ニトロちゃん: みんなと違う、発達障害の私 (知恵の森文庫)

著者 :
  • 光文社 (2013年9月10日発売)
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334786335

感想・レビュー・書評

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  • 1979年、4000グラムで生まれた二トロちゃん。
    どこからみても健康な女の子。
    でも本当は少しだけ違っていたのです...。

    アスペルガーの漫画家、沖田×華(おきた・ばっか)さんの小学校~中学校時代の事を綴ったコミックエッセイ。

    率直な感想は「大人酷い、大人最低、二トロちゃんよく耐えたね」だった。

    でも、大人逹、周りの子供逹の気持ちも全然分からないではない。
    二トロちゃんが生まれた頃は発達障害についての知識があまり浸透していなかった。知的障害のない発達障害が認知されてきたのが80年代以降だという(Wikipedia調べ)
    そのため発達障害のある子供やその親は‘なにが原因だか分からない’けど‘なんか他の子と違う’事に苦しんだのではないか。この漫画でも二トロちゃんの母親が彼女に対して酷い、と思われる扱いをするのだが、彼女の気持ちも分かるような気もする。子供がちょっと周りと違うことをすると「しつけがなっていない」「親の顔が見てみたい」と言われる時代(えっ、もしかしたら今も?)。自分の思い通りにならない娘に‘裏切られている’と感じていたのではないか。知識がないばっかりに。その辛さを二トロちゃんにぶつけてしまう。子供というものは心の奥底で「大人は正しい」「大人に愛されている」と思っているもの。なので大人に理不尽な扱いをされていても「自分が悪いんだ」と頭で思うより心で感じてしまう。先生逹の「あなたは先生とは名乗るな」と言いたくなるような態度も子供同士のいじめとなんら変わることのないように思う。‘一見’劣っているようにみえる生き物に対する優越感。大人も子供もおんなじ人間だということなんだな。

    ま、彼らは二トロちゃんの恨みを買い、数十年後に悪行を漫画に書かれてしまっていますが。
    繰り返しになるけど二トロちゃんよく頑張った。
    中学二年生の時に‘普通に’接してくれた川平先生には私からも感謝したいな。
    そういう人にひとりでも出会えると生きていける、と思う。

    沖田さんの記憶力はすごいなあ、と思っていたらあとがきで当時の同級生逹との記憶の齟齬が大きいことを告白。
    正直者だなあ。

  • 2度目の読了。

    アスペルガー、LD、ADHD。
    集団生活の中で、出る杭打たれる。
    悪い意味で目立つと、心無い先生から容赦なくたたかれる。身体的にも精神的にも…
    最後、川平先生の登場には本当に救われたし、自分はそんな存在でありたいと心から思った。
    捨てる神あれば拾う神あり。

    ニトロは本当はずっと 「先生」を好きになりたかった

    …なんだか切ないね。
    沖田×華さん著書、読み漁りたいと思います。

  • ハートネットワークで紹介された発達障害の漫画家。テレビではアスペルガーとADHDと言っていた。早速、読んでみた。小さい時の事を良く覚えているなというのが第一印象。あとがきでも書いているが、自分で思っている程、周りは問題を感じていなかったようで、過去の記憶がデフォルメされてしまうのも障害の特徴なのだろうか。幼少時から理解されず、特に教師や親から理解されずに辛い体験されたようだが、ある意味、個性的で、漫画になった絵を見ていると愛すべきキャラクターに見えるのだが。

  • なんかこのニトロちゃんの『人とうまくやれない感じ』、
    すごくよく分かりました。
    いつでもどこでも疎外感を感じる感じ…。
    こういうのを漫画にするのは勇気が要っただろうなぁと思います。
    でも見る人によっては助けられすごく力になる漫画だと思います。

  • kamosigiさんより。

    ご自身の体験メインのようです。
    少し年下にはなるようですが、基本わたしと同世代なので、
    その頃の教育現場、というより自分達が育った環境がなんとなくわかるから、
    された仕打ちなんかはけっこうリアルで、読んでいて胸が苦しくなるページもちらほら。

    今でこそADHD等々耳にすることが多くなってきているし、
    認知度も高いけど、確かに当時はほとんどなかったものなぁ。

    個人的には学生時代以降の展開を、もっと読んでみたかったので、
    ☆☆☆

  • アスペルガー、学習障害、ADHD、いじめ、看護師、風俗嬢、整形マニア、漫画家へと、すごいんだなこの著者。やっぱり本は、ってこれマンガだけど、勉強になる。
    中1の娘に課題図書、と言ってこの本を読ませてしまったけど、先生からのいじめやセクハラ的なところもあり、ちょっとまずかったかと思ったけど、「面白かった」と言ってた。娘に「こういう子いる?」って聞いたら、「いないよ、〇〇学級にはいるよ」、と言ってた、特別支援学級のことだろう。
    そうか著者は1979年生まれだけど、当時はまだ普通学級だったのか、それがよかったのか悪かったのか。
    でもあらためてみると、学校ってひどいところだね。特にこういう「イイ子」とは真逆の立場から学校を見てみると、全く世界が違って見える。

  • 純粋に綺麗な絵、上手い絵が好きなので、本作についても、絵についてはダメ。でも内容は、結構身につまされるものがあるというか、子供の成長って、かなりデリケートなものだなと、改めて感じさせられた次第。親として、または教師として、発達障害への介入の可否については、個々人の判断にゆだねられた、ってことなんですね。

  • 1つわかったのは
    「信頼している人の言葉は体を、魂を揺さぶる力があること」


    読んで思ったのは、過去がどうでもよく感じるくらいえらく幸せになることが最大の復讐だということ。

  • 発達障害よりも、教師の暴力、セクハラの問題の方が深刻…といった内容だった。
    昔の教師こんなだったなー。
    今でも時々あるしね。給食の時間まで説教して食べさせなかった、とかね。
    教師って無条件で人の上に立ってばかりだから尊大になっていってしまうのだろう。
    ただの人間だというのに。
    私の知ってる人にもいるなー。初対面なのに、大人同士なのにやたら上から目線の教師。
    自分が知らないことはない!という態度の人。
    質問すると必死で知ったかするので内心面白いなwと思いながら見てます。

    モンスターペアレントの原因の一つは子供の頃に教師から受けた虐待では?とあり、確かになーと思った。
    モンペと言われようとも、親も教師に対等に意見するのはこういうモンスター教師を抑えるのには必要よね。

    著者は発達障害もあるかもしれないけど家庭環境も結構ヤバいんだよね。
    全部が障害のせいなのか怪しいところもある。
    古い時代の話だし、発達障害の参考書としては読まなくてもどっちでもいいような気がする。

  • 著者自らの小学生時代の実体験を描いたコミックエッセイ。
    「ニトロちゃん」という主人公のネーミング(=タイトリング)が抜群だと思う。

    「発達障害もの」とひとくくりにしてしまえるほど、発達障害を扱った本やマンガが多い昨今である。
    その中で沖田✕華の作品が一頭地を抜く人気を持っているのは、作者が当事者であることからくるリアリティに加え、自らを客観視する乾いたユーモアが一貫して保たれているゆえであろうか。
    つまり、シリアスな内容なのにエンタメとしても読めるのだ。

    ニトロちゃんに対する教師の対応の、あまりのひどさに驚く。
    たまたまひどい教師に遭遇したという不運もあるだろうが、それ以上に「昔の教師のほうが、子どもへの扱いは総じてひどかった」ということなのだろう。

    私は著者より一世代上だが、小学校時代の教師たちの所業を思い浮かべてみれば、児童たちに対するパワハラとセクハラ(しかもロリコン・セクハラ!)のオンパレードだったものだ。

    発達障害に対する社会の理解も広がって、いまはこれほどひどい扱いを受けている子どもは少ないと思うのだが、それでも、本作は発達障害への理解を深めるために有意義である。

    ただ、絵はひどい。正直、「これでよくマンガ家やってるなァ」というレベル。

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著者プロフィール

1979年、富山県生まれ。漫画家。『透明なゆりかこ』(講談社、既刊8巻)で第42回講談社漫画賞(少女部門)受賞。

「2020年 『父よ、あなたは…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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