翼 (テーマ競作小説「死様」)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927615

作品紹介・あらすじ

親友の恋人である、ほとんど初対面の男から結婚を申し込まれた女。十年後、二人は再会する。彼は彼女の親友と子を成し家庭を持っているが、気持ちはまったく変わっていなかった。誰だって真実の人生を見つけられると言う。

感想・レビュー・書評

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  • 初めての白石一文作品。

    自分の人生は「何よりも自分自身が幸福になるためにあるんだ」と言い切れる登場人物に、少しのいらだちと少しの羨ましさを感じました。
    いろんなしがらみを超越して自分のためにふるまえる…というのは、ぐっとがまんしてしまう長女気質の私にはなかなか難しいことに思えるのです。
    でも、がまんしてしまうと、自分の幸せが利己的にふるまえる人に取られていってしまうような気持ちにもなって、もやもや。
    「ここぞ」というときに自分の幸せのために動ける人が、結局は自分の守るべきものを守れる人なのかもしれません。

    …などなど、つらつらと考えさせられる1冊でした。
    人生における「ここぞ」の決断が身近に迫っているから、余計に考えてしまうのかもしれません。
    そして私のそんな心の内を読んだかのように、本書を薦めてくれた友人に感謝です。

  • 切なすぎるけど素晴らしい小説。
    直木賞受賞作「ほかならぬ人へ」と同様、運命の相手とは…と考えさせられる。
    人は、ちょうど良い相手を見つけて結婚して家庭を築き、平凡な幸せを手に入れることはできるけれど、
    「本当の運命の相手」と出会ってしまったとき、それを確信したときどうすれば良いのだろう…?
    君こそ運命の相手だ、と打ち明けてきた男性が、大切な親友の恋人だったために逃げ続けた主人公。
    お互いを運命の相手だと認識しつつ、「平凡な家庭の幸せ」を築くことができなかった主人公の弟夫婦。
    主人公が尊敬していた上司とその愛人。
    様々な男女の組み合わわせから、「愛」はとても単純なものでありながら困難なものでもあることに気付かされる。
    「この人が運命の相手で、この人を愛し、何があってもこの人を赦そう」と決めることの純粋さ。
    私も純粋な愛に身をゆだねようと思いました。

  • 白石さんの作品にしてはさらっと読めた。相変わらず台詞が長くて理屈っぽいけど。恋愛における運命、直感を多用する感じは「私という運命について」に似ている。いきなりスピリチュアル入ってくるし・・・。
    運命って言葉を盾にすればなんでもありなのかよーって共感できず。
    人を傷つけてまで幸せになる権利はないって言ってた主人公だったけど最後はかなり傲慢。
    毎回読むたびにイラっとさせられる作家だけど、新作がでるとつい手に取ってしまう。中毒??

  •  親友に恋人を紹介され、その恋人にプロポーズされる。何をバカげたことを、とりあわなかったが、10数年経て再会すると彼は同じことを告げる。
     なぜそこまで思えたのか。
     「運命の人」だと、なにから、どんなふうに感じ取ったのだろう。

     妻との会話より「運命の人」との会話のほうが彼らしく、穏やかで、幸せそうだった。
     
     まさかそんな亡くなり方をするとは。
     亡くなるまでの数日間、亡くなってから、その間がとても切ない。
     なぜいっしょにならなかったのか、なぜ亡くならなければならなかったのか。
     生きていたらいっしょになれたかもしれないのに、と思うのは傲慢だろうか。

     人と人との間に生まれる気持ち、個人の気持ちをとても現実的に描く人だと思う。
     そしてそれは自分の気持ちの感覚に近く、似ていて、もしかしたら同じ、なのかもしれないと思う。
     そんなわたしの心に、言葉が次々とおりてくるのだ。

  • 運命の人は いると思いますか?
    いると思っていたけれど、どんな人が運命の人なのかなって思ってました。
    この本を読むとその答えが見つかります。
    とても切なくて、でも何故か救われる気がする、そんな一冊です。

  • この著者さん初めて

    里江子は城山にも
    「城山との間に恋愛関係を強く望んだことは一度だってない」といい、
    岳志に対しても聖子にそのようなことを言っている

    岳志に対して想う気持ちは伝わってこない  

    「真実の人生」とは…

  • オフィス 新宿の高層ビル内 田宮恵理子 実家福岡☆出かけたくなる情景描写なし
    クリニック ビルの4階 長谷川岳志

    東大生奇跡の生還 無数の鳥が上空→漁船が救助☆伏線の回収

    ☆出来事の時系列不明確・登場人物の魅力不足→後を引く感覚なし

  • 20190319ー35こういう生命のやりとも言える微妙な動きを文章にするのには尊敬します。ただ誰もがこんな些細な心の動きに敏感かと言うと、そうでもない。自分の鈍感さにがっかりするような作品でした。

  • 「僕たちの人生は誰かを不幸にしないためにあるわけじゃないよ。愛する人を幸せにするためにあるのだし、そして、何よりも自分自身が幸福になるためにあるんだ。」

    自分自身にとっての幸福とは???何だろ?

    「きみだけは何があっても僕は赦そう」
    私ともに生き私とともに死ぬことを望む
    この世界で最も深く愛してくれたひと.....

  • もう一人ひねりほしかった。ラストの展開が早くなりすぎ。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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