南の島に雪が降る (知恵の森文庫)

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著者 : 加東大介
  • 光文社 (2004年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334783051

南の島に雪が降る (知恵の森文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 戦中の南方戦線の話だが、悲惨な箇所は殆ど書かれておらず(書きたくなかったのかも)、作者の楽観主義的な感性に救いがあってよかった

  • 古典芸能一家に育った著者による戦場体験のノンフィクション。
    最前線に居ながら、補給物資が枯渇した中で、技術や残り少ない資源をフル活用し、仲間たちに生きる希望を与え、自らも生きる希望を忘れなかった事は、爽やかで感動できる素晴らしい作品。
    銃弾の一撃で死ぬのではなく、 じわじわと栄養失調で死んでいく戦場のリアルは、表現できないぐらいに恐怖が伝わってくる。
    題名の項目は、泣けてくる。
    今の戦争に巻き込まれていない平和に、感謝を絶えない作品。

  • あらすじ(背表紙より)
    昭和18年、俳優・加東大介は召集を受け、ニューギニアへ向かった。彼は、死の淵をさ迷う兵士たちを鼓舞するために“劇団”づくりを命じられ、島中の兵士から団員を集め、工夫を重ねて公演する。そしてついには熱帯の“舞台”に雪を降らせ、兵士たちに故国を見せたのだった—感動的エピソードに溢れた記録文学の傑作。

  • 書店に出向くと時々こういう出会いがある。
    目指す本をネットで注文ではなく、目当ての本があるわけでもなくぶらっと書店に出かけて自分を待っていたような本に出くわす事が。
    子供の頃たしかテレビの舞台中継のような物で見た「南の島に雪が降る」だ。
    「南の島」になぜ雪が降るのかと母に聞いた覚えがある。
    役者加東大介の記録文学とも言える作品ですね。
    沢村貞子さんの「後記」も素晴らしかった
    戦時下、荒んだ兵士の心を慰撫するため、死んでいく戦友の弔いのため戦地で懸命に芝居を続ける。
    役者加東大介さんの実体験に基づくこの作品は読む物をして一人の戦友であるがごとき錯覚を起こさせる。

  • 舞台「南の島に雪が降る」を観に行き、原作を読んでみたくなって買いました。

    舞台もとても素晴らしかったのだけど、原作も本当に素晴らしかった。
    色んな人の想いがあって、そこで生きて、死んで、それでも尚「芝居をした」ということに涙が出ました。
    こんなすてきなことって、あるんだなぁ…。
    原作を読んだ上で、また舞台が観たくなりました。
    再演してくれないかなぁ(笑

  • 「兵隊ってのは世の中の縮図だから、たいていの職業がある。しかし、そう突飛なのは見あたらなかった」

    しかし、第二次世界大戦末期、西部ニューギニアはマノクワリに集結した日本軍のなかには、俳優である著者をはじめ、長唄師匠(三味線弾き)、スペイン舞踏の教師、演劇評論家、歌手、針金職人、友禅職人、男性服の仕立屋、カツラ職人、僧侶にして博多仁輪加の名手、奇術師、脚本家、節劇役者までが在籍していた……。
    飢餓と熱病に侵されて死の淵をさまよい、いつ終わるともしれない戦争の日々に荒む兵士たちを鼓舞するために、上官から「演芸分隊」をつくるよう命じられた著者は、突飛な職業の兵士たちを演芸員とし分隊を編成、「マノクワリ歌舞伎座」を建てて公演の日々を送ることに――。
    演目は『瞼の母』。
    病や飢餓で衰えた足を叱咤し、動けなくなった仲間を担架にのせて、密林の最奥から何時間も歩き続けて観に来る多くの兵士たち。舞台の書き割りや小道具に故郷・日本を見出し、快方に向かう者、そのまま「思い残すことはない」と絶命する者も。
    そうやって彼らは荒んだ廃兵から、“日本人”に戻り、ある者は生還し、ほとんどは死んだ。

    ある時の観客は東北出身の国武部隊の兵士約300人。
    雪のなかで生まれ育った彼らは、舞台に降る紙の雪を見て故郷を思い出し、一人の例外もなく両手で顔を覆って、肩をふるわせ、ジッと静かに泣いていた。
    「生きているうちに、もう一度、雪がみられるなんて……」
    末期の病人は、もう力の入らない指先で紙の雪をソーッといじっていた……。


    想像を絶する極限状態のなかで、日本人の心を支えた即席の演芸分隊。その分隊を率いた俳優・加東大介(1911- 1975)による回想の記録文学。
    引用部分は実際手に取ることのできたちくま文庫版のページ数にて記録。

  • 買え!読め!そして、泣け。

    知る限りもっとも素晴らしい“反戦”戦記。

  • 有名な本なので?期待していなかったが、いやどうしてどうして、面白い。置き去りにされた戦場で、兵士達に生き延びる意欲をかきたてる為に演芸部隊を正式の命令により組織し、連日の公演?を行う。極限の状況下における人間の不可思議さを納得させられる。芝居の力と芝居への愛情を見せつけられる一冊であった。

  • 最初はあまり期待せずに読み始めたのだが、あまりの面白さにわずか2日で読破。
    著者がニューギニアはマノクワリに行くまでの経緯に始まり、数々の戦友且つ演芸員との出会い、そして演芸分隊発足からマノクワリ歌舞伎座誕生、興行そして終戦へ、というマノクワリでの演芸がメインなのだが、さり気なく戦争下の極限状態もさらっと書いている。そのさらっと加減が、実際には相当な悲惨さを伴うはずであるのに、そう感じない。その分妙なリアリティがある。
    個人的には女形が異様な人気を得ていくところが非常にコミカルで(不謹慎かも知れないが)面白かった。
    また、この本では生粋の粋に触れることもできる。

  • 舞台は昭和18(1943)年~昭和20(1945)年、大東亜戦争の時期です。


     著者の加東さんは、陸軍衛生兵として、ニューギニア戦線に赴き、当時有名な歌舞伎役者だった特性を活かし、兵隊を慰めるために、現地で個性派ぞろいの劇団を作ります。


     ある日、雪の降る芝居を演じることになり、紙を細かく切った雪を降らして、芝居を続けていると、客席からすすり泣きをする声が聞こえてくる・・・

     遠く離れた故郷の面影を目の前に降っている紙の雪に照らし合わせて泣いているのです。


     この場面が、私にとって一番心に残る場面です。

     小林よしのりさんの『戦争論』で、この本のタイトルの付いた章があります。

     それを読むとイメージがつかめやすいと思います。


     で、著者の加東大介さんは、俳優の津川雅彦さん、長門裕之さん兄弟の親戚で、本の中にもお二方と触れ合っているシーンが書かれていますよ。



     ちなみに、私が持っているのは、ちくま文庫版です。

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