江ノ島西浦写真館

著者 :
  • 光文社
3.23
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感想 : 124
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910662

感想・レビュー・書評

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  • 2話目で主人公・繭のかかえる“傷”が判明。
    しかし4話では、それをしのぐほどの「それってアリ?!」な展開に…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    亡くなった祖母は、写真館を営んでいた。

    祖母の遺品整理のために、写真館を訪れた繭だったが、そこで未渡し写真を見つけてしまう。

    未渡し写真を捨てるわけにもいかず、注文主を探していく繭だったが…

    写真をやめてしまった繭の、心の傷。
    そして妙な縁で知り合った青年・秋孝のかかえる秘密とは…?

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    著者の三上延さんは「ビブリア古書堂の事件手帖」を書かれた方だそうです。
    ですがわたしはそれを知らずに、背表紙タイトルだけでこの本を手に取りました。

    結論から言えば、おもしろかったのですが、先に「ここで読むのをつまずくかもしれないポイント」について、2つ挙げておきます。

    1つ目。
    プロローグは猫目線で書かれているのですが、かといって語りは猫自身ではなく、ナレーションでした。
    猫のことをナレーションが“彼女”と言っていて、それでかなり混乱してしまい、物語に入りにくくなってしまいました。

    最後まで読み終えたあと、プロローグをもう一度読むと、プロローグがラストの伏線になっているとわかります。
    プロローグで読みにくさを感じた方は、ぜひそこで読むのをあきらめるのではなく、潔くプロローグをとばして、第1話から読み進めることをオススメします。

    2つ目。
    小さい「っ」と大きい「つ」の区別がつきにくい字体を採用されているため、非常に読みづらかったです。
    小さい「っ」のところを何度も大きい「つ」として認識してしまい、読むスピードと理解が落ちてしまいました。
    よくよく見てみるとこの字体は小さい「ゃ、ゅ、ょ」なども大きめにデザインされていました。

    内容は良くても、こうした字体のデザインが読む人を疲れさせてしまっては、もったいないです。
    この字体がどんな種類なのかはわかりませんが、読み物に使うには難ありだと思いました。

    しかし本作は、この読みにくかった点をしのぐくらいの面白さでした。
    第2話ではやくも主人公・繭のかかえる心の傷がわかるのですが、繭自身からでたサビとは言え、なかなかのヘビーな心の傷でした。
    しかも、こんなにおとなしく見える繭が、過去にはかなりイタイ人だったことも、衝撃を受けました。
    というか、本当に同一人物…?というくらいの性格のちがいでした。

    しかしわたしは、第2話を読み終え、少々油断していました。
    「第2話でこんなにも大きな謎が明らかになったのだから、あとは中くらいの事件を解決してエンディングかしら?」なんて思っていたら、第4話で飛び上がるくらいびっくり仰天な秋孝の秘密にぶち当たってしまったのです…!

    「えー…、そんなのありなの、、、」と、その秘密を知ったとき、秋孝親子の歪みに3kmくらい引いてしまいました。

    そしてプロローグとリンクしていくエピローグ…
    読み終えたときには、全4話のドラマを一気見したような、そんな気持ちになりました。

  • なかなか良かった。『ビブリア古書堂の事件手帖』の時は、もとになる本を読んでいないために、よく解らない部分があったが、今回は写真が題材なので、イメージがわきやすく。
    人物に”過去”があるのは、ビブリア譲りか。

  • 「ビブリア古書堂の事件手帖」の著者によるミステリ。
    祖母の遺品整理のため「江ノ島西浦写真館」に訪れた桂木繭は、注文したまま誰も受け取りに来ない「未渡し写真」の見つけ、写真の整理をしながら、自分自身の過去とも向き合っていく。
    甘くもなくほんわか系でもないところがこの著者の魅力だと思う。
    (図書館)

  • 過去にとある理由でカメラを手放した主人公が祖母の写真館に遺された未渡し写真にまつわる謎の数々と出逢い、再び歩み出すまでを描く日常の謎ミステリ。題材上どうしても専門知識に依りがちなところをそれだけでは終わらずに、謎解きのための一ステップに組み込んで論理で解決できるつくりになっているのが好印象。事件ひとつのために大仰な設定をブチ上げてしまう新本格っぽさ、間に倒叙形式を挟んでみたりと飽きさせず、ミステリ書きとしての三上延の手つきを再認できる非常に丁寧な作品でした。

  • 図書館で借りた本。
    祖母の影響で、子どものころから写真を撮ることが好きだった繭は、祖母が亡くなったあと、祖母がひとりで経営していた写真館に遺品整理に来ていた。写真館で見つけた渡せないままの写真たちには、それぞれ小さな謎が隠されておおり、小さな謎を解きながら、繭の過去も解き明かされていく。

  • 手放すので再読。
    暗めな話だが惹き込まれる。
    再読なのにミスリードにまた引っ掛かる…
    文章が上手い。
    その後がどうなったか気になる。
    ビブリア以外のもまた書いてほしい。

  • 館主の祖母の遺品整理の為写真館を訪れた繭が写真を受け取りに来た青年と共に出会う未渡し写真と謎たち。文章が若干ぎこちない。四年前の大学時代に繭が写真を辞めるきっかけとなった、離島で宗教のもと戸籍もなく育った当時芸能人の友人青年絡みの、サークルのリアルと言い訳の利かない若い短所の容赦のない苦さが印象的。

  • 【あらすじ】
    江ノ島の路地の奥、ひっそりとした入り江に佇む「江ノ島西浦写真館」。百年間営業を続けたその写真館は、館主の死により幕を閉じた。過去のある出来事から写真家の夢を諦めていた孫の桂木繭は、祖母の遺品整理のため写真館を訪れる。そこには注文したまま誰も受け取りに来ない、どこか歪な「未渡し写真」の詰まった缶があった。繭は写真を受け取りに来た青年・真鳥と共に、写真の謎を解き、注文主に返していくが―。

    【感想】
    江ノ島は馴染みのある土地なので、風景は何となく想像できた。イメージしていた物語とは違ったけれど、存分に楽しむことができた。まず、この本の装丁が好き。江ノ島という言葉も付いたら、思わず手に取ってみたくなる。写真館の遺品整理をしながら、見事な推察力で未渡し写真にまつわる謎を解いていく繭。そして最後に、手伝いをしてくれた真鳥の写真、最大の謎であり秘密を解き明かす。そんな繭がクールでとってもかっこいいと思った。でも、その最大の謎、秘密には驚いた。わたしは考えもしない展開だった。ビブリア古書堂の事件手帖とは、また一味違うクールな物語だった。

  • 祖母の遺品整理を頼まれた主人公が写真館を舞台に次々と謎を解明していくミステリー。

    主人公の過去が凄かった…。

    『ビブリオ古書堂」シリーズよりシリアスな印象。

  • 2017/10/4

著者プロフィール

『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズが累計700万部を超えるベストセラーとなる。同シリーズで、文庫作品初の『本屋大賞』候補、『本の雑誌』が選ぶ「この40年の書籍 第1位」に選ばれるなど、幅広い層からの支持を集める。

「2022年 『ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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