金色のゆりかご

著者 :
  • 光文社
3.17
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本棚登録 : 83
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926120

作品紹介・あらすじ

軽度のうつ病で研修を一時中断し、コンビニでバイトをしている医者の卵・啓介。その店にやってきた制服姿の女子高生が突然倒れた。下腹部にきつく巻かれたさらしをゆるめると、おなかがみるみるせり上がってきて-。いつでも、どこでも、女性だけに起こりうる最大の苦難。未だ見ぬ者への無償の愛を描く著者の最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • うつの研修医啓介と、望まない妊娠をしたキレイな女子高生まりあが、困難を乗り越え、いい関係になるのかな?と思ってよんでたら、
    途中から海外養子縁組とか、赤ちゃんポストとか、なにやら難しい問題に踏み込んで行き、
    母とまりあの関係とか、両親の関係とか、物語としてもっと読みたかった感。
    でもまぁ、安易な性交や、妊娠、出産、女性のリスクはどこまでも深く、目に見えない心の傷までふくめるとこわいなぁ…。
    中絶が非人道的的であるとしても、産むのが最善でもなければ、いったいどうすればよいのか。
    など考えた。
    佐川さんの本に出てくる頭いい男子が好きなので、恋愛要素がもっと欲しかった。

  • 国際養子縁組という知られざる制度…いやここを間違えてはいけない、事業に鋭く斬り込む問題作であるのだが少し違った意味での問題作になってしまったように思う。
    「ある研修医の日記」的なルポルタージュじゃなくて小説として存在させているのだからこの結末はどうかと思うな。
    内容としては男性作家が描くのはやはり無理があると思われる妊娠、出産を取り上げてはいるもののその丁寧な扱いには好感が持て更にその奥に養子縁組という闇と紙一重の問題を内包しているとなれば肯定せざるを得ない。でもやはり「後編は?」と思わせるラストは消化不良は否めない。
    少子高齢化を問題視するのとは裏腹に望まれずに産まれて来た赤子にとことん冷たい我が国の制度に読者が共有の意識を持つことでまりあと幸太の未来が開ける!との扇動ならば納得もするのだが

  • 望まない妊娠出産をした女子高生を中心に関わる親、医者たちのストーリー。
    尊いいのち望んだところに来ずに、望まれないところに訪れる。人間のアンバランス、人間らしさが表現されている。

  • 女子高校生のまりあがバイト先のコンビニで倒れ、医師の資格を持っていることから病院まで付き添った啓介。まりあは妊娠しており、もう人工中絶ができない週数だった。非合法な中絶を選ぶか出産するか、出産したらその子を自分で育てるか、それとも預けて育ててもらうか、望まない妊娠をめぐる色々な動きに巻き込まれていく啓介。
    やっぱり、こういう時に赤ちゃんの父親である男性が何の負担を負うこともなく、女性だけに心身の負担、戸籍の問題、育児と学業の両立、経済的な問題、といったたくさんの問題を背負わせることが社会として日本は未成熟だなと思う。シングルマザーであっても、学生であっても、妊娠・出産を安全に終えられて、自分で育てたい人には育児と学業や仕事との両立ができるよう、自分で育てられない人には赤ちゃんにとってより良い養育環境を整えるのが社会の責任なのに、日本はその辺がとても遅れている。
    女性が妊娠する性なのは明らかだけど、自分が望んだ時に妊娠できるよう、子どもの時からの性教育だったり、男女の対等な関係性だったり、そういうものは男女共に学び考えていかないといけないと思う。そして望まない妊娠の時には、どういう対応が必要か(緊急避妊ピルなど)もきちんと伝えていかないといけない。自分の産み育てる性を大切にしてほしいなと思った。

  • 啓太とまりあの出会い。
    まりあの出産まではあっという間に読み進められたが、それからは、なかなか進まない感じが続き、諦めかけたが、結果が知りたくてなんとか読み終えた…
    でも、ハッキリとした結果はわからずもやもや感が残る…

  • 前半は結構面白かった。予想していた展開とは違う、かなり社会派の作品でした。

  • 想像していた話と全然違って
    ビックリした。

    前半は結構よかったけれど
    終わり方や結末は割と不満かな。

  • 断ち切れない血の連なり。
    それはいつまでくり返されるのだろう。

  • 内容が現代を反映した学生の望まぬ妊娠。
    そしてそれらを取り巻く環境と、未婚の出産や養子縁組問題など様々な現代の問題と透過していて読み応えがある。

    物語の舞台が地元の為とても惹かれた。
    ただ1つ、終わり方には物足りなさが残る。
    少女の心は強くなった。
    その後の続きや問題の解決を正直さらに読みたかった。

    また名前入りのサインをある偶然の巡り合わせと御厚意により著者に書いて頂いた。感謝しております。

  • 低年齢未婚出産、赤ちゃん斡旋、国際養子縁組・・・。

    出産に関する社会問題を取り上げたまま終結してしまって、
    ちょっと残念な小説であった。

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著者プロフィール

1965年、東京生まれ・茅ヶ崎育ち。北海道大学法学部出身。在学中は恵迪寮で生活し、現在は埼玉県志木市で暮らす。2000年「生活の設計」で第32回新潮新人賞。2002年『縮んだ愛』で第24回野間文芸新人賞受賞。2011年『おれのおばさん』で第26回坪田譲治文学賞受賞。

「2021年 『満天の花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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