古武術の発見: 日本人にとって身体とは何か (知恵の森文庫 a よ 3-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334782030

作品紹介・あらすじ

やっぱり、事実は小説より面白い!宮本武蔵、千葉周作、真里谷円四郎、植芝盛平…伝説の超人・天才たちの身体感覚が手に取るようにわかる。桑田真澄投手が実践して奇蹟の復活を遂げた「古武術」の秘密とは。現代人が失ってしまった「身体」を復活させるヒントを満載。メスと刀が「身心」の本質へと肉迫する。

感想・レビュー・書評

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  • 武術研究家・甲野善紀氏と養老孟司氏の対談本です。
    対談形式で読みやすいですが、武術のことなので、やったことがないとよくわからないことも多かったです。
    実際に現代武術をやっている方でも古武術の身体の動かし方がまったく異なるので、言葉だけで理解できるものではないとのことでした。

    日本刀の形が平安時代の末期から形状が変わっておらず、日本人の道具に対する執着が見られるという話がおもしろかったです。

    逆に歩き方、走り方は江戸時代と現代ではかなり違っていて、手足を左右同じ方を前に出す形(いわゆるナンバ歩き)だったそうで、当時描かれた絵を見ても、そこに描かれた人々の走る様は現代のそれとは異なるとのこと。

    甲野氏の編み出した技法は野球選手の桑田投手にも影響を与えたそうで、幅広く応用できる技術なのだと思います。

  • 人間の"身体"と、"脳や心"について。

    ・"身体"ありきで"脳や心"がある。
    ・自分の小さな脳で、自分の人生で、なにかの結論を求めようとしない方が良い。悟りなんてものは必要ない。
    ・自分の中にある"我"よりも、他や社会から見る"自分"を意識し大切にした方が良い。


    とても面白い対談本だった。
    体と脳をいったりきたりするビジネストレーニングは今後トレンドになるのだろうなぁと思った。

  • 江戸時代の人は「体をひねる」という事をしない 「ナンバ歩き(右手と右足が同時に出る歩き方)」 だったので、ランニングというものが出来ず、特殊な訓練を受けた武士階級等は、その動きから判別できた、というのは衝撃的だった。

    桑田真澄投手が師事した武道家の先生(常に襲われたときのことを考えている)と、脳外科の養老先生 が、肉体的な感覚に対するメタ認識を語り合う一 冊。すごい面白い。

  • 心と体、知覚と運動の関係についての考察。
    現代の武術における「型」が本来の意味と目的を失い、ただただ礼儀と伝統を表すもののみに扱われいる。
    ある極みに達した人が体得したものを後代に伝える難しさの問題。
    伝承していく過程で達人の域に届かないものが出て、そうして代を重ねるうちに本質が消えて形式化された型だけが残る。
    仏教にも同じことが言えそうだ。

  • 本書は脳外科医である養老孟子氏と、古武術を再考し広めた武術家、甲野善紀氏の対談本。
    ほぼ全編にわたって対談で進むが、口語で抽象的な内容の一致点を掛け合っていくスタイルなのでやや読みにくい。

    甲野氏のことを知らなかったが、甲野氏がある高校のバスケ部に古武道の動きを指導したということを聞いて思い出した。
    中高時代に読んだバスケマンガ、『クロスオーバー』で、古武道の動きをバスケに応用するという話がったが、それに元ネタがあったのだ。

    自分もかつて大学時代に少林寺拳法を齧った経験もあり、武術には興味が強い。
    甲野氏の、体のあらゆる動きをバラバラにしてから再構築することで、相手から超人的な動きに感じられるようになる話など、臨場感を以て読めた。

    養老氏も甲野氏も日本史や古典にとても造詣が深くて驚かされる。
    自分は世界史や外国文化に焦点を当ててこれまで学習してきた面が多かったので日本史に詳しくないのだけど、それだけに日本史にも多様な面や変遷があり、多くの人々の試行錯誤が重なって現代に文化・伝統が受け継がれてきていることを新鮮に感じた。

    非言語的な情報は文献として残りにくく、また文献に記したとて、時代が変わって考え方が根底から覆されてしまうと、正しく伝わらなくなってしまうことには愕然とした。
    武芸、職人技、そういたものは非言語の伝承によって受け継がれてきたわけだが、時代の変遷の中で変質したり立ち消えてしまったものも数知れないだろう。

    そういったものを後世に残すために自分が担い手になれるものはないか。
    または仮に途切れようと、後に発掘して正確に再現できるように、残す手段はあるのか。

    武術に限らず、方言、郷土料理、モノづくりなど、いろんな面で、非言語情報というものが持つ重要性とその伝達について注目していきたい。

  • 読了。古本屋で見つけた対談本。対談は1993年ころ。今から30年ほど前。あまり神秘的な話はないように感じた。本を読むだけでは、ダメなのかなと思った。

  • 蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか

  • 刀と入学試験の相似性のやりとり面白かった。

  • 仲間であり、弟の純一が大切にしたい本として紹介してくれました。

  • 言葉や身体をツールとして異分野の専門家が対談している。異分野の人同士が理解し合える部分が人間の共通点なのだろうか。

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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