いまのはなんだ? 地獄かな

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著者 : 花村萬月
  • 光文社 (2015年4月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910204

いまのはなんだ? 地獄かなの感想・レビュー・書評

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  • この本を読んでまるで普段は気がつかない、あるいは知らない振りをしている心の闇にぱっくりと飲み込まれてしまったような気分にさせられた。

    最初から嫌な予感はしていた。冒頭の主人公が海に溺れそうになるシーンの描写が嫌に長い。続く章にはさほど関連性が見いだされないのに。

    非のうちどころのない年下の妻と愛おしい小さな娘。あれほど嫌悪していた子供の写真入りの年賀状だったのに娘が産まれた途端にあっさりと宗旨替えするほどに、一気に親になった主人公。
    破綻は妻の抱える秘密に気づいてしまった事により始まった。

    花村萬月の作品を読むのは実は初めて。
    フィクションとノンフィクションの境目が分からないようにする手法が独特なのだろうか。
    惹きつけられたのも確かだがやや説明がくどい。
    私はちょっと苦手な感じ。

    それより何より結末が辛すぎた。
    あまり書いてしまうとネタバレになるのでやめておくが、一人の男として父として揺れ動く気持ちがこうやって小説になって描かれると現実味がない。
    もちろん子を持つ親として理解できる部分は多いにある。
    でもね、やっぱりこんな地獄は見たくなかった。

    問題提起と言う意味では成功していると思う。何しろタイトルが秀逸。
    主人公と一緒に地獄を覗いてみたかったら読む価値あり。

  • 歳を経て一人娘を授かった無頼の小説家が、娘を育てていく際に起こる出来事を描いた小説。冒頭から彼岸の香りがします。

    優れた表現というものは、ときにその受け手に対してそれに表現された感情、情況などを追体験させるような働きを持ち、その疑似体験は受け手が置かれている立場がその表現に近いほど強く響くものとなります。
    息子と娘の違いこそあれ、自分自身も昨年末に子を成した身であり、そのためこの小説は恐いほど自分の心を揺さぶるものとなりました。
    読んでて本気で目の前がぐにゃんとぶれた。

    子供を育てること、及びその中で生まれる、仏教用語でいうところの愛別離苦を筆頭とした四苦八苦に関して、文体まで歪むように内面に食い込んで書き述べた身の縮むような物語でありました。
    心の機微や巻き起こる事件が、まさに作中で登場人物が述べているような「流されていく」状態となっており、流される恐ろしさを強く感じてしまった次第であります。
    実際自分も子供を相手してると、なんだか流されるまま時間が過ぎていっているような感覚になるときがあるんですよ……

    あと、俺は泳げないから深い海なんて行くのは止めておこうと心に強く誓ったよ。

  • 五十八歳にして初めて子を得た小説家・愛葉條司。「家族クソ食らえ」の條司だが、子育ての喜びを知り、のめり込む。娘・愛の無邪気な言動、良き母であり心身とも相性の良い妻・志帆との会話、幸福な日々に次第に丸くなる自らの内面等、克明に記録する條司。しかし、彼は、家族の「闇」には気づいていない。それは、愛が三歳になる直前のこと―。心の闇。心ふるえる結末。究極の関係「親と子」が生み出す衝撃のストーリー。

    しんどかった…………。一人称で娘を溺愛する様子は微笑ましくもあるんだけどどうにも危なっかしくて、時々ぱっくり狂気の口が開いているようだった。初花村さんだったけれど、お仕事小説のような私小説のようのパートもねっとり濃くて読むのにパワーが必要だったなあ。

  • 独特の物語というか描写というか、どこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションかわからないまま読んでいた。
    どちらかというと、苦手で、難しい本ではあったけれど、最後の結末が衝撃すぎて、ある意味すごい。

  • 主人公の描写がくどいので、途中から流し読み。

  • 図書館にて。
    ひとつひとつの言葉を選んで作家さんが書いた本とはわかっているけれど、申し訳ないけどざっくり読み・・・
    すごく男性的な本だと思う。
    愛の泣き顔ばかりのデジカメを見つけたのに、何も解決しないまま性欲が湧くか?
    この本は最初から、娘の死に向かっていたんだろうな。
    そこへ到達するまでぐちゃぐちゃと、何も解決しようとしないままああでもないこうでもないと言い訳をし、イミのない行動を繰り返し、果ては危険とわかっている自分の死にかけた場所へ連れて行く・・・
    馬鹿すぎて呆れる。
    幸せな時間があった分、今も地獄でこれからも地獄なのだろう。
    もう手に取りたくない1冊。

  • うわぁ何とも言えない読後感。そんな結末に嘘でしょ?とガックリと力が抜けてしまう。

    途中まで「年取ってから娘ができて、あぁ愛しい。育児は大変だけど、その成長は楽しみで。志帆は若いけど最高の妻だし、この年になって家族・家庭というのはいいものだってわかったよー」感が伝わってくる幸せ満載親ばか日誌みたいで微笑ましかったのに・・・。どこかの段階で壊れちゃったのかな。奥さん・・・。きっと主人公も疲れちゃっていたのかも。結局、愛ちゃんは幸せだったのかな。

    何だかとってもツライ。

  • なんという地獄。
    伏線なげーーー。

  • 不思議~。
    エッセイ?小説?
    と首をかしげながら読んだ。
    ベテラン作家さんだから
    流石に表現力が素晴らしく
    愛ちゃんとの車中泊の旅あたりは
    ウキウキして読んだのだが
    ラストのどんでん返しには驚愕!

    一瞬首をひねったものの
    主人公の気持ちが分からんでもないのか?
    いや、分からん!私が母親だから?

  • どこまでが現実でどこからが虚構なのか?あまりにリアルなディティールに戸惑いながら読み進み、「そこ」でうわーっと鳥肌が立ちました。いまのはなんだ?地獄かな。

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