狐の飴売り 栄之助と大道芸人長屋の人々

著者 :
  • 光文社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911577

感想・レビュー・書評

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  • 一人一人、いろんな人生があるんだなあ。宮本紀子さんは本当に良いです。ふらふらへらへらした若旦那が勢いで家を出て、火打ち石すら使ったことなく、一人暮らしできんの?って。訳ありの長屋のみんなといろいろありながら、やっぱりふらふらへらへらしてるけど独り立ちした大人になって。暖かく柔らかくちょっぴり切なく。本当に良い物語です。

  • さる札差屋の放蕩息子が
    吉原に入れ込んだ挙句
    勘当同然になって
    大道芸人たちが暮らす長屋に
    ころがりこんでから
    話が動き出す
    その当時の庶民の生活が
    実にていねいに、じんわりと
    描かれていく
    物語の面白さもさることながら
    長屋に暮らす
    一癖も二癖もある魅力的な住人たちの
    この長屋に居つくまでの
    「来し方」もなかなかのもの
    巻末の参考文献の多様さが
    作者宮本紀子さんの人柄が
    表われているような気がします

  • 甘やかされてそれを当然と享受していた札差のぼんぼんが、吉原にかまけてほっぽらかしていた許嫁を弟に寝取られ、その場の勢いで家を出て行く、家督は弟が継げばいいじゃないか、などとやってしまったからあにはからんや。
    あれよあれよという間に、女は離れ、家族は背を向け、見事なまでに転がり落ちて行く話。

    なので、前半はとても読んでるの辛いです。
    甘っちょろいし、いけ好かないし、人の行為に気付かない。
    それを覆して行く筆力なので、読み進めましたけど、辛いもんは辛いですわ。
    最後の話は、えええと思いつつも、まあ、そんなもんよなって。普通に納得しました。

    それにしても、最後まで行ってもまだ甘っちょろいのは治らんのな。うん。

  • 放蕩息子・栄之助はみなに助けられ、自立の道を目指してゆっくりと歩んでいく。
    同じ長屋に住むのは大道芸人たち。
    〈いろんなものを抱えて生きている〉一人一人の生き方にホロリとさせられる江戸人情噺。
    登場人物の素直さに優しい気持ちになった。

    インタビュー記事を読んでも
    宮本紀子さんのお人柄が見えてくる。

  • 贅沢三昧に育てられた札差の放蕩息子が親に勘当され、大道芸人たちと長屋で暮らすハメになる。火も熾せない、飯の炊き方も知らない若旦那のもとに、元許嫁の家を継いだ弟の嫁が転がり込んでくる。大声で飴を売ることさえもできなかった男の成長物語。
    よくある江戸人情物で、小説としての評価は4くらいでが、読み終えると爽やかな風が吹いているように感じる作品。

  • 熊の兄弟、一人芝居の男、猫の托鉢僧(たくはつそう)、茶売りの婆さん。こいつらと一緒に暮らす! ? このわたしが飴を売る! ? そこへ押しかけてきたのは、わたしを裏切った身重の元・許婚(いいなづけ)。もう、どうなっちまうんだい! 笑って泣けて、心がふわりと温まる江戸人情噺。

  • 贅沢三昧の放蕩息子が、大店(おおだな)を飛び出し、ある日突然、大道芸人たちと長屋暮らし!

    熊の兄弟、一人芝居の男、猫の托鉢僧(たくはつそう)、茶売りの婆さん。こいつらと一緒に暮らす! ? このわたしが飴を売る! ? そこへ押しかけてきたのは、わたしを裏切った身重の元・許婚(いいなづけ)。もう、どうなっちまうんだい! 笑って泣けて、心がふわりと温まる江戸人情噺。

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