アリス・ザ・ワンダーキラー

著者 :
  • 光文社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911195

感想・レビュー・書評

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  • (ネタバレします)
    『誰も僕を裁けない』はもう今年のベスト10に入ることはほぼ確実な情勢で、そうするとらいちシリーズは全作毎年ランクインという快挙なのですが、『RPGスクール』が不発だったのもありシリーズ外作品は不安だなあ、と思っていたのですが、うーん、やっぱり微妙だなあ…。
    いや、振り返ってみるとよくできてるんですよ。ダイイング・メッセージの解法だって面白かったし、第五話からエンディングの、解法からのどんでん返しも、すごくよくできている。『RPG〜』もだけどロジックをこねくり回すのも意外にできる人なんだよな、というのを感じさせてくれる。
    ただ、どうにも作品に没入することができなかったんだよなあ。基本的に、作中作とか、今作みたいなヴァーチャル・リアリティが舞台、とかなるとメタレベルが一段下がるので、ミステリとしての緊迫感に欠けるってのがまず一つあると思う。まあ、これは好みの問題なんだろうけど。
    あと主人公のアリスが10歳にしては大人びすぎている気がしたなあ。もうちょっと年齢上げても良かったのではないか。原作に準拠したのかな? そう、モチーフになってる『不思議の国のアリス』を未読なのもイマイチ入り込めなかった要因かな。
    うーん、これこそ完全な自分の印象なんだけど、やっぱりらいちシリーズに比べて筆が乗ってない気がするんだよなあ。別に自分がそんならいち萌えとかそんなんじゃないんだけどw『RPG』のときにも感じたちょっと無理してる感じ、があったんだなー。
    好きな作家リストに入れたいんだけど、らいちシリーズ以外でもガツンと心を掴んでくれないと、できないかなあ。
    ただミステリ的な地力はある人だと思うんで、そのうちに、らいち以外でもすごい作品を書いてくれると思っています。

  • 名探偵に憧れる少女が「不思議の国のアリス」をモチーフにしたVR世界で推理ゲームにチャレンジする連作短編集。
    脱出もの、誘拐、ダイイング・メッセージ、遠隔殺人、密室といったオーソドックスな謎と「不思議の国のアリス」ならではのトリックを絡めた良質な短編になっていますが、第五話の大仕掛けはVRの設定が後出し気味なので不満が残ります。

  • アリスが好きなので読みました。トリックもしっかりしてたしおもしろかったけどアリスの話し方が終始「〜かよ。」って言ってて口悪かったのが気になった笑

  • ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』をモチーフにしたミステリです。

    舞台がバーチャル・リアリティの世界という特殊設定なので、アリスの世界観が無理なく再現されています。

    謎の提示と解決も、作品世界を反映したものになっていて、そこに創意や工夫が感じられました。

    ノリは軽めかもしれませんが、なかなか凝った作品で、続編があっても面白そうです。

    『不思議の国のアリス』をモチーフにしたミステリはいくつかあるらしく、他の作品にもちょっと興味を惹かれます。

  • 父親のような名探偵を目指すアリス。
    誕生日、クックードレイクという男からVRゲームをプレゼントにもらった。
    それは不思議の国のアリスをモチーフとした謎ときゲームだった。

  • 「らいち」シリーズに慣れてしまうとこういった
    かわいいinワンダーランドみたいな早坂さんのは「違う!」って思えるけれど、到達点はやはり早坂さんでした(笑)
    途中までは「不思議の国のアリス」の焼き直し的な+αでしかなかったものを挿話を入れることで何処となく不穏な予感を抱かせてくれてお陰様で読み進められたけれど、それがなかったら(作者の元々の方向性を知っていたからもあるし)なんだか中だるみを感じた。
    それにしても、10歳のアリスは賢くかわいい。もう少ししたらライチみたいになってくれるのかな。エロ要素がほとんどなかったことがちょっと物足りなかったです。

  • 2016/09/24読了

  • アリスにちなんだバーチャル世界での謎解きゲームへの挑戦と現実世界で動く復讐者の犯行が絡みまさかの着地点に落ち着く連作短編。5章のいい意味でも悪い意味でも脱力の真相に笑い、その前の挿話の伏線でまた笑った。

著者プロフィール

早坂 吝(はやさか・やぶさか)
1988年、大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。
2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。
同作で「ミステリが読みたい! 2015年版」(早川書房)新人賞を受賞。
他の著書に『虹の歯ブラシ 上木(かみき)らいち発散』『RPGスクール』『誰も僕を裁けない』
『探偵AI(アイ)のリアル・ディープラーニング』『メーラーデーモンの戦慄』などがある。




「2019年 『双蛇密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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