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- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334911829
感想・レビュー・書評
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面白かったです。
昭和好き。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
妻に先立たれ、滋賀でひとり暮らす勇は、認知症が進んだ兄が入所する介護施設に手作りの料理を持って通う。その施設にはいつも上司から叱られている北原という若いヘルパーがおり、料理を通じて交流ができる。ある日、勇が少年だった昔、棟割長屋の二階の部屋を間借りしていたキャリーの息子ケントから突然手紙が届く。60数年も前の時代に一気に引きずり込まれる勇。お使いに走ると駄賃をはずんでくれた、コロコロと表情の変わる、あの色白の女性…進駐軍兵士のマイケルをダーリンと呼び、彼が持参するキャンベルスープやコンビーフのいい匂いを二階から漂よわせ、いつも腹を空かせていた俺たち兄妹に、チョコレートやキャンデーをわけてくれた気のいいキャリー。そんな彼女は、マイケルの子ケントを出産し、彼女を捨ててアメリカに帰ってしまった彼のことを思いながら身体を壊し、子供の面倒も見られなくなってしまった。子だくさんのわが家ではハーフであるケントを育てることはできないと、11歳の勇は滋賀からGIベビーが集まる大磯の施設にケントを連れていった。みんな一生懸命生きてきた懐かしい日々…ケントはアメリカに行かなかったのだろうか。キャリーと再び会えなかったのだろうか。勇に会いたいと手紙に書いてきたケント。封印してきた過去が胸に重くのしかかる。 ひもじく、辛く、それでも歯を食いしばって生きていくしかなかった時代を鮮やかに描く、著者の新境地!
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