ポイズンドーター・ホーリーマザー

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910945

感想・レビュー・書評

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  • 久々に湊かなえさんの作品読ませていただきました。今作も独特の世界観と強いメッセージ性に圧倒されました。
    いつも学校帰りに寄っている図書館が文庫本を取り扱っていないので、今回初めて湊さんの作品を単行本で読みました。

    今作は6編から成る短編集で、最後の2編(表題:ポイズンドーター・ホーリーマザー)が連作になっていました。
    個人的にはやはり表題になっているというだけあり、『ポイズンドーター』と『ホーリーマザー』がお気に入りです。第1章は個人的には刺さりませんでしたが、湊さん独特の世界観である、イヤミス感が1番出ているように感じました。

    以下『ポイズンドーター』、『ホーリーマザー』の感想です。
    子供から見た親と、親の本心・本意というものが違うのは当たり前です。しかし、子供が「子供」であるうちは中々お互いの考えの差異に気付かず、拗れてしまうもの。作中で弓香の友人の理穂も触れていましたが、やはり「母親」の心情というものは「母親」にならないとわからないことなのかもしれません。そして、「毒親」の基準というのは、すごく曖昧です。尚且つ、親の厳しさを子供がやはり毒だったと捉えるか、愛情故だったと捉えるかは十数年後にならないとわからない。そんな中で、親は子供への接し方を模索しなければならないことの大変さを、もう「子供」ではないけれど「母親」でもない私ですが、少しは学ぶことができたと同時に、母の偉大さが身に沁みました。

    12月に湊さんの新刊が発売されるみたいですね。今からとても楽しみです。

  • 六編の気味悪さ満載短編集。こういうのを『イヤミス』と言うのだろうか?それぞれ主人公自身が語る話は、読んでいる間から不穏な気配がして、でも最後の他者からの一文でものすごく不気味な作品に仕上がる。猛暑の中で読むのには良いかもしれない。

  • 六作の短編集。もはや嫉妬集な作品だった。妬みや恨みを短編の中に凝縮されています。

    題名でもある連作のポイズンドーター、ホーリーマザーから、どちらが毒かが視点となる。
    「浅瀬で溺れてると、本当に助けられるべき海の真ん中にいる人は助けてもらえない」
    毒親なのか、毒娘なのか親子関係を冷静に見つめ直す機会となりました。
    人生の教訓を感じた。

    やっぱイヤミスは面白い!
    原点回帰、鏡を見て我に帰る。

  • まだ読み途中なのに感想を書いてみるのは初めての試み(笑)

    会社の方から貸して頂いた短編小説。

    【優しい人】
    「世の中は、全体の一パーセントにも満たない優しい人の我慢と犠牲の上において、かろうじて成り立っているのだと思います。そして、これだけは断言できます。あなたは優しい人じゃないーーーーー。でも、それは決して悪いことじゃない。」

    もう、本当にツボ。
    ドツボ。
    優しいって、そういうことなの!?
    少しだけ自分と一致する部分を感じてしまった(^_^;)


    【マイディアレスト 】
    六歳年下の妹を可愛がり、自分には辛くあたる母。

    あの夜のことを私に訊いても
    ーーー蚤取りをしていました。

    面白い!
    妬み、僻み、女の恨み!
    もう何なの!?これ??
    一話目からこれ!
    一日中読んでいたい!!
    仕事辞めて読書に没頭したい!

    本当大好き。このダークな小気味良さ(*^^*)


    そんな気分のまま残り二作はまた明日、、、


    読了!
    最後の二作はあまり自分好みではなかったが、前半はなかなかツボに嵌まって良かった(*^^*)

    女なら分かる気持ちが満載。
    本当に上手だなぁ、ストーリー作るのが。

    面白かった!!満足!!

  • 私は、あなたの奴隷じゃない!
    母と娘。姉と妹。男と女…。
    人と人の心の裏の裏まで描き出す極上のイヤミス6編の短編集。

    ・マイディアレスト
    ・ベストフレンド
    ・罪深き女
    ・優しい人
    ・ポイズンドーター
    ・ホーリーマザー

    姉と妹。友人同士。男と女。そして母と娘。
    湊さんらしく最初からゾワッとさせられました。
    どのお話も、同じ出来事や同じ人の事も見る人や立場によって、
    こんなにも違って見えてるんだって痛感されられた。

    「ポイズンドーター」…女優の藤吉弓香は、子供の頃から自分を
    思い通りにコントロールしようとする母親に苦しめられてきた。
    友人選び・異性関係・進学から就職まで何から何まで口を出され、
    ストレスから頭痛になる程だった…。
    弓香の独白なので、〝毒〟は娘じゃなくって母親なのではないかって思った。
    「ホーリーマザー」…弓香の親友の理穂や弓香の母の友人でもある
    理穂の姑の視点から描かれてる。
    やはり、同じ出来事や学生時代の思い出も弓香の記憶と違ってる。
    母親の印象も全く違って見えてくる。
    うーん、まるで弓香が勝手な思い込みで真実は全く異なるかのように描かれていましたが、
    確かに弓香のした事は酷いし、他人から見ると浅瀬で大袈裟に溺れている様に見えるけど、
    理穂の行動や言葉には共感出来なかったなぁ。
    マリアの母親の様に、本当にどうしようもない毒母もいると思いますが、
    母親との関係に苦しんで苦しんて苦しみ続けている人がいる。
    それは、他人が苦しみの度合いを測れるものでもないと思う。
    人の悩みは比較できない。
    一人一人全く違う母と娘の関係だと思ってる。
    毒母と感じるかどうかは、娘の受け止め方次第って所もあるんじゃないかなぁ。
    完璧な母親も完璧な娘もいないって思う。

    誰にでもある、思い違いや、すれ違いや、誤解…。
    言葉にしないと伝わらない事って多い。
    立場や見方が違えば何が正しいのかわからなくなってしまう恐ろしさ。
    言葉にして伝える努力をしなきゃいけないって凄く思った。
    少し批判めいたレビューになってしまいましたが、
    人の心の奥の奥までえぐり出して負の感情をこれでもかって描いてる。
    じわっとする心地悪さ。湊さんらしい作品でした。
    ふーっ、やっぱイヤミスは読んでてしんどい…。
    でも、やっぱ湊さん好きなんだなぁ~読まずにいられない( *´艸`)クスクス☆

    • しのさん
      katatsumuruさん★
      コメントありがとうございます (*´ー`*)
      とっても嬉しいです♪
      読んでる本が結構被ってるのは、読み...
      katatsumuruさん★
      コメントありがとうございます (*´ー`*)
      とっても嬉しいです♪
      読んでる本が結構被ってるのは、読みたい本が一緒って事でとっても嬉しいです。
      そうですよね~同じ本を読んでもひとりひとりそれぞれの感想って違ってて、そこがまた面白いですよね。
      また、同じ様な感想を抱いてる方がいるとそれもまた嬉しいという変な感情(笑)
      湊さんの作品は最初の作品に衝撃を受けて以来、読んで嫌な気持ちになる作品も多いのですが読まずにはいられません。
      数少ない読破してる作家さんです。
      やっばり、大好きな作家さんなのですね。
      この本のレビュー楽しみに待ってますね。
      私も変わらず訪問させて頂きます。
      私はレビューを書くのがとっても苦手で上手く纏められなくて恥ずかしいのですが、訪問して読んで下さると、とっても嬉しいです。
      これからも宜しくお願いします
      2016/09/29
    • katatumuruさん
      やっと、この本を読む事ができました。想像していた以上に面白かったです。あまりに面白かったので、惜しんでチビチビ読んでしまいました(^-^;
      ...
      やっと、この本を読む事ができました。想像していた以上に面白かったです。あまりに面白かったので、惜しんでチビチビ読んでしまいました(^-^;
      読み終えてから改めてしのさんのレビューを拝見したら、優しい感想だと感じました。
      人の心の奥にあるものを抉り出すように書かれている作品だからこそ、人の奥にあるものを引き出せる作品だったのかな~と思います。
      2016/11/10
    • しのさん
      こんばんは♪
      いつもコメントありがとうございます。とっても嬉しいです。
      おぉぉぉ~読まれましたね♪
      うんうん、読み終えるのが勿体なくっ...
      こんばんは♪
      いつもコメントありがとうございます。とっても嬉しいです。
      おぉぉぉ~読まれましたね♪
      うんうん、読み終えるのが勿体なくってゆっくり読んでしまう気持ちスッゴク良くわかります(#^^#)
      えーっ、私の感想が優しい感想だと感じて下さったのですね。
      少し非難めいた事も書いてしまったのですか…(;'∀')
      優しい人柄の様に感じて下さってとっても恥ずかしい様な…でも嬉しいです(*'▽')
      2016/11/12
  • 言葉って本当に要るのだろうか。

    全く言葉が通じない外国の人とか、
    種が違う動物とか植物とかの方が、
    わかり合おうと距離を縮めようと
    気を遣い努力をする。

    近くにいる方が遠い。
    自分の想いも相手の想いも全くかすらないほどに
    見事に交わらない。

    この本の前に読んでいた物語にも
    自分の中のバケモノを見せつけられ
    この物語でも自分のバケモノの肥大化を
    思いっきり見せつけられてます。

    来年の私のテーマが自分の中のバケモノの扱い方
    …なのかも知れませんね。

    悲しいです。みんな違っていいのですが、
    これだけわかり合えないのが人間なのでしょうか。
    やりきれない気持ちでいっぱいです。

  • 久々に湊かなえさんの作品を読んだけど、
    まぁー、読みやすかった!!
    さくっと読めるけど、おもしろい!!
    この本は、短編集だったよー。

    マイディアレスト
    蚤取りの話…
    ベストフレンド
    珍しい名字の脚本家たちの話。まみゅうだー。
    罪深き女
    自分のせいで知り合いが罪を犯したと思ってる話ー。
    優しい人
    優しい男女が優しすぎて罪を犯す。
    ポイズンドーター
    毒娘から見る毒親の話。
    ホーリーマザー
    他人から見る、毒娘と毒親の話。

    どれも、イヤミスって感じで、さすがでしたー!!
    個人的には、マイディアレストが好きだったなぁー。
    ありきたりかもだけど、蚤取りと表現するセンス!!
    あぁー、気持ち悪いー!!!!
    いい感じにイヤミス感を味わいましたー(*´艸`*)

  • これぞ、湊かなえさん!という湊かなえワールド全開の作品だった。短編集なので読みやすかった。ハズレがなく、どの話も面白かった。

    「毒親」と「聖母」は紙一重だと思った。毒親はどこからが毒親なのか?「あの人よりはマシ」という対象を見つけて、この人は毒親、この人は毒親じゃないって誰にも線引きはできない。

    一番好みだったのは、『優しい人』
    「優しさに似た行為は跳ね返す際の助走となり、最初から何もしなかった人以上に傷つけてしまうことになる。」
    じゃあ、たとえ道端に倒れている人がいても無視をして通り過ぎよう。助けを求められても、聞こえなかったふりをしよう。誰かに助けてやれと言われても、嫌だと言って断ろう。太っていて 鼻の下にはいつも鼻水が垂れているような子とは手を繋ぎたくないとはっきり言えばよかった?嘔吐してしまった子に汚いとか臭いとか言えばよかった?
    この部分にとても考えさせられた。子どもは親から「優しくしなさい」って教えられるし、優しいっていうのは褒め言葉で良いことだとされている。でも最初から冷たい人に拒絶されるのと、優しい人に拒絶されるのとではダメージが違う。優しいことだけが正義なのか?と考えさせられた。

    答えはない、100人読めば 100通りの答えがあるような内容だった。事実なんて、見る人の目線によって幾通りもの「真実」になるんだと。
    作品内ではいくつもの真実があって、それぞれの真実を信じているからこそ、うまく噛み合わず、憎み合ったり、勝手に不幸になったりしていた。

    人の裏表が描かれていると同時に、たった1人から聞いた話だけで判断することの危うさにも気付かされた。

  • 年末の忙しい時にどろっとした小説を読んでみた。
    さすが湊かなえさんの小説。
    間違いないどろっと感。

    姉妹の確執から生まれる嫉妬と殺意「マイディアレスト」
    才能があるものとない者、運を掴むもの掴まない者。そこに流れる嫉妬心「ベストフレンド」
    二階に越してきた息子と母親、一階に住む娘と母親。人はいつも自分が他の人よりも上に立っていると思いたがる…「罪深き女」
    母親から誰にでも優しくすることを教えられたら子供はそうするよね。それが実は我慢の上に成り立っていたとしても…「優しい人」
    母親が毒親かどうかなんて他人にはわからない「ポイズンドーター」
    思春期の娘を守りたいと思う母親の愛情が毒か薬かなんて誰にもわからない。もちろん本人にも「ホーリーマザー」

    言いようのない嫉妬、我慢するうえで成り立つ優しさ、優越感、縛り付けようとする母親の愛情の暴力…
    いや~もしかしたら女性なら誰でもこの小説の主人公の1人に自分の姿を投影しちゃう部分があるのでは…

    そんなことに気が付いた時にじわじわと恐ろしさがにじむ小説。

  • どうして、こんなに人気があるのか分からないくらい、湊かなえが好きではない。
    イヤミスの第一人者なのだろうけど、他にも面白いイヤミスを書く作家さんはたくさんいるし。
    それでも、この作品がドラマ化されると聞いたので、読んでみることに。
    「毒親」と言う言葉は社会的にも問題になっているはずなのに、タイトルにもなっている後半の2編「ポイズンドーター」「ホーリーマザー」を読んでも、何も心に残らない。
    そもそも「毒親」と言うのは、第三者の価値観ではないと思う。もちろん、暴力など目に見えるものもあると思うが、一番は子供の心にどれだけの傷を残すのかだと思う。
    第三者から見て、あれこれ批判するこの作品は個人的にはいい作品だと思えない。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

湊かなえの作品

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