嫌な女

著者 :
  • 光文社
3.71
  • (32)
  • (86)
  • (59)
  • (11)
  • (2)
本棚登録 : 422
感想 : 84
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927387

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 体温低そうな女弁護士徹子と,その遠戚で対照的な女の夏子。

    最初は,徹子の仕事ぶりに違和感を感じる点があって,あまり入り込めない感じでしたが,途中からぐっと面白くなりました。

    心に留めておきたいフレーズがたくさんあって,読み終わってみれば,付箋だらけに。

    でも,ラストは私はちょっと物足りなかったです。

    詐欺師だけど,人に幸せな気持ちも与える夏子。
    夏子にぞっこんのお年寄りが,それでも人生のベスト10では一人息子に関わるエピソードばかりを挙げていたというくだりを外出先で読みましたが,ぐっときて思わず落涙しそうになりました。

    著者の他の作品も読んでみようと思います。

  • 『夏子』が何年かごとに起こす問題を中心に、夏子の人生や主人公の徹子の人生、徹子の周りの人々の人生を覗き見ているような物語だった。
    読みはじめた頃はタイトル通り、夏子をなんて嫌な女なんだろう!とイライラしていたのが、読み終わる頃には嫌な女には変わりないけど、しょうがない人と思えるようになっている自分に驚きだった。
    いろいろな人の人生は感慨深く、一気読み。

  • 最初は、ありきたりな新米弁護士奮闘記のようなものなのかと思って読んでいたら、あら、もう4年先の話?え、次はその7年先の話?と一つずつのエピソードの間に時間の経過がだいぶある。これがこの本をものすごく良くしていたと思う。

    嫌な女、夏子の年齢を重ねていくうちに小銭稼ぎの手法が変わっていくのも現実的で面白かった。徹子同様、いつの間にか夏子を嫌いではなくなっていた。徹子の夏子を醒めた目で観察している所で、数度笑えた。

    そして、徹子が年を取るうちに「丸く」なっていく描写が丁寧で、なんだか自分も一緒に年老いて行っている感じがして良かった。徹子が涙を流す所では自分も涙し、昔を懐かしく思う所では自分も懐かしかった。そう、ある時から「変わらない事」がとても重要になってくるものなのだ。

  • 弁護士見習いの徹子と親戚の夏子の物語。

    といっても、夏子自身は出てこなくて、
    周りの人の言葉から、その人柄が浮き彫りになるという感じ。

    タイトルの「嫌な女」は、この夏子のことかと思わせる。
    自分が大好き、男が大好き、お金が大好き。
    詐欺行為ばかりを繰り返すが、不思議と悪く思われない(特に男には)。

    しかし、実は、彼女に関わっている徹子本人が、
    自分を愛せていない人間で、自分を「嫌な女」だと思っているのではないだろうか。

    歳を重ね、老女になっても、夏子は精力的に「嫌な女」であり続ける。
    ふいに、もしかしたらいいところもあるじゃないの、と思わせたりしながらも、
    登場人物たちや読者の期待を裏切らない「嫌な女」ぶりは、
    痛快でさえあるのに、
    なぜかふふっと笑ってしまう、それは不思議な魅力なのだろう。

    若い頃、この手の女性は、大嫌いで、顔を見るのもいやだったが、
    今もし会うとしたら、意外と仲良くできそうな気もするのは、
    私がオトナになったせいだろう。

    徹子が歳を重ねて、変わっていったように、私の感じ方もどんどん変わっていくといい。

  • 最後の章が良かった。
    泣いた。
    親友かぁ、親友が死ぬとそんなに悲しいなら、親友は欲しくないな

  • 上質な百合では…⁉︎
    侍のようと言われる徹子の柔らかい部分を理解してくれていたみゆきさんが嬉しい 泣いた
    一方夏子は最後までブレずに夏子でした 散々お世話になってきて商品売りつけようとしたの笑ったし、徹子は買わないってことも理解してそうで最早じゃれてるかのような晩年の二人が楽しかった
    人間関係がつながって切れてまたつながって、不思議な広がりを見せる様子が大変きれいな話でした

  • 読み始めた時は、タイトル通りイヤな女だと読み進めたけれど、読み進めると徐々に主人公の印象は変わっていく。

    最後に涙を落とすなんて、読み始めた時は想像もしていなかったけれど。読み終わった今、すごく満足している。

    このシリーズの他の本も読んでみたい。

  • 泣かされるとは・・・
    夏子ホントに嫌な女
    文句なく面白い

  • これ、ドラマでやってたか? やってたな。
    ここまで人たらしだと気持ちがいいかもね〜。他人の心の中にスルリと入ってくる人っているんだよね〜。

  • タイトルで敬遠してしまう人も多いのかも?

    女性からみたら「嫌な女」かもしれないけど、夏子のことを男性読者はどう読むんだろうと気になった。
    夏子のやらかしたいろいろな事件(とはいえなほどの人間関係トラブル)に、巻き込まれていく様子を弁護士徹子の目線で語ってあります。

著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桂望実の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×