遠海事件

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926229

感想・レビュー・書評

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  • 80人以上の殺人を犯していたのに完璧な死体の処理で事件が発覚せず、最後も自首で囚われの身となった稀代の殺人鬼、佐藤誠。その殺人遍歴の中で唯一容疑者として名が記されていた「遠海事件」何故彼はこの時だけ首切り死体を残したままだったのか?謎自体は単純だけどルポ形式で真相に迫るという設定が新鮮で面白かった。ちょっと読みにくかったけど。取材を元にした小説形態での事件の流れの描写が淡々としていたせいか後の展開がむしろ映えた。あと巻末広告とか年表とか色々凝ってて見返す楽しさが。皆検索するよね?

  • どうやら「佐藤誠・犯罪実録小説」の第2弾から読んでしまった模様です。でも面白かったです。
    告白した殺人は86件、でも起訴されたのは13件、有罪とされたのは9件。立証出来たのが少なすぎるから……という理由で。死体の隠蔽が完璧なのがほとんど。稀代の殺人鬼です。
    でもそんな中で、この「遠海事件」は首を切断したことで事件が発覚していて、佐藤誠は第一発見者として警察からマークされてて……これまで完璧に殺人を隠していたのに何故???が電灯します。
    〈ネタバレ〉元店員のペンネーム:詠坂が推理した、「遠海事件の真相は、蛎塚専務が娘を殺して自殺」は頷きました。これの方がしっくりきます、色々と辻褄も合う。勤務先である書店を守るために、佐藤が事件を攪乱した…というのも。

    佐藤誠の、冷静になるところが変というのが、常人とは違うのかなと思わせられます。殺した86人も、動機も殺し方も死体の処理方法もそれぞれみたいですし。。刑事ものかとも思いましたが、詠坂さんが全部持っていったなぁ。
    第1弾も読まねばです。探偵・月島凪とのエピソードがあるのかな。

  • 八十六人の殺人を自白した佐藤誠。その犯行の一つである遠海事件で彼はなぜ被害者の首を切断したのか…
    猟奇的な殺人事件を題材にしていますが、動機を問うというメインテーマが一貫しているので読みやすいと思います。
    本文自体ももちろん面白いですが、広告や巻末の年表なども工夫に満ちていて読者の心をくすぐってくるところがたまりません。

  • 斜に構えて、捻くれて見える人ほど、ロマンチストだったりするんですよ。

  • 殺人犯が魅力的過ぎて困った。
    嘘広告にショックを受けた。読みた過ぎるでしょ。
    そして何よりも驚いたのが巻末資料のある一行。おおう……ええ?……マジか‼︎……よ、良かったねぇぇぇ?

  • とても読み易い。
    今朝購入して、昼休みや移動中に読み進め、夕方には読み終えた。
    物語の合間にコラムが挟まれているのも相まって、テンポ良く読める。

  • Kindleで。
    ホワイダニットのミステリ。
    素直におもしろかった。

  • 八十六件の殺人を自供した佐藤誠。彼の殺人は死体を含めた完璧な証拠隠滅で事件そのものが発覚しないという完全犯罪がほとんどだった。
    その彼が「遠海事件」では死体の首を切り、現場に死体を残し、警察に通報して発見者となったのはなぜか、という謎の解明に向けて、犯罪実録小説の形をとって物語はすすんでいく。
    構成によってはわりと普通のミステリだったかもしれないが、目の前の問題を殺人で解決するという特異な人格の主人公に焦点を当てたことで、インパクトの強い作品になっていると思う。

  • なかなか面白かった
    いわゆるどんでん返しみたいなところでは弱かったけど、話は好きだった
    最後の面会のくだりとか、その後の成り行きとか。
    シリーズものにしても良さそうなんだがどうなんだろう。
    探偵みたいなやつも会話の中に出てたみたいだし、作中作シリーズにすれば良いのに。
    あの探偵は電気人間にも出てくるのだろうか。

  • ノンフィクション形式を取りながら、タイトル、副題、そして殺人犯・佐藤の人物造形までをもミスディレクションに繋げ、更に巻末にも仕掛けを施すという非常に凝った作品です。全体的に良く出来ていますし、ホワイダニット一本で勝負したチャレンジ精神は評価に値すると思います。
    首を切断した動機が弱かったのが唯一残念な点でした。

著者プロフィール

1979年生まれ。2007年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」に選ばれ、『リロ・グラ・シスタthe little glass sister』でデビュー。クールな文体で構成される独特の世界観と、本格マインド溢れる謎解きがミステリ通の熱い支持を受けている。

「2022年 『君待秋ラは透きとおる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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