ本を愛しているかを語る野々香や秀臣の目はきっとキラキラしてただろう。
    作家がペンを持ち書店員が売り場に並べるまでに誰がどのような想いで本に携わっているかを知った2人。自分達も同じ立場になって初めて大変さを知る。今まで手にした本は全て、たくさんの人の汗と涙がある。
    悩まずスラスラ書ける作家はいないだろうし、店のポップを適当に作る店員もいないだろう。誰もが悩み考え抜いたからこそだいじな本になっていくのかな。

    だいじな本を、他人に教える。これは弱点を教えることと同じだという表現が印象的。
    小説だったり、児童書だったり、図鑑だったり、写真集だったり。確かに自分の心の中を見られているようでちょっと恥ずかしい。
    でも自分のだいじな本を、自分の勧めによって読んでもらえたら、それに褒めてまでもらえたら嬉しいだろうなぁ。書店員さんって素敵なお仕事。
    本屋さんに行くのが、ポップを見るのがもっと楽しくなった本。

    • さてさてさん
      ぴぃさん、こんにちは。
      この作品、私もとても印象に残っています。お書きになられている”だいじな本を、他人に教える”という先の感覚。
      『自...
      ぴぃさん、こんにちは。
      この作品、私もとても印象に残っています。お書きになられている”だいじな本を、他人に教える”という先の感覚。
      『自分のだいじな本が、誰かのだいじな本になるかもしれない』
      というこの作品に込められた大崎さんの思いがとても伝わってくる優しい作品でした。あまり読まれる方が少ないのか感想数も増えませんが、私のお気に入りの一冊です。ぴぃさんのレビューで思い出させていただきました。ありがとうございます。
      2022/05/17
    • hinaさん
      さてさてさん。
      こんにちは、コメントありがとうございます♡
      自分のだいじな本もその気持ちも、相手のだいじな本も気持ちもいつでも大切にしたいと...
      さてさてさん。
      こんにちは、コメントありがとうございます♡
      自分のだいじな本もその気持ちも、相手のだいじな本も気持ちもいつでも大切にしたいと思える本でした。
      実はさてさてさんのレビューを読んで購入を決めたんですよ^^
      これからも素敵なレビュー楽しみにしています。
      2022/05/17
    • さてさてさん
      ぴぃさん、ありがとうございました。
      私のレビューをお読みいただいて…お役に立てて光栄です。
      “気持ち”という点、まさしく同感です。同じ本...
      ぴぃさん、ありがとうございました。
      私のレビューをお読みいただいて…お役に立てて光栄です。
      “気持ち”という点、まさしく同感です。同じ本を読んで繋がれて何よりに思います。
      今後ともよろしくお願いします!
      2022/05/17
  • 『自分のだいじな本が、誰かのだいじな本になるかもしれない。だったらすごいね。わくわくする』何よりこの言葉が印象に残った。面白い本を読んだ時、このドキドキやワクワクを誰かと共有したくなる。そんなだいじな本にたくさん出逢いたい。

  • 中学生の野々香は、放課後の校舎で、まだ本屋さんで売られていないはずの文庫本をみつける。大好きな作家・新木真琴の発売前の新作だ。なぜここにあるの?謎に導かれて、野々香は本が好きな仲間や、本に関わる仕事をする大人たちと出会う。本は世界を広げ夢を作り、素敵な出会いをもたらしてくれるのだ。あなたにもだいじな本とだいじな人が、みつかりますように。

  • 日常の中の謎を一生懸命自分たちの力で解いていく、本を愛してやまない中学生のお話

    子供が読み聞かせしてもらっている時の真剣な顔を思い出しました

    そして、字がまだ読めない時に、ぬいぐるみを並べて読み聞かせをしている後ろ姿も

    本は色々な思い出を作ってくれます
    たくさん本に触れて素敵な大人になりますように!

  • 読むうちに、気持ちが小学生の頃に通い詰めていた図書館の中に戻っていた。あの頃はページを繰るたびにドキドキしていた。中学以降は、好きなものというより読まなければいけないと思った本を読むことに追われるようになっていた気がする。社会に出てからはまた、興味だけで読むようになった。勉強だとか知識を得るためだとかではなく、本の中の世界に入り込める時間を大切にしたい。

  • 中学二年生の視点で書かれているけど、小学高学年にもおすすめしたいなぁ。

    ネットやゲームが沢山あって本離れが進む中、書店にマンガや雑誌じゃない本に少ないおこずかいを使ってくれる人はどれだけいるだろう…!
    これだけ大量の本が出版されてると、取り扱うジャンルを専門化したり、カフェを併設したりして生き残りを図る。
    だけど、書店に来てくれる子どもにはいろんな事に興味を持って欲しいし、そのために色んなジャンルの色んな本を読んで欲しいから、町の本屋さんってめちゃ重要だったんだなぁと思う。

    中学生が書店のPOPを作る企画をするとか、小学校で読み聞かせをするって素敵な経験!
    少しずつ、先生の働き方改革も進めて、
    ノートをひたすらとってテストでいい点を取るだけじゃなくて、こういった能動的な活動を積極的にさせてあげたいな。
    大人が面倒がらずにやってみなさいって態度を取らないとできないものね。

    大事な本のみつけかた
    読書が大好きな野々香は、教室に置き忘れてあった文庫本がまだ発売前の新刊であることを知り、持ち主探しをする。
    同じクラスで図書委員の秀臣とは犬猿の仲だが、本好きという点で一致しており、その謎を一緒に解くことにした。
    目撃者を洗い出していくと、その新刊を忘れていった人物は著者の甥である荒木浩一であった。
    著者の大ファンである野々香と秀臣は著者の新木真琴本人に会わせてもらうことになった。
    新木真琴に会うと、何故か商店街にあるゆめみ書店を避けている風。
    その謎を解くために野々香、秀臣、浩一の三人は新木が書店に足を向けるために書店のPOP作り企画を立ち上げる。

    大事な未来のみつけかた
    小学生の時に好きだった読み聞かせに久しぶりに行ってみようと思い立った野々香。ところが当時好きだった読み聞かせの達人ビトさんはあることがきっかけで子供向けの読み聞かせをやめてしまった。
    ビトさんが貸出ノートに名前と貸し出し本のタイトルをうろ覚えで書いた結果、本を借りた女の子が他のスタッフに(その子にとって)理不尽に叱りつけられて、公民館に来なくなってしまったのだ。
    小野マリという名前の同い年の帰国子女を探すという難問に3人で立ち向かう。

  • 私のすごく好きな本なの。イチオシするとしたら、これだと思って。
    誰でも自分が本当に好きな本を紹介できるわけじゃない、それでも誰かにこの本を知ってもらいたい。読む時は1人でも分かち合う時は1人じゃない。

  • 本にまつわるストーリーで、大崎さんの本だったので読んだ。最初は中学生向けに書かれた内容で、なんというか、全てが良い方向に順調に進んでいくので物足りなさは感じたが、本を通じて人と繋がっていく様はとても面白かった。

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著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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