見えないドアと鶴の空

著者 :
  • 光文社
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334924232

感想・レビュー・書評

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  • 今自分に見えているものが、現実なのか夢なのか。
    本当は私たちが生きている今も、幻なのかもしれない。

    人の持つ能力は、発揮できていないだけ。可能性を秘めている。
    能力を発揮するのも、また一つの能力。


    こんなに極端ではないとしても、主観と客観、目に見えないものと現実に起こりうる可能性、という点ではいろいろと考えることがあった。

  • 真っ暗闇の中で、どんどん自分の恐怖の底に降りていく感覚が、深くてとても良かったです。
    実際には体験しなくとも、精神的にはかなりそれに近い経験をした人だけが語れる言葉なのかもしれない。

    昔の人は、もっと真の闇と仲良しだったんでしょうね。死者や魑魅魍魎とも、当たり前につながっていたのかも。

    最後は少し魔法がかっているけれど、それも暗闇での体験が丁寧に描かれていることで、決して突飛ではなく、自然に読めました。心に残るお話でした。

  • 超能力物。
    悪意はないのかもしれないけど、必然というか由香里が美味しい所を持って行った感じ。
    洞窟のあたりから、収集がつかなくなった様な・・。

  • 読了せず

  • 不倫もの…かと思いきや、オカルトあり、超常現象あり、ミステリ(?)あり、冒険ありと盛り沢山な本だった。(いろんな意味で)面白いのだが素直に誉める気になれない複雑な読後感。全体を通して見ると安っぽい宗教映画のような内容である。

    私はニート歴があり、分析好きで、完全に昂一タイプの人間である。昂一が閉じ込められている時に悟ったことも、私が昔地震の予言に対する恐怖から逃れるために考えたこととそっくりだった。そのためなのか絹子のうっとうしさもリアルに感じられ、物語に入り込みやすかった。なにせ絹子は終始悪役扱いなのである。ラスト付近はあまりの書かれように、気の毒に感じてしまうくらいだ。そのせいか思ったよりスッキリはしなかった。

    この本で作者が主張することの中で、特に気に入ったのは、現代人には考える時間が少なすぎるということだ。ニート時代にいろいろ考えられたことは、私の人生にとって大変重要なことだったと思うので、このことには大いに賛成である。

  • つまりは、、、念ずれば通じるってこと?違う?違いそうだなあ。

  • 怨霊や超能力やら出て来て今までとはちょっと違う作風です

  • 自分がずっともっていられるのは記憶だけだから、
    だれだってずっとずっと生きていられる。 

  • 広告会社で働く絹子と、勤めていた出版社を辞めて主夫のような状態の主人公・昂一。絹子が出張に行く間、親友である由香里の出産に立ち会ったところから物語が始まる。

    ちょっとファンタジーテイストだけど、比較的現実に根ざして書かれている。死とは? 生きることとは? について、様々なストーリーを通じてこちらに疑問を投げかけてくる。そういう点では、「僕のなかの壊れていない部分」と、雰囲気が似てるかも。

    途中で主人公が廃坑に閉じ込められて、魂について気づきがあったところが好き。彼の気づいたとおり、生きていても死んでいても、各人の心の中でその人の魂は生き続けられると思う。

    最後に書かれていた、「〜し合う」という話に心を動かされた。
    『人は憎むのではなく、憎み合うのだ。人は愛するのではなく、愛し合うのだ。そうやって「合う」ことこそが愛と憎しみの本体に他ならない。』(P322)
    すべてのものは「合う」から、すべての魂は繋がっている。その大きな魂、とも呼べるものがこの世にあるならば、表面上は異なるものも全ては繋がっている。
    この考え方、好きです。

    内容はいいんだけど、文章がざっくりしすぎている印象。この作品に限らず。

  • 複雑な気持ちになる。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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