粗忽長屋の殺人 (光文社文庫 か 63-1)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334775407

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  • 河合莞爾『粗忽長屋の殺人』光文社文庫。

    古典落語と安楽椅子探偵の活躍するミステリーとが見事に融合した笑いあり、涙ありの非常に面白い連作短編集。落語の如く『口上』から始まり、『短命の理由』『寝床の秘密』『粗忽長屋の殺人』『高尾太夫は三度死ぬ』と、古典落語をベースにしたミステリー短編四編が描かれる。

    いずれの短編も元になった古典落語の粗筋紹介があり、その後で本編が始まるという懇切丁寧な構成になっている。そして、探偵役を務めるのは大家でもあるご隠居さんの幸兵衛で、その手下となるのが熊五郎と八五郎というのがパターンのようだ。

    河合莞爾というと『デッドマン』から始まる一風変わった警察小説シリーズが有名であるが、こういった巧みな作品も描くのだと大いに感心した。

  • 落語を舞台にしたミステリとかは結構読んだことありますが、どれも「寄席」を題材にして噺家さんが謎を解いたりとかだったんですがこれはすべてが噺の中で完結しているのがすごい。有名な噺の中で謎を見つけて、おなじみのはっつぁん熊さんがどたばたしながらもその真相をご隠居が解き明かし、落語としてもきちんと成立している。すごいですよこれは。もっと評価されてもいい一冊。
    子供のころから落語の本を読むのが好きで、ミステリも大好きなんですがそんな自分にはこの上ない最上の本です。かなり限定された褒め方ですけども。
    これ続編とかでないのかなあ・・・本当に心の底から切望します。

  • 落語を題材にミステリ風にしたお話。
    現代と落語の時代を混ぜ込んだような話が面白い。

  • 古典落語の世界を舞台に展開される、4席からなる連作ミステリー。
    隠された謎に迫る長屋の馴染みの面々が愉快。話の最初にそのお話のもとになっている落語を簡単に説明してくれているので、落語に詳しくなくても楽しめるから有り難い。
    また、吉原と関係が度々でるけどその説明もきちんとしてくれて話の理解度があがる。けど辛い。セリフの掛け合いもテンポが良く、おもてなしなどの時事要素も上手く織り交ぜているので落語に普段馴染みのない人でも楽しめると思う。そして1番かっこいいの伊達綱宗公だった。

  • 落語ネタを使った推理小説4編
    探偵役が優秀すぎて終盤の謎解きに
    なるほどとそういうことかと
    落語好きならもっと楽しめそうです

  • 20200331

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著者プロフィール

河合莞爾
熊本県生まれ。早稲田大学法学部卒。出版社勤務。
二〇一二年に第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞し『デッドマン』でデビュー。他の作品に『豪球復活』(講談社)、『デビル・イン・ヘブン』『スノウ・エンジェル 』『ジャンヌ』(祥伝社)、「カンブリア」シリーズ(中央公論新社)などがある。

「2023年 『カンブリアⅢ 無化の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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