ポイズンドーター・ホーリーマザー

著者 :
  • 光文社
3.42
  • (86)
  • (303)
  • (396)
  • (80)
  • (13)
本棚登録 : 2622
感想 : 332
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910945

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 久々に湊かなえさんの作品読ませていただきました。今作も独特の世界観と強いメッセージ性に圧倒されました。
    いつも学校帰りに寄っている図書館が文庫本を取り扱っていないので、今回初めて湊さんの作品を単行本で読みました。

    今作は6編から成る短編集で、最後の2編(表題:ポイズンドーター・ホーリーマザー)が連作になっていました。
    個人的にはやはり表題になっているというだけあり、『ポイズンドーター』と『ホーリーマザー』がお気に入りです。第1章は個人的には刺さりませんでしたが、湊さん独特の世界観である、イヤミス感が1番出ているように感じました。

    以下『ポイズンドーター』、『ホーリーマザー』の感想です。
    子供から見た親と、親の本心・本意というものが違うのは当たり前です。しかし、子供が「子供」であるうちは中々お互いの考えの差異に気付かず、拗れてしまうもの。作中で弓香の友人の理穂も触れていましたが、やはり「母親」の心情というものは「母親」にならないとわからないことなのかもしれません。そして、「毒親」の基準というのは、すごく曖昧です。尚且つ、親の厳しさを子供がやはり毒だったと捉えるか、愛情故だったと捉えるかは十数年後にならないとわからない。そんな中で、親は子供への接し方を模索しなければならないことの大変さを、もう「子供」ではないけれど「母親」でもない私ですが、少しは学ぶことができたと同時に、母の偉大さが身に沁みました。

    12月に湊さんの新刊が発売されるみたいですね。今からとても楽しみです。

  • 六編の気味悪さ満載短編集。こういうのを『イヤミス』と言うのだろうか?それぞれ主人公自身が語る話は、読んでいる間から不穏な気配がして、でも最後の他者からの一文でものすごく不気味な作品に仕上がる。猛暑の中で読むのには良いかもしれない。

  • 六作の短編集。もはや嫉妬集な作品だった。妬みや恨みを短編の中に凝縮されています。

    題名でもある連作のポイズンドーター、ホーリーマザーから、どちらが毒かが視点となる。
    「浅瀬で溺れてると、本当に助けられるべき海の真ん中にいる人は助けてもらえない」
    毒親なのか、毒娘なのか親子関係を冷静に見つめ直す機会となりました。
    人生の教訓を感じた。

    やっぱイヤミスは面白い!
    原点回帰、鏡を見て我に帰る。

  • 久々に湊かなえさんの作品を読んだけど、
    まぁー、読みやすかった!!
    さくっと読めるけど、おもしろい!!
    この本は、短編集だったよー。

    マイディアレスト
    蚤取りの話…
    ベストフレンド
    珍しい名字の脚本家たちの話。まみゅうだー。
    罪深き女
    自分のせいで知り合いが罪を犯したと思ってる話ー。
    優しい人
    優しい男女が優しすぎて罪を犯す。
    ポイズンドーター
    毒娘から見る毒親の話。
    ホーリーマザー
    他人から見る、毒娘と毒親の話。

    どれも、イヤミスって感じで、さすがでしたー!!
    個人的には、マイディアレストが好きだったなぁー。
    ありきたりかもだけど、蚤取りと表現するセンス!!
    あぁー、気持ち悪いー!!!!
    いい感じにイヤミス感を味わいましたー(*´艸`*)

  • 読みやすい長さの、繋がったような別々のような話がいくつか。
    母と娘の関係っておもしろいよね
    やっぱ毒親ってのはいると思うし毒娘(息子)ってのもいると思うわ
    当事者にしか分からないこともあるだろうし、程度もあると思う

  • 毒親についてかと思ったけど、
    伝えたかったのは
    なんでも毒親のせいにする風潮も
    どうかと思う、ということらしい。

    でも、ホーリーマザーを読んで
    やっぱりそれはちがうと思う。
    弓香の母親は毒親だと思うし、
    浅瀬で溺れてるっていうのもちがう。
    そもそも子どものために、
    じゃないのが毒親だし。


    みんな自分の解釈で
    生きてるんだなぁ、と感じる1冊。

  • 読んでいるうちに、わからなくなってくるのだ。
    『優しい人』ってなんだっけ・・・?
    自分の中の優しさや正義の定義が
    グラグラと揺さぶられる短編集でした。
    さすが湊かなえさん、人が普通に持っている
    自己正当化の上に成り立つ正義感や、甘ったれた自己憐憫を
    小気味よく、でも少々意地悪にバッサバッサと切り落としていきます。

    人付き合いですべて正解を出せる人などいないように、
    親だって子どもとの接し方の正解を知らずに
    手探りで育てている。
    最近の『毒親』という言葉を聞くたびになんとなく感じていた違和感の正体を見せてもらった気がします。
    人間は優しくも正しくもない生き物ならば、
    自分は自分として
    出来る限り人に迷惑をかけないで生きていくしかないんだろうな。

  • THE湊かなえ、という感じの6編の短編集。

    何がやさしいなのか、
    守ることと規制すること、毒か薬か
    与え方、捉え方、
    消化の仕方でどんどん変わる。

    私は母のような親になりたいと思ったけれど、
    それが娘にいいことかどうかはわからない。
    毒と出るか薬とでるか
    毒にも薬にもならないか。。。
    たぶん、ずーっとわかんないこと。

    ずんずん入ってくるかんじで、
    心が湊色になったので
    次は違う色を入れるとしよう。

  • 私も、ポイズンマザーかも

  • それぞれの主観によって綴られる短編集。
    手法としては湊かなえらしい、と言う印象。
    視点を別にして同じ人物について語られるから、片方の人の話を聞いて全てを鵜呑みにしてはいけない……と、良い教訓になる。

著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

湊かなえの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×