舟を編む

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334927769

感想・レビュー・書評

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  • 本文中には、とてもいい言葉が随所に散りばめられています。

    『舟を編む』は、読み終えたときに、本当にいい本に出会えたと深く実感できる小説だと私は思います。



    「言葉」というものは、本当に不思議なもので、たとえ、まったく同じ言葉を使った表現でも、その時々や状況によっては、

    人を大きく勇気づけて励ますこともあるし、逆にかえって、人を傷つけることもある。


    たとえば、人一倍に一生懸命努力しても、全然成果に恵まれず、もがき苦しんでいる仲間が自分のすぐ近くにいたとして、

    「がんばって!」と励ましの声をかけることが良いかどうか。

    もしかしたら、「もうこれ以上、がんばらなくてもいいんだよ!」と、そっと優しく声をかける方が良いこともあるかもしれない。



    しかしながら、いずれにせよ、
    誰もが言葉を使って、自分の心に秘めた思いや考えを相手に伝えることには変わりないのだということを、本書は改めて実感させてくれました。



    「完璧な辞書を作ることはだれもできないとわかっていても、言葉を使って思いを伝えようとするひとがいるかぎり、俺は全力でこの仕事を為し遂げてみせる。」
    (p.72より引用)


    このフレーズは、本当にかっこいいと私は思います。

    • HNGSKさん
      コメントしてくださってありがとうございます。
      この本は、私の2012年上半期BEST5に入る作品です。
      また、読んだ感想を聞かせてください。
      コメントしてくださってありがとうございます。
      この本は、私の2012年上半期BEST5に入る作品です。
      また、読んだ感想を聞かせてください。
      2012/08/24
    • HNGSKさん
      ブルーバードさんが、言葉について深く考えたことが伝わってきました。
      言葉って、とっても不思議で、とっても大事なものですね。もう一回、この本を...
      ブルーバードさんが、言葉について深く考えたことが伝わってきました。
      言葉って、とっても不思議で、とっても大事なものですね。もう一回、この本を読んでみたくなります。
      2012/08/27
    • nico314さん
      人に気持ちを伝えたいと願うとき、それを表現する言葉が見つからなくて愕然とするときがあります。
      本を読んでいて、「あぁ、これだ」と思う瞬間に...
      人に気持ちを伝えたいと願うとき、それを表現する言葉が見つからなくて愕然とするときがあります。
      本を読んでいて、「あぁ、これだ」と思う瞬間に救われたりもします。
      2012/12/30
  • すっっごく良かった。最初から最後まで心温まるシーンばかりで、心に留めておくべきフレーズが沢山あった。日本語の奥深さも文章の節々で感じられて、家にある辞書を改めて覗いてみたくなった。
    登場人物も全員が人思いな人ばかりで魅力たっぷり、自分もこの辞書編集部の一員になれるような人になりたいな。特に西岡さんの良さが読めば読むほど滲み出てくる。それも馬締の誠実さと不器用さから周りに浸透していってるのかなー。「舟を編む」に込められた思いもみんなの情熱が詰まっていてとっても素敵。そんな大渡海を是非読んでみたい。

  • 夫が早々に映画館で一人で作品を楽しんで、私はじゃあ原作をと思って買ったままだった。
    早く読めばよかったのに、と10年くらい前の自分に言いたい。
    言葉っていいなあ。
    辞書を大切にしたいなあ。

  • 国語辞典「大渡海」を作る人々は、どこか変わっていて、いわゆる言葉オタク。でも、気がつけば周りの人を惹きつけている。私もまんまと引きこまれてしまった。
    本当に好きなものがあり、情熱を注げる人は魅力的だと思う。
    ラストの松本先生からのお手紙は泣けた。

  • 以前に観た映画が良かったので原作を読んでみた。

    時々クスッと笑ったり、
    たまに大笑いしたり。
    この本の中にやさしく温かい空気が流れていて、
    読んでいる間、居心地が良かった。

  • 辞書を作る人達のお話し。言葉に情熱を注ぐ人達は傍から見ると変人であるけれど実に愛すべき方々である。このように細かい根気のいる作業を嫌がらずむしろ天命のように取り掛かってくれる人達のおかげで辞書は出来るのだ。私が学生時代に使っていた辞書が作られる裏にこんな物語があったのかも?と思うと胸が熱くなった。馬締さんや西岡さんの人柄もよかった。爆笑し、最後には嗚咽しそうになった素晴らしい傑作!

  • マジ最高!!
    西岡の言葉で言えばこうなるのでしょうか(笑)とても楽しく読む事ができました。

    この作品、本屋大賞を獲ったという事で、書店に行くたび目に付くもなかなか手が伸びず。何故ならタイトルとカバーのデザインから、勝手に堅苦しい文学作品とばかり思い込んでいたのです。しかも当時は三浦しをんさんの事も知らなかったので、完全に食わず嫌いでした。
    辞書編集という地味なテーマを、こんなにワクワクする気持ちにさせてくれたしをんさんにありがとうと言いたいです。

    主役の馬締は見た目もモサく性格も変わり者、ただの根暗な人物を西岡のチャラいキャラが上手く絡み合って絶妙なバランスだったと思います。西岡もただのチャラ男ではなく、自分なりに一生懸命生きている所にとても好感がもてました。誰の人生にも、こういう人物ってけっこう必要だったりしますよね。

    ラストはとても静かで穏やかで、胸にジーンと込み上げるものがありました。
    普段使ってる言葉なんて殆ど意味なんて考えないけど、とても奥深いものなんだなと改めて思いました。辞書をめくって言葉をひいてみたくなりました。

  • 一言で言うと、地味。でもキラキラしてる。
    矛盾してるけどそんな感じです。
    これは本屋大賞として納得できます。
    辞書の編纂なんて普段考えもせず辞書を使ってるけど、
    確かにあれだけの物を作るには時間も手間もお金もかかります。
    滅多に買わないけど買うときは必ず「高い」と思って買う。
    平易な文章で馴染みのない世界を活写する文章・構成は流石の一言。
    話の進行としては淡泊ですが、
    恋愛や出版業界の裏事情などを合わせて描くことで
    読者を飽きさせていないと思います。
    西岡さんは軽薄そうに見えるけど、すっごい良い人でほっこり。
    真締と松本先生がそば屋で話すシーンは、
    冒頭のシーンを思い出してグッときました。
    何年後とか結構飛び飛びなので、その間にあったことなども読んでみたいです。
    今までより辞書に興味を持てるようになりました。
    ここまで熱中できる何かがあるというのはすごいことだと思います。

  • 評判通りのよい本でした。言葉や辞書にかける情熱を感じるとともに、紙の辞書を持たずとも生活している今に対して複雑な感情を持ってしまいました。物語としてテンポが良く、登場人物が多くはないけどみんな輝いていて、爽やかなきもちになりました。
    以前の部署で、帳票を作成する仕事をしていたので、紙質へのこだわりに共感を覚えたのも良かったと思います。

  • 2012年本屋大賞受賞作として話題になっていた本で、心待ちにしていた本が手にできた。
    意外にも本の厚みがなく驚いたのが第一印象。
    でも、読み始めると内容とのギャップで重みを感じずにはいられない程、愛おしく感動させられた。
    後半になって解ったけど本の装幀もそういう事だったのねと感心させられました。

    玄武書房に勤める馬締光也を中心として松本先生や荒木さんや辞書編集部員によって、15年もの期間を経て新しい辞書『大渡海』編纂される物語だが、私事、日常綺麗に飾られてる辞書、たまに引く事あっても読む事の無い辞書にこんな御苦労があったと脱帽です。ゆっくりと読みたくなりました。

    長い時間待った甲斐があり、また素敵な本に出会え良かった。

    もうすぐ、4月13日 松田龍平&宮崎あおいさんの主演で
    映画公開されます。
    こちらも楽しみですね♪

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

三浦しをんの作品

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