ノーマンズランド

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911928

感想・レビュー・書評

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  • 難しいテーマに取り組んだなあと、途中ではたと気がついた。初めの女子高生行方不明事件がこう繋がって来るとは!家族が突然行方不明になったらと思うとその苦しみは計り知れない。題名が突然重みを持って迫ってくる。

    捜査陣の方はガンテツの裏事情が判明したり、姫川が一人自室に帰って自分ツッコミしたりする様子にはクスッと笑ってしまって、登場人物の厚みがますます増して行って楽しんで読めた。
    重いテーマとのバランスが絶妙で少しホッと出来た。政府にももう少し頑張ってもらいたい。解決に向かう事を心から願う。

  •  姫川玲子『ストロベリーナイト』シリーズ最新作。いつものように話のテンポが良く、相変わらず一気に読ませる。当然ストーリーも鉄板で面白い。今回は北朝鮮の拉致事件が関係している。
     前作の『硝子の太陽Rルージュ」で上司の林統括警部補を亡くして、気を落としている姫川玲子だが、それでも事件は起こる。

     本作で少し気になったのは玲子が丸くなったというか、年を取ったというか。本作品中での玲子の年齢は35、6歳なので年相応になったということか・・・。幼女の相手をするときに自分のことを『おばちゃん』と呼んだり、自分の部屋の中で自分のことを『玲子さん』と言って褒めたりと、『ストロベリーナイト』や『ソウルケイジ』などの初期の作品にあった玲子のギラギラ感というか、一人で突っ走る感が無くなっている。

     このまま玲子が年を取ると、筆者の他シリーズ『ドルチェ』や『ドンナ ビアンカ』の主人公・魚住久江巡査部長とキャラがダブってしまう気がする。
     それでも姫川玲子のこれからの活躍、成長を見守っていきたい。今回初めて出てきた武見検察官との関係も目が離せない。
     あと、自分的には今回井岡巡査部長と玲子のカラミが全くなかったのが少し寂しかった(笑)。

  • 問題作。

    半島の国が絡んできます。この本が出た2017年と言うと、不審船事件から時間が経ち、自衛隊にも特殊部隊が創設されと言う時間の経過があるわけですが、被害者の視点では時間は止まったままなんですね。

    東京地検の検事が出てきたりして、シリーズはもっと進化しそうです。

    ところで、もはや姫川玲子のセリフには竹内結子さんの声しか聞こえないのです。元々は、松嶋菜々子をイメージしていたと言う事ですが、竹内結子さんで良いんじゃないでしょうか?

  • 久しぶりの姫川シリーズ。
    やっぱり姫川シリーズは面白い。
    初海の事件のほうが気になって、どうリンクするんだろうって思ってたら、そういうことか。
    悲しい結末に号泣した。
    でもラスト2ページで目が点に!!!
    え?玲子さん??
    武見諒太かー!!!
    ノーマークでした!!!

  • 久しぶりに姫川さんに会えて嬉しかった。なんか、「」の後の一言、という表現手法がやけにハマってて、姫川さんが余計に人間っぽく魅力的になりました。ストーリー的にも今までにも増して深いテーマがあって重厚感がありました。この路線を続けるのは難しとは思いますが、次の作品も期待しています。必ずありますよね! やっぱり、このシリーズのことが大好きだと認識した時間でした。Joyeux Noel ‼︎

  • 順番通りこの姫川玲子シリーズを読んでるつもりだけどいつ林さんは死んだんだろうか?
    自分の記憶力に悲しくなる。

    さて、この「ノーマンズランド」
    この話のように涙を流しながら何十年も生きている人たちが現実にいる。
    国が関係して事件を抹消したことも多々あっただろう。
    ただ、現実は実行犯に復讐は誰もできない。それが悲しい。

    結局この話は憲法九条の改正を訴えたかったのだろうか。
    むずかしい。

  • *またしても同僚の殉職を経験し、心身に疲弊の残る姫川玲子が入ったのは、葛飾署管内で起こった若い女性の殺人事件捜査本部。しかし、事件の背後にはもっと大きな事件が蠢いている気配があった……。あらゆる伝手を辿り、玲子が摑んだ手がかりとは!? *

    大好きな姫川シリーズなので、文句なしに面白く読みました!特に今作は、旧姫川班の面々が折々に登場したり、ガンテツの過去がつまびらかになったり、日下との方向性が変わって来たり、と今までのシリーズを丁寧に織り直した感じがとても良かった。馴染みのシリーズなので、文体自体も軽妙で面白い。武見との進展も気になるところ。早くも次作が読みたくてうずうず…。

  • 待ちわびた姫川玲子シリーズ、類似作品は数あるけれどやはり姫川の魅力には勝てない。今回は北朝鮮の拉致という政治問題に取り組むことになり、新しいキャラクター武見検事が登場、何やら恋の予感がしないではない、姫川もいくら美人とは言え年齢的に見るとそろそろ女の幸せを手に入れてもらいたいところだが、物語の性格上悲劇しか待ち受けていない気がする。本作で犯人が述べた言葉「夢物語の平和憲法をありがたがり、惰眠を貪ってきた」という言葉が重い。夢物語ばかり書いている平野啓一郎あたりにちょっとは現実に目を向けろと言いたい。

  • 姫川シリーズ、最新刊。やー、やっぱり好き。今回日下さんと姫川さんの関係性がちょっと変わって来ててニヤリとなりました。テーマはとっても重たくて苦しい物語。悲しい結末だったな。みんな、生きていて欲しかった。

  • どこでつながるのだろうと思いながら読み進めていた。
    架空の話でも、18歳の女の子が行方不明になる親の気持ちを思うと切なく、お母さんが娘が好きだった卵焼きを出すくだりでは、自然と涙が出てしまった。
    シリーズ物の一つとの事。他の話読んでないので女性刑事を取り巻く環境がちょっと入りづらく感じたが、面白かったので他の話も読んでみたいと思った。

著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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