ぼくは落ち着きがない

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926113

感想・レビュー・書評

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  • 割と好きです、こういう雰囲気の作品。

    「高校生」という言葉から普通イメージされる高校生像とはちょっと違う、図書部のメンバーたち。

    部室に集まってダラダラしゃべってる感じとか、その話し方とかがありそうで面白かった。

    途中、本の好みがある友達と違うとか、難しそうな本を読んでるだけで「作家になるんでしょ」とか言われることについて、望美が考えるところがあるけど、「そうなんだよなぁ」と共感しました。

    カバーの裏に書いてあるという登場人物のその後、見たくてしょうがない!!
    だけど図書館で借りた本なので、見ることが出来ない!!
    ク~ッッッ!!!
    どっか本屋で、カバー裏だけ見るしかないか…。

  • ずっと気になっていた本だったので、読めてよかったです。(#^.^#)たまたまだけどうちに仔猫が来たばかりで、その仔がまぁ、飛んだり跳ねたり、騒がしいこと、騒がしいこと。私がこの本を読んでいる側を全力疾走、果ては私の肩までよじ登ってコテンと下まで転がってしまう、など、もう、読みながら、「ぼくは落ち着きがない」と可笑しくてたまらなかったという。で、あぁ、こういう部活動ってあるんだろうなぁ、と、なんか、すっごくリアルな気持ちで読めちゃいました。図書委員会ではなく、図書部という部活。そこには、ちょっとクラスで浮きがちな高校生の居場所があって、仲間内でのみ通じる言葉でおしゃべりしたり、それぞれ好きな本や漫画を読んだり。私は体育会系の吹奏楽部だったから、彼らと同じ経験はしたことがないけど、こんな空気を共有したい、と切実に思う中高校生って多いんじゃないかな。主人公は、自意識過剰の女子高校生。(でも、その自意識を持て余していないところがいいよね。私の10代のころなんて、それが邪魔で恥ずかしくて仕方なかったけど)。そして、結構、「普通人」のふりをすることもできていて、たぶん、クラスでもふわっとみんなに紛れちゃってるんじゃないかなって。そんな彼女の眼から見た、図書部員や、先生方、一般の生徒たちの造形がとても面白い。みんな色々抱えていて、その表れ方には、チリっとくることもあるけど、おおむね、うんうん、わかるよ、って感じだったし。タイトルの理由は最後の最後まで明かされず、なんで主人公が女の子なのに「ぼく・・」なんだろ、なんて思っていたらネタばれ入ります。前任の図書部の顧問の先生が作家デビュー。で、その第二作のタイトルだったんですね。主人公はその先生とそんなに親しく話したことはなかったのだけど、実はかなり慕っていて、久しぶりに会った先生から、「ぼくは・・」のモデルはあなたなのよ、と告げられる。これって、すっごい衝撃だよね。自分は結構、上手に世渡りしているつもりで、でも、自分が好きだった人が自分のことを「落ち着きがない」と見抜いていた、ということ。どんなにか嬉しかっただろう、って思うよ。彼女をモデルにした、先生の第二作、非常〜〜に読みたいです。(#^.^#)

  • 長嶋さんの小説は初めて読んだけれど、とても独特な雰囲気だった。
    ダラダラと長くユルく続く高校生たちの日常なのだけれど、なんだか文章がブチッ、ブチッ、と細切れな印象。
    おもしろいような飽きるような、でもやはりおもしろいような・・。
    他の作品も見てみたくなった。

  • 長嶋有の本は毎回欠かさず読んでいるけれど、今回のがいちばんきた。というより、身につまされたというか。今回は登場人物の大半が高校生で、今までの作品に多かった30くらいの設定に比べて今の自分と近い。それに、30歳は未来の出来事だけど、高校時代は過ぎ去った過去。その年齢的な近さとやり直しのきかない遠さが、個人的にすごくきた。

    もともと小説を読むのが好きでよく読んでいたのだけど、最近は小説はシフトしてビジネス書関係にシフトしていた。でも、ひさびさに小説を読んでみて、小説は時間つくってでも読まないといけないなあと改めて思う。
    やはり、ビジネス書ばかり読んでいると思考が固定化されてくるような気がする。感情に豊かさや深さと言ったものが欠けてくるような気がする。そういう感覚はビジネス書を読んでいる時点ではわからないのだけど、こうして久々に小説を読むと、自分がいろんな感情をつぎつぎに思い出すのがよくわかる。つまり、いろいろな感情は気づかぬ間に忘れていたことがわかる。そして、読み終わった後もなんとなく世界の見え方は違っている気がする。思い出した感情はかならずしもいいものばかりじゃなくて、焦りとか不安とかいったものもあるけれど、それはそれで大切な糧だと思うし。

  • 主人公がよかった。なんだかあこがれる。

  • 高校の図書部の話
    今ひとつ登場人物に魅力を感じない。
    青春中毒な私はこういう青春系の小説を読んで
    ああ、私ももう一度あの時代に戻ってみたいと
    胸をかきむしりたいのかもしれない。

  • 桜ヶ丘高校の図書部員たち(図書委員ではない)の学校生活。
    ヤドゥー、メンゴ!、ドワッハッハ、などが彼らの中で流行る。
    タイトルの意味は最後の方で明らかになる。カバーの裏面におまけあり。

  • 中山望美 桜ケ丘高校三生 図書部員
    図書室の片隅のベニヤで仕切った一角が部室となっている。
    登校してから下校するまで、授業中以外なんとなく部室にたむろし、昼食も部室で食べる部員たち。

    自分の感情に素直な三年の図書部員 南出頼子。望美は彼女の一挙手一投足に好感を持つ。
    その頼子の弁当はでかい!

    一学期の終業式前日、空手部二年生の大野が、胴着姿で図書室にいる頼子を訪ねてくる。自分の弁当は学校一でかいと自負している大野は、噂で頼子の弁当がかなりでかいと聞き、見にきたと言う。頼子は部室から弁当箱を取ってきて見せた。

    「その程度でしたか。いや…お手数をとらせました。」

    意気揚々と引き揚げようとする大野を呼び止め、頼子は弁当箱を見せてみろと詰め寄り、弁当箱の大きさで戦う二人は共に図書室から姿を消す。唖然とする残された図書部員たち。


    極一部で囁かれる、図書部の顧問小田原先生と部長(女生徒)のあやしい噂。

    望美が新入生として入ってきたときに、図書室の司書をしていた金子留先生。学校を去り、書いた小説が文学新人賞を獲得する。

    転校してきて、誰よりも多くの本をコンスタントに借りて行く片岡哲生。望美は気になるが、何の悪戯か未だに顔を拝めず、彼の行動のあれこれを噂として聞くのみ。

    夏休み、貸し出し処理の電子化に伴い本の背表紙にバーコードを張り付けていく部員たち

    二学期から不登校になると宣言し、有言実行している頼子

    図書室の天井の、点滅を繰り返し切れかかっている蛍光灯

    望美をモデルにしたという金子留の次回作「ぼくは落ち着きがない」
    冬休み中に撤去されることとなったベニヤ板の仕切り

    生徒間の摩擦や先生との真っ向勝負
    それぞれがそれぞれとの出会いで生み出す個性
    校舎の二階の図書室を愛する部員が今日も部室に集まる。

  • 読んだのが高3だったので、とても共感できました。
    登場人物も、本当にすぐそこに居るような自然な人達ばかり。
    本の中の高校に通っているみたいな感覚で読めました。
    読み終わった後に表紙をめくると・・・・。

  • 文化系のゆるい雰囲気が良い。ラストのシーンはとてもなんだか後味がある。図書室のドアのヒラヒラ感が好きだ。

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著者プロフィール

小説家、俳人。「猛スピードで母は」で芥川賞(文春文庫)、『夕子ちゃんの近道』(講談社文庫)で大江健三郎賞、『三の隣は五号室』(中央公論新社)で谷崎潤一郎賞を受賞。近作に『ルーティーンズ』(講談社)。句集に『新装版・ 春のお辞儀』(書肆侃侃房)。その他の著作に『俳句は入門できる』(朝日新書)、『フキンシンちゃん』(エデンコミックス)など。
自選一句「素麺や磔のウルトラセブン」

「2021年 『東京マッハ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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