美森まんじゃしろのサオリさん

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著者 : 小川一水
  • 光文社 (2015年6月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910303

美森まんじゃしろのサオリさんの感想・レビュー・書評

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  • G県の美森町、限界集落寸前の田舎町。大学受験に失敗し、ひょんなことから祖母の家のあるこの美森町で暮らすことになった猛志、美人だけど気の強い地元の女子大生、詐織。2人が「竿竹室士」というユニット名で町立探偵として町の難事件を解決していくのだが…。
    1話目は自分も何だか「よそ者」な気分で、作品世界にすんなり入れずなかなか読み進められなかった。でも2話目以降は、田舎の伝承×小川さんらしい近未来のテクノロジーが噛み合ってきて、謎解きも楽しくなってくる。あちこちに張り巡らされた伏線の回収もお見事で、オールスター勢揃いの最終章は好きだったなぁ。古きよきものと新しいものの融合がいい形で描かれている。フィクションとはいえ、少子高齢化や空き家問題など、今後の地方のあり方についても考えさせられた。
    メインの2人については、若干物足りない部分もあり…聡明なのに大学に通っている気配のない詐織、色々こじらせていることはだんだんわかってはくるのだけど、もっと彼女のバックグラウンドを知りたかったかな。続編またはスピンオフが出ればなぁ。何しろ2人ともまだ若いので!美森の伝統を大事にしつつもどう発展させていくのか、これからのストーリーを是非読みたいなと思うのだ。

  • 強面でも純情な青年と、美人だけど狡猾ちょいネガってるヒロインとの、いったり来たりすれ違いを描いた小説、なんてのはブクオフで石投げたらどれかに当たるくらい、日本中にゴロゴロ転がってるんだろう。

    この本もその手の1冊なんだけど、土着ファンタジー的要素、近未来SFを予感させる小道具が上手く使われていて、凡百のその手小説とは一線を画している。予定調和の先が見えそうなのに、小道具を使った設定の妙で上手い具合に先を隠してくれていて、ページを繰るのが楽しくなる。

    2人の、そして舞台となった村の物語を、もっと読みたい気分になったところで終わり。これは絶対続編出してくれると思う、思いたい。

  • 限界集落ギリギリの美森町で起こる日常トラブル帳。

    故郷の良さを残し守ろうとしているサオリさんが、実は変容していくことを邪魔しているんじゃないか、というところに気づくところがとても皮肉だなと。自分のしていることが独善になっているんじゃないか、と気づくのは悲しいことです。
    変容が悪いことではないけど、ただ古き良きものを押しつぶしていくのはいや。かつての良さを内包しながら、受け継ぎ未来へとつないでゆく。
    とても大事だけど、大変なことです。

    正直、探偵ごっこやってる場合じゃないよね、二人とも。
    ここまでがプロローグで、この先の活躍が小川一水らしい知恵と諧謔で奮闘する群像劇になりそうなんだけど。

    つづくのでしょうかね。

  • 昔からの言い伝えには必ずその時代の現実の問題に工夫を凝らした先人の知恵がからんでいるんですね。
    田舎ってちょっと面倒くさいなと思いつつ新しい風を取り入れて変わっていく予感を感じさせます。

  • 美森町に住む、なんでも屋の岩室猛志と女子大生の貫行詐織が、町で起こるちょっとした事件を解決していく・・・。もう少し民族学的な話がメインかと思っていたのだけど、結局、詐織の我が儘とそれにふりまわされる猛志ばかりが目についた感じ。詐織の言動に納得する材料が少なかったので、最後まで苦手感が残ったままだったなぁ。

  • 過疎の進む小さな村に他所からふらりとやってきた図体のでかい何でも屋()の青年の話。
    まあ、それにプラスして得体の知れない、やたらと村の伝承に詳しい美女がついてきてます。
    …なんかよくある話ですねって言いたくなってきた。

    望むことは町おこしなのかなんなのか。
    自分の住む町はここまで田舎ではないけれど、町おこし的なイベントたまにやってます。
    内輪くさくて1人だとほとんど素通りする感じですけど。
    出店の人が顔見知りの常連とずっと話してるとか。
    難しいっすね、町起こすの。

  •  限界集落寸前の町・美森町には、美森さまという神様とそれを祀る卍社がある。
     高卒無職で二十歳の岩室猛志と地元出身の女子大生・貫行詐織は、町役場からの依頼を受けて住民が巻き込まれた事件の解決に当たる町立探偵。
     民俗学と最新テクノロジーが融合したミステリ。

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     謎解き自体はそこそこおもしろい。
     でもイライラして1話目しか読めなかった。
     詐織さんのキャラがすっごい微妙なのとか、話のテンポが悪いのとかも一因だけど、役場職員の一番若い人が57歳ていうのがあまりにも現実的でなさすぎて、その意味不明な設定に、は? て思って、ずっとイライラしながら読んでた。

     いくら小さい町とはいえ、30年間新しい職員を採用しないというのはあり得ないでしょう。
     57歳なら、あと数年で定年で、それより年上の職員は、当然それよりも早く退職となるんだから、あと数年で職員が誰もいなくなる。
     その数年の間に焦って職員を大量に採用したところで、入庁数年の職員が課長や係長になれるわけもなし。
     採用抑制しているのだとしても、あまりにも現実的でない。
     在職の職員はそのことに何の危機感も覚えず、30年も町政に携わっていたのか。町民は何も言わなかったのか。

     採用がなくても、時期が来れば職員は退職していくと考えれば、役場職員は減る一方だったわけだけれど、小さい町とはいえ、行政の仕事が少ないわけではないから、1人当たりの仕事量は増える一方のはず。
     それなのに、警察を呼ぶか微妙なラインの事件に役場の福祉課の職員が呼ばれても、対応しきれるとは思えない。他の仕事が出来なくなる。
     話の中では『三十年間呼ばれ続けていい加減いやになっていた』とあるが、そういう問題ではないと思う。その人個人の感情の問題でなく、行政がすでに破たんしている状態だと気付いていないのだろうか。
     こうした状況を解決するにはどうしたらいいか、ということについて、町長も職員も、今まで一度も考えたことがなかったのだろうか。

     話の中では個人的に職員が詐織さんたちに依頼していることになっているようだが、それ自体も問題がある。契約とかがどうなっているのか。「町立」と名乗らせるからには、そうした部署を立ち上げて、たとえ臨時的任用だとしても、ちゃんと採用しているのか。
     こんなことをするなら、普通に職員を採用して、そうした部署を設立すればいいのではないか。

     …などなど。
     言い出したらキリがないけど、そもそもの設定があまりにも不自然すぎて、そっちが気になりすぎて、肝心の話に集中できない。
     今の日本の行政制度とは違う世界観なのであれば、それはそれでいいけれど、そういう描写がない以上、やはり現代の現実の日本が舞台なのだから、架空の町とはいえ、現実に存在するものは、それなりに忠実に描いてほしかった。

     この作者の方、行政とか限界集落の問題とかを、ちょっと舐めているんじゃないかと思う。

  • 短編連作。
    猛志の人が良い所が、ほっこりさせられる。

  • 変なコンビ名。最初の話が恐い。限界集落にハイテク機器が出てきてミスマッチで面白かった。人がいないからこそのメカか。

  • のどかな限界集落の話なのに、のっけから、プログラムした通りに自動で動くサムソンワイヤーたるSFガジェットが登場して面喰らった。近未来的な都市部が存在しているのであろう世界観の中で、一方の高齢化した集落はどうなっているのか、をとても示唆的に描いた作品。とても面白かった。

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