妃は船を沈める

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926182

感想・レビュー・書評

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  • 前に別の本を探している時にこの本の帯のキャッチコピーを見かけたことがあって不思議と印象に残っていたのだけど、読んでみて納得。
    これは火村先生かなり手強い相手だったろうな……今までも手強い犯人はいたけれど、これまでにないパターンの手強さだった。
    前編だけで終わっていたら恐らく後味の悪いイヤミスとしてしか受け取れなかっただろうけど、後半もあるのが救い……なのかな、いやそれでも気分爽快!って解決ではないのだけれど。
    まるで最初から計算されて書かれたようなのに前編と後編の間に何年かの隔たりがあると聞いて驚き。
    それくらいピタリと嵌っている作品だと思った。
    あと個人的に驚きだったのが「猿の手」の解釈の仕方!
    そんな考えをしたことなかったけれど、実はその案の方がよりゾッとする恐怖を味わえたのではないだろうか。
    原作者がどちらを意図して書いたのか、或いは全く違ったのかは分からないけれどあの解釈は凄い、もうそうとしか受け取れないかもしれない。
    何にせよ、一番怖いのは人間だよねってお話。

  • 作家アリスの新作長編。
    不幸な生い立ちの若い男性を拾う趣味のある「妃」と呼ばれる女性。
    彼女の周りで起こった二つの殺人事件。

    中篇二つをつなげた長編。とのことでしたが、やっぱり中篇二つとしか読めなかったなぁ。
    本筋より「猿の手」論争が一番面白かったし。
    この作品は読んだことはありませんが、話は知っていました。
    わたしもアリスのように思っていたので、火村の解釈はとても驚きでした。

    火村のロジックはあいかわらず冴えていましたが、どちらの殺人も動機が釈然としませんでした。
    潤一のトラウマがとても巧かった分、第一部の猿の左手のほうがよかったかな。
    これをふくらませて長編にしたてなおしたほうがよかったかも。

  • 事件の解明は良かった。何となく人物像がイメージしにくかった。

  • 作家アリスの長編?中編ふたつ?はしがきのある本でしたが、親切な設計だなと好感を持てました。怪奇系も好きなので、テーマのひとつに組み込まれている猿の手の話で更にワクワクが増しました。
    パトロネスとその取り巻きの話というのが大筋の印象ですが、中身はミステリに加えた人間性についても書かれていて私は好きでした。
    メインのキャラクター性が強いシリーズなので、お馴染みの姿が見れるのも楽しみのひとつ。コマチ刑事かわいいなあっておもいました。人間臭さがわずかな登場でも感じます。また会えるといいな。


    しばらく紙の本をちゃんと読んでいなかったので、リハビリがてら読みました。
    キャラクター小説的なところのあるアリスシリーズですが、中身は社会派だったり啓示的なものを盛り込んで書こうとしているのが好き。(勿論キャラクターは大好き)
    2話収録でどちらも定番ひとひねりのよいトリックとミスリードでした。もしかしてもっと頑張れば私にも解けたかも、と思わせるくらいの構成でわくわくしました。解けたことありませんが。
    読後。毎回おもうことなのですが、地図や見取り図が欲しいなあ……位置を整理するのが下手なので犯人が脳裏で瞬間移動しがちです。ミステリの漫画化はそういう点でわかりやすくてうれしい。

  • 珍しくはしがきから始まる中編二本の長編作品。
    「猿の手」は怪奇小説と認識していたので、火村先生の考察が面白かった。私は深読みができないな。
    この小説から入れ替わりに気付く火村先生は流石。
    ナイスアシストアリス。
    しかし癖の強い加害者で少し胸焼け気味。
    不自然な生き方をしていたから、歪な形で自分へと返ってくる。ようやく愛し愛されるパートナーを見つけた妃は可哀想なのかもしれないけど、それまでの人の死を思うとやはり自業自得か。

    ラストで妃にアリスが畳み掛けるのも良かった。
    「あなた自身お認めになった心の歪みは、それだけでは個性にすぎないけれど、時に周囲の人間の心を決定的に歪ませるのかもしれません」
    噛み締めながら読みました。私も脱帽。

    順番に読んでない為驚いたのが、これがコマチちゃんの初登場回!
    人を見る目が鋭くて格好いい。こんな女刑事に憧れます。火村先生もアリスも一目置いているようなので、今後の活躍に期待。

  • 5

  • はしがきをよんでから読むのが面白い

  • 第一部の猿の左手と、幕間を挟んで第二部の残酷な揺り籠に同じ人物が登場する。妃沙子の人物像がいまいちつかみずらかった。分かりやすくずる賢くて自分勝手な悪人とも言い切れず、また妃沙子の私生活は理解しにくい。無自覚の内に周りの人間を不幸にしてしまい、最後には自分をも不幸にしてしまった少し可哀想な人物なのだろう。作中のアリスは、パッとしないポジションにいるようだ。

  • 久しぶりのミステリー
    楽しかった♪
    「猿の手」の話にぞくぞく。サキの作品に近いのかな。
    ちゃんと読んでみたいな!!

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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