- Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334927639
作品紹介・あらすじ
独りで過ごす寂しさを感じながらも、診療所で懸命に働く43歳の看護師。ある日突然、老医師が閉院すると言い出した。そして、その日を前に失踪した。唯一の居場所を失った彼女は、先生を捜す旅に出る…。
感想・レビュー・書評
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沢山の人の生と死に関わってきた医者である月島先生が言った「僕は…何も持たないまま、大切なものがなにもないまま死んでいくことが、怖いんですよ。」って言葉に涙が出た。
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私が70代になった時、どんなことを思うのかな。今はまだわからないことがたくさんあると思う。
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前作“いつまでも白い羽根”を読んで感じたものがやっぱりまたこの本にもありました。
静かな短い物語、(ちょっと疲れた感じの)です。人生って短いな、長いな、・・・、などと思ったことがある人にしかわからないかもしれない、この感じ。藤岡陽子さんの文体や言葉が好みです。たぶん人生観に共感している。明るく爽快、ではないけれど私は好きです。 -
大切なものを持たぬまま死んでいくこと。自分のやるべきことをやりぬいて死んでいくこと。自分はどんなものを見ながら生き死んでいきたいんだろう。短い作品だけど考えさせられることが多かった。
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藤岡ワールド。惚れた。
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いい話だった
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「夕凪」のタイトルで「海神」「波光」の作品と共に「海とジイ」に収録されたもの。
どの作品にも、海に囲まれた島に住む高齢男性が出てくるので「海とジイ」という題名になったのだと思うが、この題名には違和感を持った。
「夕凪」は生きるということを考えさせられた。 -
70歳を過ぎた老医師の月島が来月で診療所を閉院すると告げる。そして、ある日突然姿を消し、沖縄の渡嘉敷島に居ることがわかり、志木看護師が追いかける。月島医師は志木に生きることと死に様を淡々と語る。歳をとると身体の機能に関しては辛いが、心に関してはこれから先どのように生きようか悩みが少なくなることと、大切なものが年々減ってその比重が増すことがいいことだ。十分生きてきた、しかし、何も持たないまま大切なものがないまま死ぬのは怖いと語る。これからの人生、このように自分を見つめる潔さを持てたらと切に思った。
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2017/9/4
今までとは違って、薄めの本で、字も大きく?と不思議な気になってましたが、やっぱりいつもの藤岡さんでした。
初老の医師と看護師の慎ましいやり取り
年齢が
30程離れているとはいえ、慕っていけば2人で暮らしていけるだろうと思われるが、男性は彼女に別の道を勧める。それも、思いやりなんだろうな
懐の深さを感じる。