東京難民

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927523

作品紹介・あらすじ

金のねえ奴は、野たれ死ね。それがこの街の掟だ。-私立大学の3年生、時枝修はある日、学費の未払いを理由に大学を除籍される。同時に両親からの仕送りが途絶え、実家との連絡もつかなくなった。なにが起きたのかわからぬまま、修はやむなく自活をはじめるが…夢をかなえるはずの大都会には、底なしの貧困と孤独の荒野が広がっていた。平凡な大学生の転落と放浪を通じて、格差社会の傷口をえぐる青春巨篇。

感想・レビュー・書評

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  • 金のねえ奴は、野たれ死ね。それがこの街の掟だ。―私立大学の3年生、時枝修はある日、学費の未払いを理由に大学を除籍される。
    同時に両親からの仕送りが途絶え、実家との連絡もつかなくなった。
    なにが起きたのかわからぬまま、修はやむなく自活をはじめるが…
    夢をかなえるはずの大都会には、底なしの貧困と孤独の荒野が広がっていた。
    平凡な大学生の転落と放浪を通じて、格差社会の傷口をえぐる青春巨篇。
    ワーキングプアやホームレス問題を語ると自己責任という言葉がつきまとうが、この小説の主人公が体験した貧困スパイラルは人事ではない。
    大学を親が支払っていた学費の未納が原因で除籍になってから、なんとか這い上がるためにポスティングや治験やホストの仕事でまとまった金を一時的に掴むものの、人間関係のトラブルや無実の罪や誘惑に対する甘さや損得勘定で割り切れない性格ゆえに、貧困スパイラルからなかなか抜け出せない。
    そんな主人公の姿から浮かび上がってくるのは、弱肉強食や搾取の構造が根深く残る現代日本の荒廃である。
    そんな日本を変えるには何が必要なのか、読み終わった後に友人や家族と話し合いたくなる社会派小説の傑作です。
    中村蒼主演の映画版では後半部分が映画版ならではのオリジナルの展開になっていますが、より生きるためには金も必須だが、人を生かすのは縁と絆であることを強調するアレンジになっています。

  • いつ、自分もここまで落ちるか分からない。
    この作品の主人公のように気づいたらホームレスになっているかもしれない。
    非常に怖い思いで読んでいた。
    この主人公には非常に腹が立った。
    全てを人任せ、運任せで、どうにかしようと思っているところに、いらいらとさせられた。
    だが、最後の最後で成長した証を見せられて少しは見直す気になれた。

  • 突然の両親の失踪で、大学を除籍され、住まいも追い出されることになった修。
    手持ちのお金も底をつき始め、バイトを探し、住む場所を求め、東京都下で難民のような生活を送っていく。

    世間知らずで、考えの甘い大学生のあまりの転落っぷりに、興味半分だったのも束の間、救いのなさにやり切れない気分になりました。
    行き着くところまで行ってしまった感のある修でしたが、この経験が、この先の彼の大きな糧になるかもしれない終わり方に、とりあえず一安心。

    人事と、小説の中の話として、興味半分で読みましたが、もしかしたら、身近にも起こりうることなのでしょうか。
    だとしたら怖いな。

  •  特に目的もなく、毎日ダラダラと学生生活を送っていた時枝修はある日、担任から授業料の未納を理由に自分がすでに大学を除籍させられていることを知る。両親に連絡もとれず、家賃の滞納に追われてなんとか働こうとするが、どんどん負のスパイラルに陥っていく。

     終始腹の立つ主人公だった。「誰でもなりうる」というのがあちこちで書かれているが、ここまで堕ちるのは主人公が原因という部分が大多数。切羽つまった状況でも「やる気がしない」「制服が厭」って。ズルをして、バイトを首になれば人のせい。ひと月くらい支払を遅らせても問題はないだろうという思考回路、家を追い出されそうでも煙草はやめられない快楽の優先。ちょっとでも金が入れば使う。仕事探しはすべて人まかせ・・・挙げればきりがない。確かに不運だとは思うが、ここまでいくのはごく一部だと思う。問題定義作としては認めるが、とにかく主人公の思考回路がありえないので同情もできない。

  • 私立大学に通う修。彼には親友もいたし、彼女もいた。ごく普通の大学生だったのに・・・
    学費が支払われてなく突然の除籍。親は行方不明。アパートの家賃も払えず追い出され・・・
    これでもかってくらい運に見放された。
    何をやってもからぶりで、どんどん人生を転がり落ちていく。
    こんな事が本当にあるのかと。
    途中で読むのが悲しくなってくる。

    自分の子供には絶対にこんな思いはさせたくない。
    お金だけが人生じゃないけど、やっぱり普通に生きていく為には必要なものなんだよね。

  • ふむ

  • 自分の人生について考えさせられる題材でした。また、何も無い所から這い上がることがいかに大変かも学びました。

  •  学費未納の為大学を除籍になり、親と連絡も取れなくなり、アパートを追い出される主人公。序盤は主人公の浅はかさにいらいらしながら読んでいたけど、いくところまでいくともう元には戻れない怖さを感じた。小説だけにドラマチックな展開は多々あるが、その転落っぷり・救いのなさは、時代を考えるとあまり人ごとでもないようで怖い。

  • 10月-4。3.0点。
    平凡な大学生が、突然両親が失踪、学費未納で大学を除籍になり転落していく。リアルな描写。

    自堕落で、お気楽な学生の転落物語。紆余曲折がリアルで、読ませる。ラストが中途半端な気がしたが、まあ良しとしよう。

  • 文学

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著者プロフィール

福澤 徹三(ふくざわ・てつぞう):1962年、 福岡県生まれ。ホラー、怪談実話、クライムノベル、警察小説など幅広いジャンルの作品を手がける。2008年、『すじぼり』で第10回大藪春彦賞受賞。著書に『黒い百物語』『忌談』『怖の日常』『怪談熱』『S霊園』『廃屋の幽霊』『しにんあそび』『灰色の犬』『群青の魚』『羊の国の「イリヤ」』『そのひと皿にめぐりあうとき』ほか多数。『東京難民』は映画化、『白日の鴉』はテレビドラマ化、『Iターン』『俠(★正字)飯』はテレビドラマ化・コミック化された。

「2023年 『怪を訊く日々 怪談随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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