虫たちの家

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著者 : 原田ひ香
  • 光文社 (2016年6月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910990

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虫たちの家の感想・レビュー・書評

  • 改めて、原田さんのストーリーテリング力に感服。タイトルの「虫たちの家」、当初は地味な印象があってあまりそそられなかったのだが、読み始めたらいつもの原田作品同様に夢中になって読んだ。
    ネット被害に遭った女性達が離島のグループホームで共同生活を送っている。自分の名を捨て、「テントウムシ」「オオムラサキ」「ミミズ」など、虫の名で呼び合いながら、農作業をし、つつましく暮らしている。ここにしか居場所がないのだと今の生活を頑なに守ろうとするテントウムシだが、新参者の母子(ミツバチ、アゲハ)の出現で、平和だった日々が脅かされ始める…。リベンジポルノが題材の為、時々その酷さに胸が痛む。だけど、一見正義感に突き動かされているように見えるテントウムシの行いに感じる小さな違和感。男心を弄ぶ美しい娘・アゲハの行いや言動にも些細な矛盾を感じ始める。そして訪れる、思いがけないどんでん返し…。
    思い返してみれば、さり気なく伏線は張られていた。細かいところで、もう少し説明が欲しかった部分もあるけれど…それでも、あまりに意外な展開に思いっきり度肝を抜かれてしまった。全体的には何とも苦い印象が強いけれど、心が絞られるほど切ないところもあり。弱い者への寄り添い方が原田さんらしいと思った。様々な人生があり、その過程で人を傷つけずに生きていける人などいないだろう。時には人と関わることを拒絶してしまうほどに辛くなることもあるだろう。それでも、いつか、どこかのタイミングで再生できる。そう思える一冊だった。

  • 島にある「虫たちの家」は、ネット社会で傷つけられた女性たちが名を捨てひっそりと共同生活をしている。古参のテントウムシは、美しく奔放なアゲハが村の青年たちに近づく企みを知り不安になる。『母親ウエスタン』で注目の作家が描く書下ろし長編。

  • 読み終わってすごくモヤモヤ感が残った。
    現在進行中の物語の途中に、登場人物の誰かの幼い頃の話しが挟まれていて、誰のこと?誰のこと?ってワクワクしながら読み進めていったのに、何この最後スッキリしない感じ(-_-#)人間関係の説明わかりにくいし、え、そんなことで?っていう物足りなさ。
    虫の家に集まった女たちの、リベンジポルノに至った理由をもっとはっきりさせて欲しかった。特にテントウムシ。
    アゲハとミツバチ親子に関しても、男を誘惑して部活を潰していく理由は何?自分の父親を誘惑された?復讐?イマイチ説得力に欠けるかな…
    あとマリアがテントウムシをあまりにもあっさり追い出すのも納得いかないし、そしてあそこしか居場所が無いって言ってたテントウムシの仕事がすぐに見つかったのも意外。
    文章の雰囲気は好きなのだけれど、物語の結末に物足りなさを感じました。

  • 九州にある小さな離島。過疎の進むその島に、一軒のグループホームがあった。
    そこには、お互いのことを虫の名前で呼び合う女性たちが住んでいた。

    彼女たちがその家に集まってきた理由は、ネット上に拡散された流出写真や誹謗中傷などで、それまで生きてきた世界では生きづらくなってしまったから。
    その家で女性たちはひっそりと静かに暮らしていた....
    そして、その家に新しい住人を迎えるところから物語は始まる...

    絶海の孤島ではない、でも、本土と密着に結びついていると言える距離ではない小さな島。
    そんな島は、日本国内にけっこう数多くある。
    そんな島に、隠れ人のように暮らすひとたち。
    ひょっとしたらそんな島は、もう現実にあるかもしれない。
    そんなことを思いながら、本書を読んだ。

    穏やかな内容と、おっとそうきたかという少しの驚きと。
    淡々と静かに読ませてくれる物語でした。

  • ネット被害にあった女性達が暮らす離島の「虫たちの家」
    名前を隠し、自分の過去も捨てて暮らすそこは、彼女達のシェルターのような場所。
    同じ被害者と思われる母娘がやってきて、穏やかだった家に不穏な空気が漂い始める。

    先が気になり、寝る間を惜しんで読みました。
    途中に挟まれるもう一つの話の謎が、少しずつ明かされていく感じがゾクゾクして、不気味で、なんとも言えない嫌な感じでした。

    著者の作品は、図書館で借りれるものは全て読んだと思います。
    この話は、嫌な感じが悪くなく、嫌いではないのですが、他の著者の作品の作風とはかなり違ったので、そこが違和感。
    他の作品の方が好みだったので、他の方の作品だったら、素直に読めたかなと、ちょっと天邪鬼な感想を持ってしまいました。

  • 傷ついて、さらされて、私は名もなき虫となる。ここに生きる覚悟で・・・ってなんのこっちゃ?と思ったら、リベンジポルノの被害者が島で身を寄せ合って共同生活ってか。
    いつも目の付け所がいい作家さんだこと!w
    それでお互いのことも詮索せずに生きられるよう虫の名で呼び合ってるのね。なかなか好みの設定だわ♪

    しっかし、ミツバチとアゲハの親子、コワ~!!
    でも、いるんだろうな~、こういう親子って・・・この人たちは常軌を逸しちゃってるけど。

    テントウムシが穏やかな余生を送れるといいな。

  • 最後までどういうことだろうと全てのピースをはめるのに夢中でした。
    自分の居場所は自分で作るしかない。
    大人になっても分かり合えない人もいるのは仕方ないけど、仮名からでもいつか本名で付き合える友が出来て良かった。
    虫から人に戻れたテントウムシさんの人生はこれからです。

  • 原田ひ香のこれまでの作品の中では異色の作品。ミステリアスでサスペンスのような内容は、東京ロンダリングよりも何十倍も恐ろしい。
    九州の離島にやってきて女だけの共同生活を送る「虫たちの家」の住人は、誰もがネット社会によって傷つけられた過去を持ち、誰からも忘れられようとしてひっそり生きている。そこに新たにやってきた母娘により、そこの住人、特に主人公のテントウムシの暮らしは大きく揺らぐ。
    そのメインストーリーに時々挿入される過去の話は、それを語るのが誰なのか、本編とどういう関係があるのかが明らかにされないまま進んでいく。最後には、そのエピソードが何を意味するのかが示されるのだが、とても静かで不気味な語り口が印象に残る。
    読み終えてみると、家族あるいは擬似家族というテーマが一つの核にあり、その意味では、著者の「母親ウエスタン」と同じ系譜なのかもしれない。あるいは、「三人屋」とも繋がっているとも言える。テイストは全く異なるが。

  • ちょっと・・・というか、かなりの無理やり感があるような

  • リベンジポルノで心に傷を負った女の人の避難場所として、九州の離島「虫たちの家」でお互いを虫の名前で呼びながら暮らす女たち。

    ある日、傷ついた母娘のミツバチとアゲハがやってくる。

    清純なふりをして島の男たちを手玉に取っているという噂のアゲハに、主人公のテントウムシは危機感を持ち、禁じられているインターネットでアゲハの過去を検索し、過去を暴こうとする。

    しかし、その行為を写真に撮られており、テントウムシは家を逆に追われることになる。誰がそんな事をしたのか。すべての謎は過去にさかのぼり、テントウムシこと氷室美鈴がアゲハの母であるミツバチの母を自殺に追い込んだ復讐だった。

    とにかくこれは一気に読む事をお勧めします。

  • 本の紹介にある「ネット社会で傷つけられた女性たち」は、「ケ●●バーガー事件」とか「三鷹ストーカー事件のリベンジポルノ」とかがモデルになっていて、また典型的なサークルクラッシャーが出てきたりで、作者のネットウォッチャー振りが垣間見えてニヤリとした。

    それはともかく、本作はシリアスなミステリー調の作品で、今までの原田ひ香にはあまりなかった作風であり、緊張感を保ちながらグングンと読み進められる、手応えのあるなかなかの秀作である。

    物語は主人公の視点の他に、もう一つ主人公の幼少期を思わせる「謎」の視点の二つから進められる。

    その「謎」が明かされるくだりがお話のクライマックスなのだが、それを既知のものとして全体を俯瞰し直すと、「謎」であった部分の動機やその人物のキャラ付けがやや弱い。

    「その人は病んでしまったのだ。」......残念ながら、それは事実の説明でしかない。

    そこにある狂気や心の闇を(手法は様々あれど)描き上げるのが小説の一つの醍醐味である。
    本作の核心となる部分であり、もう少し深く描いていれば、氏を代表する傑作になった可能性を感じるだけに残念である。

    しかし作者が新境地に果敢に挑戦した姿勢は買うし、その結果としての作品についても、全体としては十分に及第点以上の面白い小説だといえる。

    注目している作家の一人なので、次作にも大いに期待している。

  •  この本は新聞の紹介欄で知りました。
     九州から船で20分の小さな孤島に「虫たちの家」と名付けられたシェルターはあり、そこでは、テントウムシやオオムラサキ、ミミズと名付けられた女性たちが過去を一切明かさずに暮らしている。
     その女性たちはリベンジポルノ等と言われるネットに流された写真で普通の生活が営めなくなり、逃げ場を求めてやってきた人ばかり。
     そんな中に「アゲハ」という高校生くらいのとっても綺麗な娘とその母親「ミツバチ」がやってきて、それまでひっそりと営まれてきた「虫たちの家」の生活が脅かされそうになる。
     「虫たちの家」に終の棲家を求めるテントウムシは危機感を覚えて、「アゲハ」の過去を探し出すが、そこから物語は急展開していく。
     内容的にきわどい表現が多いのかな?と心配しながら読みましたが、そんなこともなく、最後まで謎が分からず、かなり一気読みしていしまいました。
    ちょっとだけど、mixiが出てくるし、今問題になっている勧誘されて撮られたAVの写真がネットでばらまかれて不幸になっている人達の問題を考えさせられました。
     ラストがみんな希望の持てる終わり方で良かったです。

  • 最後にホロリです

  • 「テントウムシは〜」という文章で「え、人間の話をしてたと思ったのに、虫からみた世界といったような話なの、面倒」と思ってしまった(笑)。いやー、突拍子もない設定のものを読むのも体力いるのよ。
    本名を他人い知られないようにするための措置ということだったわ。施設内では虫の名前で呼ぶのだとか。なるほど。
    ネットで傷つけられた人だったら、検索で自分の名前がヒットしてしまうのは辛いことだろう。傷つけられたというわけでなくても、良からぬうわさ話になってたりとか……、人のことをとやかく言いたがる人っているのね。
    自分のことだけしっかり世話してればいいのにな。

  • 1970年生まれの原田ひ香さん、「はじまらないティータイム」「母親ウェスタン」「彼女の家計簿」「ミチルさん、今日も上機嫌」「三人屋」など楽しませていただいてます。奇抜なストーリーが多いと感じます。今回読んだ「虫たちの家」(2016.6)は、まさに奇抜も奇抜、練りに練られた物語だと思います。辛い出来事を経験し、自分の名前を捨てて、虫の名前で暮らす数名の女性の話。テントウムシ、ミミズ、オオムラサキ、ミツバチ、アゲハ・・・。内容的には、伏線が長すぎて、面白いというより「もっとはっきりさせて」という印象でした。

  • 一気に読んだが、こんな結末にする必要があったんだろうか?
    なんか、解釈間違ってるかも知れない・・・

  • 母性の狂気の物語り。アゲバ蝶が毒をはらんで舞い込んできた。そこは「虫たちの家」という孤島にある、過去に傷ついた女性が共同生活している家。その家では彼女たちは名前を失う。「虫」の名前をつけられる。途中で差し込まれる「彼女」のアナザーストーリー。平穏な家に親子が加わる。「アゲバ」と名付けられた少女が「テントウムシ」を錯乱させる。真実を見失いミスリード。終盤になって一気にほぐれる絡まった糸。母性が牙をむく。皮肉にも「テントウムシ」に再び名前を与えたのは「アゲハ」だった。アゲハ蝶は今日も毒をひそませて飛ぶ。

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