声を聴かせて

  • 光文社
3.46
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本棚登録 : 176
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926274

感想・レビュー・書評

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  • 『声を聴かせて』突然の事故で息子が弟を失ってしまったら悔やまれて仕方ないだろう。考えないでいようと思ってもついつい思い出してしまう。母も姉も苦しかったと思う。
    『ちいさな甲羅』だんなさんは協力的なんだろうけど、子供が小さいときは自分も仕事がバリバリだろうから、さらに突っ込んで考えるということは無理な注文なのかもね〜。周囲と溶け込みたいのにできない、息子のこともあるし…となると無理ばかりしてしまいそう。妹のあみこは独身で言いたいことを言ってしまえるけれど、近所付き合いとか考えるとそれがいいとも言えないし。
    どちらも悲しくなる物語だったな。

  • この作者が好きで、図書館で借りた。
    中編、二編とも母と子の話だった。
    表題作は子の死が入っているので、少し暗過ぎる。でも、最後に泣きそうになった。
    『ちいさな甲羅』は、主人公の妹のキャラがいいので、主人公が暗くても(私が好きなタイプでなくても)おもしろかった。

    どちらにせよ、最初に危機もないし、主人公がなにを求めているのかも強くはわからないし、主人公に魅力もないけれど、朝比奈さんの書く作品は好き。

    たぶん、自分にもある人間、女性、母としての負の場面を書いているからだと思う。ちょっと角田光代にもつながるような。

  • 100ページくらいの短編二編。
    子育ての実経験がある人なら、きっとあちこちに共感できる部分があるのでは。

    それにしても・・・

    子どもは親を選べない。
    子どもには、正確に自分の気持ちを表現できない。

    だから、この人が私のおかあさんでよかったな、と思えるような信頼関係を子どもと気づいていきたい。

    改めてそんなことを感じる。

  • 表題作『声を聞かせて』と『ちいさな甲羅』の2作が収められた一冊。どちらも母親を主人公として、親子間の脆くも強い関係性が描かれている。
    それぞれの親子を通して、子供時代の周りとの関係性や周りからの見え方、行き詰まり感が丁寧に描かれている。

    個人的に印象に残ったのは、『小さな甲羅』における「メールもあって、パソコンもあって、こんなに便利になった世の中で、人の仕事量が全く減らないのが漠然と不思議だった」という言葉。
    私自身、会社勤めをしていて日々仕事に追われ、残業し、嫌な気持ちばかり募っていたので主人公のその意見に共感した。

  • 年を重ねれば重ねるほどに親になることが恐ろしく感じるようになってきた。
    始まったら終われない恐怖に今の私よりも若かった母は何度耐えてきたのだろうと想像せずにはいられない。
    苦しみを忘れられるほどの幸福が数えきれないほど見つかることをただ祈るばかりだ。

  • 子どもの渦中に、親が別の渦中に居る話し。

    子どもを失う以上に辛いことはないだろうな、と、子どもが生まれてから実感した。
    それだけに、一話目も二話目も、
    子どもの生き死にに関わるかもしれない程のいじめに気づかない母親に、苛立ちを感じた。
    しかし思い返せば私の母も、私がいじめに遭っていた時、それほど深刻なものとは気づいていなかった。
    自分も気づけるか、自信がない。

  • 母と子の話、2篇。
    里帰り出産中の娘と語らう母、彼女には幼い時に事故で亡くした息子がいた。…声を聴かせて
    発育の遅い息子に苛立ちながら、ママ友との関係に悩み、壊れていく母親。…ちいさな甲羅

    どちらも辛く悲しい話。
    過去の子育て、今の子育てと違いはあれど、母だから悩み苦しむ様子が身につまされます。

    特にちいさな甲羅は、痛い。
    ママ友の話は、私にとっては、いつでもドキドキしながら、引き込まれてしまう類の話。
    通り過ぎて良かったと思えるあの頃なのですよね。

  • 私と娘はまるで決めごとのように口にしないことがある。
    私たちがかつて失くした一つの命―。
    我が子の匂い、肌ざわり、息づかいがリアルに甦る慟哭の表題作他一篇。
    (アマゾンより引用)

    なかなか良かった(*´∀`*)
    表題作よりは2作目のほうが好きだったな(*´∀`*)
    ある意味ダークな話だけど、まぁたぶんよくある出来事なんだろう

  • 母と子供を扱った中編二編。両作品とも息苦しさを伴う。一作目の切り口は女性らしいかなと思う。

  • 女性の気持ちの動きというものはこういうものなのかと女性の書いた小説だからこその表現や心理状態、想いなどが感じられた。
    いじめも絡めた、子どもの心の機微など女性ならではの心理状態などを描写しており、今の時代の女性がどんな生き方をしているのか表現された小説かと思う。

    読みやすいが心に訴えるものはそれほど感じられなかった。
    ただ淡々と描かれた気持ちの移り変わりを書かれたものという感想だった。

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。その他の著書に『彼女のしあわせ』『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人生のピース』『さよなら獣』『人間タワー』など多数。

「2021年 『君たちは今が世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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