秋山善吉工務店

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911522

感想・レビュー・書評

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  • 自宅の火事で世帯主や家財全てを失った秋山家。
    残された3人は史親の実家秋山善吉工務店の世話になるが…。
    その秋山家の家族を中心としての多くの事件と。
    後半失った家の出火の真相に迫っていく。
    頑固親父を中心とした物語と思いきや。
    いじめ、不良、はたまた悪質クレーマーまで。
    かなり心が痛んでいくも善吉夫婦の助けで活路を見出していく。
    心を通わせる事が出来た秋山家に、突如警察の影が…。
    人情肌スーパーお爺さんの活躍は爽快。
    締めくくりとしては、まぁいい終わり方だったかな。
    善吉はあの玄太郎とも仲良くやれそうですね。

  • かつて怖いことの代名詞とされていた「地震・カミナリ・火事・親父」
    その”親父”が本書には登場します。

    火事で父親を亡くし、父の実家に身を寄せることになった母と息子(太一・雅彦)の三人。
    工務店を営む祖父・善吉は、昔気質で怖~いおじいちゃん。
    悪いことは悪いんだと、一本筋の通った頑固者。
    太一や雅彦に次々と起こる難問も、善吉は見事に解決してくれる。
    ヤクザもかなわない豪快さが頼もしい。
    そして奥に控えるのは、そんな善吉にも負けない祖母。
    火事の真相を追うミステリーの部分そっちのけで、楽しく読みました。

    できればシリーズ化されて、警察官も頭があがらない善吉の過去や、武勇伝の数々を読みたかったなぁ。
    それがとても残念です。


    「たかが十四、五歳の分際で己の人生を決めつけるな 。
    その気になれば人生の選択肢なんぞいくらでもある 。
    見えないのは探さないからだ 。
    自分で歩いて、草を掻き分け、つま先立ちして探すもんだ。」
    あぁ、善吉じいさ~ん、カムバ~ック!

  • 読み終えてグッと胸に来てしまった。

    読後感は歪な星(☆):一点だけ長く伸びた頂点が刺してくる感じ、になるだろうと思っていたが、いい方に予感は外れた。

    中山七里さんは2冊目。

    ムダのない筆致が素晴らしいと今回も思った。また、別の作品も読んでみたい。

    【あらすじ(各編の始まり)】
    火事で焼き出された母親と息子たち(景子、雅彦、太一)は、焼死した父親・史親の実家にやってきた。本当は昔気質で頑固な史親の父・善吉との暮らしは避けたかったのだが。
    ①太一、奮闘する
    転校してきた太一の前に増渕彰大と3人の子分たちがやってきた。
    ②雅彦、迷走する
    雅彦は通学路で、前の中学で2学年上だった曽我にバッタリ会った。曽我は短髪の髪と眉を真っ赤に染めていた。
    ③景子、困惑する
    職探しに苦労する景子は、やっとアパレル関係の会社でパートとして働けることになった。
    ④宮藤、追求する
    刑事の宮藤は、焼死した史親の妻、景子が故意に火事を起こした、と疑いの目を向ける。
    ⑤善吉、立ちはだかる
    宮藤は推理を進め、史親の焼死は、善吉と景子の共謀だったとして善吉の当日の行動を洗い始める。

  • 中山先生が描く主人公は老若男女を問わずみな一本筋が通った人。そして爺さんになると粋でいなせな人になる。

    善吉さんも春江さんも好きだなぁ。
    そして、兄弟も。
    色々あっていっぱいいっぱいだったお嫁さんも。

    ただ、“桐島班の宮藤刑事”が担当ならばと…桐島班と麻生班に全幅の信頼をおく中山七里オタクとしては一瞬、目が曇ったかも。でも宮藤は宮藤だったし、ホームドラマミステリーとあるように最後よかったな。

  • 読んでよかった。
    2017年発行された本らしいが
    図書館で見つけて面白そうと思い手を取りました
    読みやすく1日で読んでしまいました
    ワクワクしながら最後まで読めました
    色々な事件があったけど終わり方も好きです
    善吉おじさんに憧れます

  • 今ではあまり見かけなくなった頑固ジジイの話。もっとたくさんのおもしろい物語ができそうなのに、終わり方が残念。

  • 読みやすい内容でした。
    ミステリーという感じはあまりなく、
    良き家族の物語ってところでしょうか。

  • めっちゃ面白かった。

    火事で夫を亡くし、焼け出された母子が
    義父母の自宅に居候。

    頑固で、一見こわーい善吉爺ちゃん。
    しかぁし、善吉爺ちゃんは優しくて温かくて厳しいのです。
    かっこよすぎ!!

    おじいちゃんも奥さんのおばあちゃんもとても素敵だった。
    でも、だからといって
    その子供が素敵にはならないっていうのが皮肉だけど。

    宮藤刑事ができそうに見えて全然できない刑事なところが
    面白かった。

  • 懐かしい昭和の頑固ジジイ、こんな爺さん、もう見なくなったなぁ!一言一言が、身に沁みる。こんな爺さんのいる家族で生活したい。今更だが。 
    中山先生の何時もの作品とは違ったが、楽しく読めた。

  • 善吉じーちゃん、かっけーねー。
    昔ながらのじーちゃんが皆カッコいいかのような書きぶりになっているが、そんな訳はなく、そんな気質に実際の精神力とネットワークと脳力が伴うからこその強者感なのだけれど。(幻想はいけない)
    でも、それでも、年長者ならではの、社会での在り方のヒントみたいな部分はあるかな。

    最後の犯人探しみたいなところに関しては、途中で答えは大体読めたけど、それでも、ストーリー自体は読めず、まさかの善吉じーちゃんが事故でなくなるとかも衝撃で、、て感じでした。
    全体的に、涙腺うるうる系。
    長男も母親も2人ともがヤバイ感じのチンピラに絡まれるとか、そんなことある?!てちょっと思いつつも(笑)。まぁ面白かったよ。サクッと読める分量感。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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