- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334922979
感想・レビュー・書評
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人生の挫折、後悔、失恋、喪失…さまざまな痛みを抱えて生きる人たちを描いた短編集。やるせなさや切なさ、苦さを味わいながらも、しみじみとした何かに浸れる話だった。
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実際は、読んだのは文庫版だったけど、画像がついてなかったのでコチラで。
一度読んだけど、読み返してみると全く覚えていませんでした。。。
それはさておき。
短編集ですが、共通して、
不器用な男性の話だな、と。
愛すべき、不器用な男性。
個人的な話ですが、私はそういう人が好きです。
正直に言えなかったり、わざと思うことと違うことを言ったり、
果ては、何も言わなかったり。言えなかったり。
だけど、それは言外に、「愛」があふれているんだ。
抱きしめたくなるくらい、かわいい男性ばかりの集まりです。 -
浅田次郎の「見知らぬ妻へ」を読んだ。浅田次郎。僕の大好きな作家である。僕はこの人の影響を多大に
受けていると言っても過言ではない。とにかく好きだ。
浅田次郎の作品には「昭和」を感じる。古き良き昭和の時代だ。
この「見知らぬ妻へ」は8つの短編からなる作品だが、さすが短編小説の雄、浅田次郎である。もちろん
昭和満載である。
この本の帯のコピーがとても気になって手に取った。「愛しているから、別れるあなたへ。」
このコピーにあるようにどれもが切ない愛の物語だ。心にくる。重くはない。そっと心の奥に切なさを置
いて行かれた感覚になるのだ。
この本に納められている作品の中でも「踊子」「見知らぬ妻へ」は特に素晴らしい。
浅田次郎の作品「地下鉄(メトロ)に乗って」で発揮されているように、浅田次郎は時間の使いかたが非
常に上手い。過去と現在、そして未来。小説ならではの時空トリップが心地よい「時間」を作り出す。
それを誘導するかのように優しい文体と流れるような文章。作家を目指すものとして「こんな文章が書け
たらいいな」というお手本である。
男なんて、たいがいがロマンチストだと思う。男の恋愛観は以外と女々しいもので、だけど意地っ張り
で、切ないものだ。
いまの時代、優しい男というのは表面だけで優しさを繕っている男が多い気がするのだが、浅田次郎の作
品で描かれる男は言葉や態度は乱暴に見えるが、心の奥底がとても優しい。これが本当の「男の優しさ」
であると思う。テレビや本などを見ていると、昔(昭和)の男はカッコよかった。見てくれだけではなく
心がカッコよかった。粋であった。平成の男子はこの「粋」を忘れてしまっていると思う。女性に好かれ
たいが為の優しさではなく、女性を想うからこその優しさ。
浅田次郎の作品にはこの優しさが溢れている。
いじめが多発し、社会問題になっている昨今、教育改正もいいが、人として本当の優しさ、切なさ、悲し
み、喜びを教えることが一番大事な事だと僕は思う。
男たちよ、浅田次郎を読め。そこに本当の「男」がいるのだから。 -
初版本
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短編小説。浅田次郎は長編のほうがいいな。
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どれもあんまりインパクトのある作品じゃなかった。
不完全燃焼。 -
「大人の」じゃなくて、中年の童話ですね。
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Jan.21 2008
8話収録の短編集。
主人公の決断をそれぞれ描く。これから幸せになるために過去との決断を下す“金の鎖”や十代の頃の恋愛を振り返る“踊り子”、落ちぶれたなりに幸せを掴もうとする“スターダストレヴュー”、少年時代の罪の贖罪を行なう“かくれんぼ”、人生最期を自分で決める“うたかた”、女を信じるきっかけをつかむ“迷惑な死体”人生の転機を振り返る“ファイナル・ラック”、そして表題になっている“見知らぬ妻へ”。
“うたかた”はいろいろ考えられる作品で読んでいるうちに涙がとまらずなんとも言えない気持ちになりました。現代社会ではとてもフィクションとは思えない内容です。 -
短編集。久しぶりの浅田次郎。
1話目の「踊子」が退屈で出鼻挫かれた感があったけど、「うたかた」でこれこそ浅田次郎作品だと感じた。胸にぐっとくるせつなさ。 -
ぽっぽやを浅田次郎だと思っていた私に新境地。うたかたとファイナル・ラックが好き。救われるお話。特にうたかたは泣ける。あんな風に年をとりたい。