GIプリン

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 34
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911829

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったです。

    昭和好き。

  • 妻に先立たれ、滋賀でひとり暮らす勇は、認知症が進んだ兄が入所する介護施設に手作りの料理を持って通う。その施設にはいつも上司から叱られている北原という若いヘルパーがおり、料理を通じて交流ができる。ある日、勇が少年だった昔、棟割長屋の二階の部屋を間借りしていたキャリーの息子ケントから突然手紙が届く。60数年も前の時代に一気に引きずり込まれる勇。お使いに走ると駄賃をはずんでくれた、コロコロと表情の変わる、あの色白の女性…進駐軍兵士のマイケルをダーリンと呼び、彼が持参するキャンベルスープやコンビーフのいい匂いを二階から漂よわせ、いつも腹を空かせていた俺たち兄妹に、チョコレートやキャンデーをわけてくれた気のいいキャリー。そんな彼女は、マイケルの子ケントを出産し、彼女を捨ててアメリカに帰ってしまった彼のことを思いながら身体を壊し、子供の面倒も見られなくなってしまった。子だくさんのわが家ではハーフであるケントを育てることはできないと、11歳の勇は滋賀からGIベビーが集まる大磯の施設にケントを連れていった。みんな一生懸命生きてきた懐かしい日々…ケントはアメリカに行かなかったのだろうか。キャリーと再び会えなかったのだろうか。勇に会いたいと手紙に書いてきたケント。封印してきた過去が胸に重くのしかかる。 ひもじく、辛く、それでも歯を食いしばって生きていくしかなかった時代を鮮やかに描く、著者の新境地!

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著者プロフィール

滋賀県生まれ。看護師として病院等に勤務。2009年第3回小説宝石新人賞を受賞し『もじゃもじゃ』にてデビュー。滋賀県の食をモチーフに描いた『東京近江寮食堂』が話題に。そのほかの著書に『GIプリン』『星空病院 キッチン花』『東京近江寮食堂 宮崎編 家族のレシピ』などがある。

「2021年 『おでん屋ふみ おいしい占いはじめました』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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